開幕戦を占う—その5 プレシーズン・テストから見えた!!
ザウバーは悪くなさそう?!
開幕テスト1回目のヘレスで、仰天ニュースが飛び込んできた。フォース・インディアからヘッド・ハンティングされ、有能さを買われていたテクニカル・ディレクターのジェイムス・キーが突然、ザウバー・チームを離れる、というではないか!! チームはテクニカル部門の要を失って、難破船になってしまう?!
さらに、発表されたマシンが、お世辞にもスマートとは言えなかった。可夢偉は、「クールとは言えないけれど、まぁ悪くない」と言いながら、「でも、カラーリングはなんとかしてほしい」と苦笑いした。しかし、テストが始まってみると、ザウバーC31は、外観とは裏腹に(?)、悪くない仕上がりを見せてくれた。
3回のテストの総周回数は、メルセデス、ウィリアムズに続いて3番手。可夢偉は、N.ロズベルグ、F.マッサ、L.ハミルトンに続いて4番目の走行距離を稼いでいる。これは、そのまま、テクニカル・ディレクターのジェイムス・キーが抜けても、チームがコメントしていた、”すでにマシンは完成している。今後は、そのマシンをどう育てていくかであり、すでにジェイムスの手を離れている”というのがやせ我慢ではなかったことを証明しているのかもしれない。
ただし、問題は、このポテンシャルが想像通りだったとして、仕上がりの高さは、完成度の高さも語ることから、これ以上の伸びがあまり期待できない、という可能性が頭をもたげる。去年のように、シーズン序盤はいいけれど、息切れすることがないようなチームが期待されるところだ。
ただし一方で、今年の規則変更がザウバーに味方していることもある。ブロー・ディフューザーが禁止された。特に、アクセルをオフにしたときもエンジン回転を下げず、排気圧力ダウンフォースに活用した”オフブロー”の禁止は、ラップタイムに大きく影響するといわれている。しかし、幸か不幸か、去年のザウバーは、オフブローの恩恵をほとんど受けていなかった。
レッドブルのテクニカル・ディレクター、エイドリアン・ニューウェイは、「オフブロー禁止で最も痛手を受けるのは、最も効率よく活用していたうちのクルマだ」とコメントしたが、反対に最も影響を受けないのがザウバー、といっても良い。その差し引きが、ザウバーのプラスに作用していることは間違いない。
3年目を迎え、すでにベテランの風格も付けた可夢偉がどんな走りをしてくれるのか、開幕戦が楽しみになってきた。
全チームのプレシーズン・テスト走行データはこちら。
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