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序盤の4戦を読む—2)かわいさと鋭さが同居する21歳

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セバスチャン・フェッテルが大活躍だ。開幕戦では2位争いの末にクビツァと接触して撃沈。第3戦の中国では、雨のレースを快勝した。レース後の会見で盛んにテレながら、「とっても難しいレースだったよ。コースの上に留まっているのがやっとだったからね。でも、前に勝った時(2008年イタリアGP)の時も雨だったから、いつもグランプリは雨がいいね」。ハニカミながらペロッと答えたものだ。

そのかわいさと、コクピットに乗り込む時の怖い顔の落差。これは、レーシング・ドライバーを見極めるひとつのポイントになる。

今年のレッドブルRB5は、久々にアドリアン・ニューウェイが天才デザイナーだったことを思い出させるシェイプで登場した。思い切り細いノーズと濃紺のカラーリングでさらに締まった尖鋭的なイメージは、F1デザインにショックを与えた1989年のレイトンハウスCG89を彷彿とさせる。

一方で、RB5は、タイヤに対する負担、特にリヤ・タイヤへのストレスが大きいとも言われている。しかし、灼熱のバーレーンGPをブロウンのジェンソン・バトンに次ぐ2位で走りきり、作戦によってはタイヤの問題を克服できることを証明した。同時にそれは、セバスチャン・フェッテルという男が、そういう状況のマシンでも巧みにレースを走りきってしまう能力の持ち主であることも証明している。

090504_vettel-1.jpg◆シューマッハの太鼓判
フェッテルは、ミハエル・シューマッハと同じドイツの出身ということもあるが、どことなく似た表情を見せる。特にコクピットで戦闘モードに入った時の眼は、シューマッハ全盛時代を思い出させる。カメラマンの中には、フェッテルの鋭い眼光から、シューマッハ以上かもしれないというゾッコンの意見もある。そもそも、そのシューマッハ当人も、フェッテルの才能に折り紙をつけている。

ミハエル・シューマッハの能力はいまさら繰り返すまでもないが、ブリヂストンの浜島裕英モータースポーツタイヤ開発本部長は、「今でもマイケル(浜島さんはドイツ語読みののミハエルではなく、英語読みでそう呼ぶ)に戻ってきてほしいと思います」とことあるごとに言っている。その理由は、「瞬間的にグランプリモードになれるから」だ。

テストの場で開発サイドは、エンジン担当であっても、タイヤ担当であっても、用意したプログラムが予定通りに進んでほしいと思うのは当然だ。効率よく確認作業が進んでほしい彼らに対してシューマッハは、走り始めた瞬間に”グランプリモード”に自分を持ち込んで、1周目からプログラムに対する正確なレスポンスをしてくれる。ならばデータ収拾の効率は上がり、開発スピードは速くなる。こうしてシューマッハは、例えばブリヂストンの進化に貢献し、結果としてフェラーリ帝国を築き上げた。

今でも復帰を請われるそのシューマッハが、太鼓判を押しているのだ。セバスチャン・フェッテルは、間違いなく、今年最も輝いているドライバーだが、もうひとつ注目しておきたいのは、サービス精神とプラス思考。記者会見では、聞かれたことに何でも一生懸命健気に答える。明るく正直な対応は、ファンやプレス関係者にも評判がいい。

例えば、マレーシアGPで予選3位になった時の会見ではこんな感じだった。

--せっかくの3位だが、オーストラリアGPでクビツァと接触したことで、10グリッドダウンになってしまうが。
フェッテル とっても残念です。でも、レースでは何でも起きるからね。どんなことでも不可能なことはないと思います。

可愛くて強い。新たな英雄の登場だ。

([STINGER] / Yamaguchi Masami)


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