トヨタ・5連勝の裏舞台–ガズー・レーシングの第90回ルマン24時間
6月11日から12日に行なわれた90回目のルマン24時間レースは、TGR(トヨタ・ガズー・レーシング)の2台による数秒差での首位争いが16時間に及んだ。256周目に首位を走行していたロペスの7号車が、フロントモーター関連の電装系トラブルでコース上に立ち往生。このバトルは終焉を迎えた。
一旦はコース脇に車両を停めたロペスだったが、システム再起動で走行を再開してピットイン。さらに再起動作業などを行なってトラブルを解決してスピードを取り戻したが、このタイムロスで、替わってトップに立ったハートレーの8号車から約1周分の差をつけられることになった。
車両性能が拮抗した2台のこの差は大きく、ロペスは最後の30分に、最速ラップを叩き出す走りで追い上げたものの、追いつくまでには到らなかった。
9日(木)のハイパーポールで、最終盤にドラマティックな逆転アタックを見せてポールポジションを獲得したハートレーが、8号車のアンカーとして、第90回ルマン24時間レースの栄光のチェッカーをトップで受けた。ロペスの7号車が続き、計5,177kmでの24時間の戦いを、TGRの2台が同一周回の1-2で走り抜いた。
WECのシーズン選手権争いでは、他のレースの倍のポイントを獲得できるルマンで1-2フィニッシュを果たしたことで、TGRはマニュファクチャラーズランキングで2位のアルピーヌに22ポイント差の首位に浮上。ドライバーズポイントでも、8号車の3人が首位のアルピーヌ36号車に3ポイント差の2位と大きく躍進、7号車の3人は首位と20ポイント差の4位に着ける結果となった。
7月10日-12に行なわれる次戦イタリアのモンツァ6時間には、宿敵プジョーのニューマシン『9X8』が登場、まずは10月のWECジャパンの“決戦”の期待を盛り上げることになっている。
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photo by GAZOO RACING