プレシーズン・テストから見えたこと
開幕戦バーレーンGPを1週間後に控えたザヒール・インターナショナル・サーキットで3月10日から行なわれた3日間のプレシーズンテストで、各チームの勢力図と、各ドライバーの最新のポテンシャルがうっすらと輪郭が見えた。
まず、タイム的には、レッドブルのマックス・フェルタッペンが、最終日の終了直前に、3日間の最速となる1分31秒台を記録して、頭ひとつリードしてテストを締めくくった
最終日結果
1. フェルタッペン+レッドブル 1分31秒720 C5 53周
2. ルクレール+フェラーリ 1分32秒415 C4 51周
3. アロンソ+アルピーヌ 1分32秒698 C4 122周
4. ラッセル+メルセデス 1分32秒759 C5 71周
5. ボッタス+アルファロメオ 1分32秒985 C3 68周
6. 角田裕毅 アルファタウリ 1分33秒002 C5 57周
7. ペレス+レッドブル 1分33秒105 C4 43周
8. シューマッハ+ハース 1分33秒151 C3 58周
9. ノリス+マクラーレン 1分33秒191 C3 90周
10. フェッテル+アストンマーチン 1分33秒821 C4 81周
11. 周冠宇+アルファロメオ 1分33秒959 C482周
12. ガスリー+アルファタウリ 1分34秒865 C4 91周
13. サインツ+フェラーリ 1分34秒905 C5 68周
14. アルボン+ウィリアムズ 1分35秒171 C3 18周
15. ラティフィ+ウィリアムズ 1分35秒秒634 C3 124周
16. ストロール+アストンマーチン 1分36秒029 C3 53周
17. ハミルトン+メルセデス 1分36秒217 C5 78周
18. マグヌッセン+ハース 1分38秒616 C2 38周
—-以下、ノータイム
19. リカルド+マクラーレン
20. オコン+アルピーヌ
※タイヤは、C2が最も硬く、数字が大きいほど柔らかい。
◆昨年のバーレーンGPの予選のポール・タイムは、フェルタッペン+レッドブルの1分28秒997。新たな車両規定で3秒近く遅くなっているが、これは“競争”の視点からは、規則を制定したロス・ブロウンの思惑通り、チーム間の差を縮めて、展開を面白くする狙い通りの結果ともいえる。
◆プレシーズン・テスト2の3日間の各ドライバーの最速タイムをみると、また、別の視点が見えてくる。
3日間のドライバー毎の最速タイム1. フェルタッペン+レッドブル (土)C5
2. シューマッハ+ハース(土)C4
3. ルクレール+フェラーリ(土)C4
4. アロンソ+アルピーヌ(土)C4
5. ラッセル+メルセデス(土)C5
6. ボッタス+アルファロメオ(土)C3
7. 角田裕毅+アルファタウリ(土)C3
8. ペレス+レッドブル(土)C4
9. ノリス+マクラーレン(土)C2
10. マグヌッセン+ハース(金)C4
11. サインツ+フェラーリ(金)C4
12. フェッテル+アストンマーチン(土)C4
13. ガスリー+アルファタウリ(木)C5
14. 周冠宇+アルファロメオ(土)C4
15. ストロール+アストンマーチン(金)C4
16. ハミルトン+メルセデス(金)C5
17. オコン+アルピーヌ(金)C4
18. アルボン+ウィリアムズ(木)C4
19. ラティフィ+ウィリアムズ(土)C3
20. フィティパルディ+ハース(木)C2
※右端はタイヤ。数字が大きいほど柔らかい。
◆去年のバーレーンGPでのフェルスタッペンのポールタイムは、1分28秒997。
◆ウィリアムズの進化幅が最大。去年より5秒速くなっている。
◆ハミルトン+メルセデスが下位に沈んでいるが、チームメイトのラッセルは5番手。ハミルトン得意の三味線!? しかし、メルセデスは、セッティングのよっては、ストレートなどの高速区間で激しくマシンが上下動を繰り返すポーポシングに悩まされている。
合計周回数(ドライバー別)
1. ノリス+マクラーレン 200周
