ホンダはF1参戦でなにをしたいのか?! — ホンダが可夢偉を「救う」時だ!その2/3
ホンダ&マクラーレンは、2015年、「勝ちに行く」として、トップ級のパイロットをファースト・ドライバーに迎える。それはおそらく可能で、メルセデスやレッドブルやフェラーリとの勝負はそこでできるだろう。ひょっとしたら(ホンダにとっては初年度の)2015年にマクラーレンは、それらの強豪チームといきなり”勝ち負け”に持ち込める……かもしれないし、そうでないかもしれない。
ただ、そうした表彰台の「中央争い」だけが「F1」ではない。ホンダは、F1参戦で何をしたいのか? ”勝ち負け”だけを追っているのなら、今回もまた、何回か勝利したら(もういいです、辞めます……)ということになるのか。あるいは、何年か活動して勝てなければ、社内事情や景気などを理由に撤退するのか。
2010年代、このホンダにとって「何次目」かになるF1参戦は、これまでとは違うのか、それとも、何かが変わるのか。さらには、そもそもホンダは「F1」で「何」をしたいのか?
その「何」の一つが、F1において「日本」(もっと広くはアジア)をプレゼンテーションしたいということであるなら、それは大いにアリなストーリーだ。ゆえに「マクラーレン/ホンダ」は、二人のドライバーのうちの一人は、”勝ち負け”とは違う次元で、必ず日本人(アジア人)にする。これもまた、国際的にはむしろ明快に映る決定である。
何よりアジアと呼ばれる地域で開催されるF1グランプリの数は、2014年を例に取れば、既に7戦に達している。グローバル化したF1には「アジア」が必要なのだ。必ずアジア人ドライバーが走っているチームが、F1には少なくとも一つある。そういう状況は、F1を興業という視点から見た場合にもあり得るべきことではないのか。
2015年、F1グランプリ・シリーズ。日本企業・ホンダにとっての初年度。そこで、ホンダが関わるF1チームの”セカンド・ドライバー”のシートを、新進気鋭のヨーロッパ人若手ドライバーに与えるのもいい。しかし一方で、ホンダが関与しているからこそ、その「ひと枠」はアジア人のものとする。これもまた、未来を見据えての意義ある戦略であろう。
そして、その”セカンド・ドライバー”が、ナンバーワン・ドライバーと(ほぼ)同じクルマに乗る。果たして、どのくらいのタイムで回ってくるのか。予選を終えて、チームメイトの”トップ級パイロット”との距離はどのくらいなのか。それはもちろん、現時点では誰にもわからない。
ただ、ひとつ言えるのは、この戦略が極めつけに興味深い「ギャンブル」であるということ。とりわけ、その”ナンバー・ツー”アジア人が小林可夢偉である場合には!!
Photos by
McLaren(MP4-4)
Ferrari S.p.A (アロンソ)
Caterham F1 Team / LAT Photographic (フラッグ、可夢偉)