もう、3位では泣かないよ
4月5日 18時52分、雨で赤旗が提示されたマレーシアGPが再開しないことが告げられ、レースが成立した。煮え切らない終わり方に、観客はもうひとつ満腹感を味わえなかった。
ブロウンGPのジェンソン・バトンが2連勝を飾り、ニック・ハイドフェルド+BMWザウバーがKERSカー初の表彰台を記録、グロッグが開幕戦のヤルノ・トゥルーリに続いてトヨタに表彰台をプレゼントした。
夜の帳が下りたセパン・サーキットのカンファレンスルームで、トップ3会見が行なわれた。連勝したバトンは、「クレイジーだが興味深いレースだった」とレースを振り返り、司会が進行を進めようとしたのをさえぎって、「もう一言、言わせてほしい」、と伝え、「大変なレースをうまく運んでくれたエンジニアに心から感謝したい、本当にありがとう」と締めくくった。ここ数年の不信と、シーズンオフの心配がにじみ出るコメントだった。
グロッグは、興奮気味。バトンを挟んで反対側に座った同郷のドイツ人、ハイドフェルドの静かさとは好対照にコメントをまくし立てた。開幕戦でヤルノ・トゥルーリの表彰台を見上げて涙を流したトヨタF1チームの山科代表は、「もう、3位では泣かないよ」と断った上で、「でも、ドライバーは二人ともスタートを失敗してますから、懲らしめないと」と、表彰台のもっと上を見据えて明るく語った。
強烈なシャワーで台無しになったレースの後味は、そう悪いものではなかった。
【STINGER / Yamaguchi Masami】