僕らはまだ最高のアロンソを見てない — オーストラリアGP木曜記者会見
ハミルトンのコメントに苦笑いのアロンソ。
木曜日恒例のドライバー記者会見。昨年末から取り入れられた2部構成の会見パート1には次の4名が参加。
【パート1】
フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)
ダニエル・リカルド(レッドブル)
セバスチャン・フェッテル(フェラーリ)
※パート1のコメントのみ抜粋して掲載してあります。
今回は新世代のマシンに対する印象や新オーナーに変わったF1に望むこと、年間レース数を増やすことの是非についてについてそれぞれ語った。
Q.まずはこのアルバート・パークのオーストラリアGPを2回勝ち、5回ポールに着いたルイス・ハミルトンからはじめましょう。ルイス、あなたもほかのドライバーも新世代のマシンのドライブがいかに楽しいかについてコメントしています。あなたから見て、特に気に入っている部分についていくつは教えてください。
ルイス・ハミルトン(以下、ハミルトン):そうだね、まずは、みなさんこんにちは。みんなに会えてうれしいよ。(闘いの場に)戻ってこられてよかった。わからないけど、レーシング・ドライバーとしては基本的には世界一速いマシンに乗りたいし、いつだってより速く走りたいもの。マシンは去年のものよりも速くなってる。それに、トラックで自分のマシンからスピードを引き出すのスゴいチャレンジだよ。身体的な面に関する方向性は、よりF1のあるべき状態になってる。僕らはアスリートだから、F1はすべてのモータースポーツの中でもっと身体的要求が厳しいスポーツであるべき。これまでのシーズンはそうじゃなかった。それに関しては、僕らにはこれまでのレベルは比較的ラクだったけど、今は限界までプッシュしないといけない。僕はその方が好きだね。
Q.セバスチャン、マシンはかなり戦闘力が高そうですが、それを予選でどう活かせるのかが問題です。フェラーリは2010年から現在まで、ポール・ポジションに着けたのは6回ですが、それに関してどう取り組んでいきますか? 予選の最終段階でエンジンをより速いセッティングに設定するのでしょうか?
セバスチャン・フェッテル(以下、フェッテル):そうとは限らないよ。僕らはすべての面に手を入れてるし、改善しようとしてる。いいレースをするためには予選が重要なことはもちろん僕ら全員が知ってることだし、予選でいい位置に着ければレースでより有利になる。それ(過去の予選の成績)はよくなかったし、流れを変えたいね。
Q.2002年にここで勝っているフェルナンド、あなたの番です。現在、マクラーレンとホンダは非常に難しい状況にありますが、今シーズンはどうなると予想していますか?
フェルナンド・アロンソ(以下、アロンソ):そうだね、静かに見守ろうと思う。まだテストが終わっただけだから、この開幕戦でもう少し状況がはっきりすると思う。僕ら自身も自分たちがどのポジションにいるのかわからない状況だしね。テストでは違う種類の問題が出たことで、どのポイントでも限界までプッシュすることができなかった。まぁ見てみよう。もしも僕らが最初の週末を上手くこなすことができればマシンのポテンシャルをもう少し把握できるだろうし、きっと僕らのポジションも見えてくるハズ。ただ、そうだね、僕らの道のりはまだそうとう長いし、やらないといけないこともたくさんあるよ。
Q.テストが始まって問題が明るみに出てから3週間しか経っていません。救済プランはもう用意できているのでしょうか? それとも取り掛かれるこれから数週のうちでしょうか?
アロンソ:チームはいつも状況を改善するために取り組んでくれてる。可能な限りハードに、問題を洗い出してそれを改善するためにね。この3週間、みんな全力を尽くしてくれてると思うし、明日のトラックで何ができるか見てみよう。それ以上のことはエリック(・ブーリエ/レーシング・ディレクター)かホンダに訊いてみて。
Q.ダニエル、昨年はチームメイトのマックス・フェルスタッペンの活躍を目にしてきました。今年はあなたたち2人のバトルはどれだけ激しいものになりそうですか?
ダニエル・リカルド(以下、リカルド):激しいバトルになると期待したいね。上手くいけば僕らは優勝争いができるだろし、それはウエルカムだよ。彼は間違いなく速い。今年は彼にとって3年目のシーズンで彼は若いけど、僕らはお互い経験を積んでるし、彼はもうルーキーじゃない。チームは僕らのこれからにワクワクしてるだろうし、みんなもそうだと思う。お互いが先頭で闘いたいと思ってるし、そうなったらワクワクするね。
Q.みなさんにお聞きします。今年、(F1そのものの)オーナーが変わりました。リバティメディアの傘下になり、彼らはこれからのF1について大胆で大きなビジョンを持っています。新しいオーナーに対して希望したいことのトップ3はなんでしょう?
