ホットライン 2015 Round8 / オーストリアGP–その3/3◆ホンダの『チャレンジ』
◆今年はテストの時と言うが、そのテストもできていない?
羽端:でも、パワーユニットが「エンジンだけ」であれば、ホンダだって、こんなに苦労しないはずなので。
STG:う〜ん、それはどうでしょうね。最初からF1のレベルを理解していれば、ここまで苦しいことにはならなかった気もしますけど。ただし、なんとか2勝した第一期も、それから16戦15勝という圧倒的なエンジンを供給した第二期さえも、勝つまでには当然ながら数年かかってますから。それを忘れちゃいけないかな、と。
羽端:そうですよね。まあ皆さま、いろいろご意見はおありでしょうが。でも今回は「運」もなかったと思います。ライコネンのクルマが暴れちゃった時に、そのすぐそばにいたのがアロンソだったとか。
STG:確かに。しかし、バトンがすぐにリタイアしてますからね。
羽端 そう、それはちょっと問題で。バトンの件については、何をしてるんだと言いたい!
STG:どこかが壊れたのではなく、”壊れる信号が出た”のでピットに呼ばれてリタイアしたようです。
羽端 ムム・・・・いろんな理由で、とにかく「走れてない」んですよねえ。アロンソに話を戻せば、今回に新装したショートノーズが、実戦でどうなのかを見る間もなくのクラッシュだったし。
STG:ノーズもいいけど、”後ろ”の方が(笑)。
羽端:もっと問題?(笑)まあ、今年はテストとして(レースを)走るというのは、もうよくわかったので、それに文句はありません。ただ、これだけ走れないとね。テストすらできてないんじゃないかと、その点が気になります。
STG:去年から参戦しているメーカーとの比較で、”1年間猶予があった”という間違った考え方をしている人もいますが、ホンダは、F1の厳しさを実戦に参加して初めて知った、ということかと。なので、いまはF1の厳しさを”習得している期間”であって、勝負はまだまだできる状況ではない、と考えてあげたいです。そうそう簡単にいっちゃったら、F1様に失礼ってもんで(笑)。
羽端:ところでアロンソは今回1周もしてないから、例のペナルティはオーストリアでは消化できなかった? そうすると、全部イギリスに持ち越しということ?
STG:でも、考えてみると、ピットインして10秒止まればペナルティを代替えできるって、なんか簡単すぎませんか?
羽端:というと?
STG:ここにも、弱肉強食の階級社会が現れているというか。要するに、トップ争いをしているところには充分な痛手になるけれど、下位の下層階級は相手にされていない、というか(笑)、いやこの場合(泣)ですかね。
羽端:たしかに下層階級では、10秒くらいまったく気にならないぜ、としてレースしてそうですけど(笑)。
STG:なんとも。
羽端:ホンダに話を戻せば、遅いなりに完走した、あるいは、速かったけど保たなかった。でも、前回も今回も、そのどっちでもない。・・・・というか、どっちなのかの判断すらできないというのは・・・・。
STG:まだその段階、ということだと思います。
羽端:ホンダの新社長(八郷隆弘社長)がオーストリアの現場にいて、そうした状況をナマで見ていて。八郷さんとしては、「トップが変わって、ホンダはどうするんだ?」という質問を封じるために、自らオーストリアに行かれたようですが。
STG:一番辛いのは、参戦を決めた先代じゃなくて、八郷新社長ですね。
羽端:そうかもしれない。とりあえず、ホンダ側からの発信もよろしく、ですが。
STG:発言もですけど、そこから這い上がるチャレンジを期待したいです。ロズベルグじゃないけれど、むしろ一番必要なのは、その気概というか、構えではないかな、と。
【西湘-西八王子】
Photos by McLaren Honda/LAT Photographic