ケンウッドの400戦目のF1GP!!
1991年、アイルトン・セナの乗るマクラーレン・ホンダから、ケンウッドとF1GPの付き合いが始まった。
マクラーレンに無線を供給するケンウッドが、週末のアメリカGPで、マクラーレンF1チームへの無線供給400戦目を迎える。
ケンウッドは、1991年、マクラーレン・ホンダ時代からマクラーレンに無線の供給を始め、アイルトン・セナ、ミカ・ハッキネン、ルイス・ハミルトンのチャンピオンを支え、キミ・ライコネンやフェルナンド・アロンソの勝利に貢献したことは知られところだ。
実際のレースでの無線システムは、レースの戦略やタイヤ交換のタイミングなどの情報を、ドライバーとチームスタッフの間で交信するために使用され、日常からは想定できない衝撃や振動、騒音の中で、正確かつ確実にコミュニケーションすることが求められている。
ケンウッドは、創業以来培った無線システムのノウハウと、高音質化技術や情報暗号・複合化技術をはじめとする最先端のテクノロジーを結集し、独自のデジタル方式による専用無線機を供給、マクラーレンF1チームの多くの勝利に貢献してきた。
また、1998年に初めてワールドチャンピオンを鈴鹿で決めたハッキネンの逸話は、お馴染み。初のタイトル獲得のかかったその1998年の最終戦を前に、マクラーレンのロン・デニスは、ケンウッドのエンジニアに、”初のタイトルマッチで不安になっているミカの心の支えとしてエールを送るために、無線システムがよく聞こえるようにしてほしい”と注文を出した。
しかし、聞こえ易くすると声質がデジタル寄りになって肉声と離れてしまう。そこでケンウッドのエンジニアは、デニス代表に、”伝えたいのは、気持ちか、言葉か。聞こえるようにするとデジタルな声になってしまい、肉声に近いアナログだと聞こえづらくなる”ことを伝えた。デニス代表から、”気持ちを十分に伝えたいので、両方頼む”、という無理難題な返事が返って来た。
しかし、逆にその言葉に燃えたケンウッドのエンジニアは、ノウハウを振り絞ったシステムを鈴鹿に投入、デニスのエールを受けつつ、ハッキネンがミハエル・シューマッハを押えてワールドチャンピオンに輝いた。
この400戦の間、ケンウッドは、単にハードとしての無線システムを供給するだけでなく、全戦にエンジニアを送り込んで現地対応もしている。現地に派遣されるエンジニアは、400戦の間、変わらぬ態度でチームと付き合い、コミュニケーションを深めて英語力を鍛えるために、メカニックとホテル同室をチームにお願いするなど、親密な関係を続けている。
マクラーレン・グループのロン・デニス会長兼CEOは、「ケンウッドとパートナーシップを結んでからこの400戦の間、無線システムによる効果的な通信の重要度は以前にも増して高くなっている」とコメントし、「意思伝達能力がレース結果を左右する中、我々はともに86勝を上げてきた。長年に渡るケンウッドのマクラーレンに対する貢献に多大な感謝の意を表すとともに、ケンウッドとの今後の輝かしい未来に期待しています」と謝辞を述べた。
ケンウッドの河原春郎代表取締役会長兼CEOは、「世界中から各産業の最先端技術が集結した、最も華やかでありながら最も過酷なモータースポーツの世界に参画することは、当社のブランドプレゼンスの証ともなっています。特に歴史と伝統のあるトップチームのマクラーレン・メルセデスF1チームと400戦にわたって長くパートナーであり続けられたことは当社の誇りです。当社のノウハウと技術を結集したデジタル無線機を供給することでチームの勝利に貢献し、同チームが再び頂点に君臨できるようサポートしていきます」と語った。
ケッウッドが記念すべきF1参戦400戦のアメリカGPは、11月2日の14時(日本時間の11月3日の朝4時)にスタートする。
[STINGER]山口正己




