そろそろシャシーに注文がつけられる?!–ホンダの後半戦への期待–その5
ホンダは、うまくすると今週末のベルギーGPから、開発してきた次の”タマ”を投入するかもしれない。それがなにかはわからない。だが、ここまでのマクラーレン・ホンダの活躍の流れと、長谷川祐介F1プロジェクト総責任のコメントから、進化のための有効打になる期待ができそうだ。
ホンダは、挑戦2年目に明確な進化を認識し、次のステップに踏み始めた。その”感触”のようなものが長谷川F1プロジェクト総責任のコメントの中に、時折顔を出していた。
不足しているエンジンのパワーを確保するのは簡単ではないが、回生については他に追いついた。あとはエンジン本体の開発でモアパワーを狙う。それも簡単ではない作業だが、長谷川F1プロジェクト総責任は、言い切った。
「難しいけれどやるしかない。ここで負けている、というのはホンダとしてあり得ないですから」
メルセデスの二人が、最強チームならではのチーム内抗争に悩んでいるが、現状のマクラーレン・ホンダのアロンソとバトンはそういう関係にはなっていない。そのことを尋ねると、「早くそうなってほしいですね」と長谷川F1プロジェクト総責任は即座に反応した。
これらのコメントをつなぎ合わせると、ホンダは”次”をめざしていそうな気分になれる。その証拠に、長谷川F1プロジェクト総責任は、ドイツGPでのスピードトラップが、20番手と21番手という最下位だった車速を、「”エンジンパワーでそれを挽回する”という作戦」だと断言した。
最高速の遅さは、もちろん、エンジンパワーによるところが大きいが、シャシーポテンシャルも、もちろん関係する。効率のいいダウンフォースが得られれば、最高速は高くなり、優れたサスペンションがあれば立ち上がり加速が有利になって最高速は延びる。
これまで、マクラーレンのシャシーポテンシャル不足が取り沙汰されたことがあるが、そもそも走らないエンジンではシャシーの開発が進むはずもなく、まずはパワーユニットを完璧にすることが重要と[STINGER]は伝えていた。長谷川F1プロジェクト総責任のかんがえもまったく同じものだった。
「”エンジンパワーでそれを挽回する”という作戦」という考え方がまさしくその現れだ。逆に言えば、”そこをやったら、注文も着けます”という意味にも取れる。ホンダは、もう少しでマクラーレンにプラス思考で注文を着けられるレベルになる、ということだ。
ここまでの流れから苦手と言えるスパ-フランコルシャン、モンツァと、名うての高速コースが続く後半の滑り出しで、マクラーレン・ホンダがどんなポジションに着けるのか。後半戦を占う上で注目しておきたい。
ウィリアムズ、フォースインディア、トロロッソの群れからマクラーレン・ホンダが抜けだすために「準備は整った」と予言しておこう。
[STINGER]山口正己