ダン・ガーニー逝く
F1ドライバーとして1959年にフェラーリでF1にデビューし、ポルシェのF1初勝利を含み、ブラバム、イーグル、マクラーレンで1970年まで活躍した長身のアメリカ人。一時、大統領候補に推挙する動きもあったアメリカの英雄ダン・ガーニーが亡くなった。85歳だった。
F1では、ポルシェや自身のイーグルを含む優勝4回、ポールポジション3回を記録したが、それ以上にデザイナーとしての高い手腕の持ち主だった。自身がデザインしたイーグルは、最も美しいF1の呼び声高い。身近な例では、ウィング後端にダウンフォースを増やす目的で追加される“ガーニー・フラップ”は彼の発案。
また、1967年のルマン24時間に、フォードGT40で優勝し、フォード社長が手渡したシャンパンを表彰台で振りまいて、シャンパンファイトの発祥となった。
ちなみに、長身のガーニーはフォードGT40の天井に頭が使えてしまうので、そこにまるい出っ張りをつけて逃がしたという逸話も作っている。
チームオーナーとしても活躍し、F1を去った後の1970年からは、インディ500、デイトナ24時間など、アメリカンレーシングで活躍し、1980年代には、自身のオールアメリカンレーサーズをトヨタのセミワークスとして活動させ、アメリカのIMSAシリーズの中心的存在だった。
ドライバーとしては、F1だけでなく、CANAM、チャンプカー(現在のインディカー)やストックカーを含むオールラウンドプレイヤーとしてレーサー遍歴を重ね、1990年に国際モータースポーツ殿堂入りした。
そして、F1ドライバーが“レーサー”と呼ばれるその呼び方に最も似合っているのがダン・ガーニーだった。レーシングドライバーではなく、レーサー。敢然とした決意をも武士のような潔さをもつ闘う男。1931年4月13日生れ。享年85歳。
ご冥福をお祈りします。やすらかにお休みください。
[STINGER]山口正己
photo by INDYCAR/STINGER