第3戦オーストラリアGP明日開幕!
1985年にアデレイトの市が一コースで歴史を刻み始めたオーストラリアGPは、1996年にメルボルンのアルバート・パークに舞台を移し、コロナ禍のために2020年と2021年の中止を経て昨2022年に復活し、今年は37回目。悲喜こもごものドラマの舞台になって歴史を刻んでいるが、なかでも、雨の中で数々のドラマが演じられてきた。
特に印象的だったのは、1989年の雨。ロータスに乗る中嶋悟のファステトスラップが思い出される。
アイルトン・セナを始めとする上位陣がウェット路面でスピン/クラッシュでリタイア、26台中の20台がレース序盤に消える大荒れの展開の中で、ウィリアムズに乗るティエリー・ブーツェンが優勝したが、予選23番手からスタートした中嶋が、19台抜きの会心のレースで4位までポジションを上げ、レース中のファステストラップを記録し、“雨の中嶋”が話題になったレースでもあった。
ロータス・ジャッドに乗る中嶋は、F1マシンのステアリングの重さで苦戦していたが、雨で“重ステ”から開放されたことが速さの原因と語られていたが、当の中嶋は後に、 当時最強だったマクラーレンMP4/4を試乗した時に、“こんなにステアリングが軽ければ、違うレースができていたかもしれない”と回想している。
当時、トップ争いをしていたアイルトン・セナ、アラン・プロスト、ナイジェル・マンセル、ネルソン・ピケたちは、フィジカルトレーニングを重ねて筋骨隆々の体躯の持ち主だったが、中嶋は体力不足を余儀なくされていた。
メルボルンの天気予報は、週末は雨を伝えているが、決勝が行なわれる日曜日だけは快晴の予報。さて、今年はどんなドラマが待っているのだろうか。
[STINGER]山口正己
Photo by NAKAJIMA PLANNING / SCOODERIA FERRARI