2. ラッセル+メルセデス 198周
3. ガスリー+アルファタウリ 194周
4. ハミルトン+メルセデス 187周
5. 周冠宇+アルファロメオ 184周
6. ペレス+レッドブル 181
7. サインツ+フェラーリ 180周
8. 角田裕毅+アルファタウリ 177周
9. ストロール+アストンマーチン 173周
10.ルクレール+フェラーリ 169周
11.フェッテル+アストンマーチン 166周
12.ボッタス+アルファロメオ 159周
13.オコン+アルピーヌ 153周
14.アロンソ+アルピーヌ 146周
15.フェルタッペン+レッドブル 139周
16.ラティフィ+ウィリアムズ 136周
17. アルボン+ウィリアムズ 122周
18.シューマッハ+ハース 108周
19.マグヌッセン+ハース 98周
20.フィティパルディ+ハース 47周
◆マクラーレンのランド・ノリスは、ダニエル・リカルドがコロナ陽性反応のために欠場した分をカバーして、一人で3日間シートに座り続け、合計2083kmを走破した。この距離は、2レース分に辺り、3日で2レースをこなした猛烈なスタミナと持久力を証明した。
メルセデス 385周
アルファタウリ 371周
フェラーリ 349周
アルファロメオ 343周
アストンマーチン 339周
レッドブル 320周
アルピーヌ 299周
ウィリアムズ 258周
ハース 253周
マクラーレン 200周
◆メルセデスが最も多くのマイレージを稼いでいる。
◆テストは、各チームが独自のプログラムで進めるために、燃料搭載量やセッティングなどは千差万別。したがってタイムよりむしろ、周回数が、チームの充実度や、安定具合のバロメーターとなることから、もっとも充実したテストを進めたのはメルセデスということになる。
◆ライバルのレッドブルは、二人合わせて320周と、全体の6番手。すべての確認が終わったのか気になるところだが、逆に、シェイクダウンの段階の完成度が高かった現れとも解釈できる。
◆ウィリアムズの走行距離に注目。結果的に下から3番目の少なさだが、これは、最終日に、アレキサンダー・アルボンからステアリングを受け継いだニコラス・ラティフィが、12周したところで出火してマシンを止めたため。もちろん、火が出たことは問題だが、逆に言えばこの段階なら開幕戦までに修正が効く。ウィリアムズのペースは悪くなく、ポルシェから移籍したヨースト・カピト代表も、「いろいろあったけれど、来週が待ち遠しい」とポテンシャルに自信を見せている。
エンジン別周回数
メルセデス 1182周(6396km)
フェラーリ 945周
レッドブル 691周
ルノー 299周
◆ルノーはアルピーヌ1チーム、フェラーリは本体とハース、メルセデスは、本体の他に、マクラーレン、アストンマーチン、ウィリアムズの4チームが搭載しているので、平均すると以下のようになる。
エンジン別平均周回数
メルセデス 1182周(6396km)÷4=平均295.5周
フェラーリ 945周÷2=平均472.5周
レッドブル 691周÷2=平均345.5周
ルノー 299周=平均299周
プレシーズン・テスト1-2総周回数
1. メルセデス 3902 km
2. フェラーリ 3914 km
3. アルファタウリ 3452 km
4. レッドブル 3395 km
5. アストンマーチン 3213 km
6. ウィリアムズ 3145 km
7. アルピーヌ 3039 km
8. マクラーレン 2616 km
9. アルファロメオ 2539 km
10.ハース 3117 km
◆バルセロナとバーレーンで3日ずつ合計6日間行なわれたプレシーズン・テスト。速さではフェラーリのパワーユニットを搭載したとフェラーリ本体とハースが目立っていたが、走行距離でメルセデスがトップにいる。特にルイス・ハミルトンは得意の(!?)三味線の可能性もあり、不気味さが見え隠れする。
[STINGER]山口正己
photo by formula1.com