開幕戦を占う—その9 開幕前日のガレージから見えた!!
◆開幕直前のガレージを覗く
開幕を翌日に控えた夕方、各チームのガレージを一通り見渡してみた。シーズン開始前日の、これは[STINGER]のルーティン・ワークだ。ここの様子を見れば、大雑把にチームの状況が見える。
ただし、ここ数年、若干様相が違ってきた。多くのチームが、コンピュータで進行管理を行なうためか、管理が進んで、あまり大きな変化が見えなくなっているのだ。明らかに準備不足で、必要なパーツも届かずに閑散としているHRTのガレージを除けば、多くのチームが作業を済ませて翌日の開幕を待っていた。2012年シーズン開始の最初のフリー走行を翌日に控えたアルバートパークのガレージを見渡してみても、チーム間に特別大きな差は見て取れなかったのだ。
レッドブルは、テストでいくつかトラブルが出て、周回数を稼げなかったが、それにはふたつの見え方があった。ひとつは、トラブルに悩まされて、本来ならもっと走りたいことろだったが、それかできなかった。もしくは、確実なデータがそろっているので、そうそうたくさん走る必要がない。どっちなのかが気になるところだった。
仮に後者なら、木曜日のガレージに、その形跡がなんらかの形で見えるはずだったが、スタッフの様子に特に慌てたものもなく、マクラーレンやフェラーリ、メルセデス、ルノーと同じような状況だった。つまり、テストで距離を走っていなくても、レッドブルはやはり速そう、という当たり前の結論だ。
左から、レッドブル、マクラーレン、フェラーリ。昨年のトップ3は同じムードで準備を進めていた。
拮抗した闘いになる!?
木曜日の夕方5時。トップチームは、ほぼ同じように20名ほどのスタッフが、ゆったりと作業をしていた。念のための最後の確認、というイメージだ。
ただし、ならば逆が言えるという見方ができるかもしれない。つまり、トップチームが、ほぼ同じように準備を整えて開幕戦が始まりそう、ということだ。ならば、タイム差が拮抗して、レースは混戦模様になる。
同じことが、セカンドグループにも言えた。フォース・インディア、ザウバー、ウィリアムズの準備状況も、同じような雰囲気だった。
HRTが最後尾、ということを除くと、ケータハムとマルーシアのポテンシャル・アップの状況によっては、セカンドグループの様子が変化するかもしれない。
いずれにしても、全車がピカピカの新車で美しく輝くガレージを見て、去年までと少しだけ違う景色が見えそうな気がしたが、不安定な天候と、公道コースというイレギュラーなシチュエーション。開幕戦が面白くなることだけは、間違いのないところだ。
新車だから当たり前といえば当たり前だが、マルーシアのマシンがピカピカで綺麗だったのが印象的。
[STINGER]山口正己