リカルド:(ラス)ベガスでのレースだね。
フェッテル:(母国)ドイツのレースだね。
リカルド:そうだよね。
ハミルトン:マイアミでのレースもいいよね。パドックにもっと女性に来てもらうとか? パドックは男ばっかりだからね。
フェッテル:V12(エンジン)。
ハミルトン:V12、そりゃいいね。
Q.フェルナンド
は?
は?
アロンソ:全部いいね(笑) みんなに賛成。あとみんな同じエンジンを使うとか(笑)。
ハミルトン:それはヤダね(笑)。
リカルド:でもエレクトリックはなしで(笑)。
ハミルトン:あとホンダなしで(笑) 冗談、冗談だよ(笑)。
※イタズラっぽい雰囲気でコメントしたものの、アロンソ苦笑い。
Q.セバスチャン、あなたのマシンを判断するのはまだ時期尚早と話していますが、今年のマシンはタイトル争いに加わるレベルにあると感じていますか?
フェッテル:まだ3月だよ! それが分かるのは10月か11月だね。マシンのパフォーマンスは大きく改善することが期待されたし、トラックでもそれを確認できたよ。それが僕ら全員が最初にマシンから降りて話したことだと思う。大きく改善してるってね。ストレートのスピードも伸びてコーナーリングも速くなって、だいたい10年前のレベルまで戻せたと思う。たぶん、それよりちょっと速いかな。これまで走らせた中でも最速のマシンだっていう感触があるのは嬉しいね。
フェルナンド、テストで様々な問題を抱えながらも、あなたは新世代のマシンのドライブをとても楽しんでいると話していました。その楽しみは”痛み”を多少和らげてくれますか? それとも速くなければもう楽しいとは言えなくなりますか?
アロンソ:それらはまったく別の話だと思うよ。ひとつは新車でコーナーリングするときにどれだけ楽しくて、どれだけアドレナリンが出るかってことだから。この数年に比べて、それはいいステップが踏めたと思ってる。それは僕らドライバーたちだけじゃなくて、観客にとってもね。ここのグランドスタンドに来てくれてるみんなとテレビで見てくれてるみんなにとってポジティブなことだよ。それから、すべてのスポーツマンは自分たちの戦闘力は高いと思ってるだろうし、今の僕らみたいに開幕戦が目前に迫ってるとき、戦闘力が高ければ楽しいよ。今年の僕らにどれだけの速さがあるか見てみよう。少なくとも、単独で走行してるときは楽しんでるよ。ほかのマシンが近くにいて、自分よりもずっと速ければその楽しさもちょっと落ちちゃうけどね。
Q.シーズンの長さに関してです。今年は20戦ですが、新オーナーは25戦を考えています。25戦は多すぎますか? 20戦が適当でしょうか、それとも少なく感じますか?
リカルド:彼らがこれからどうアレンジしていくか次第じゃないかな? それほど多くはないと思う。NASCARなんかは36戦ぐらいあるしね。それは多いけど、彼らはアメリカ国内でやってるから移動もずっと少ないワケだし、ロジスティックス(輸送や移動の方法)をどうするか次第じゃないかな。僕はレースが好きだし、テストやそういったたぐいのものが減って、純粋にレースができるなら、多分(賛成)。僕らは実際、マシンに乗ってる時間よりもカメラの前にいたりそのために時間を費やすことの方が多いからね。僕はそのアイデアはアリだと思うよ。
フェッテル:25は多すぎじゃないかな。20で十分。それ以上は必要ないよ。16〜20のあいだがベストだと思う。それに、チームの労力を考えるとね。僕ら(ドライバー)は手荷物もそんなに変わらないし、仕事して帰るだけだからまぁかなりラクだけどね。僕らはラクな側にいると思う。でも多くのチームやスタッフにとってはハードワークになる。だから現状で十分だと思うよ。
ハミルトン:僕のチームのメンバーに増やしたいか減らしたいか聞くとしたら、もっとやりたいって答えると思う。移動が増えるのは彼らには間違いなくタフな仕事だけど、彼らはそれが大好きだし、没頭して取り組んでるから。彼らはモーターレーシングが大好きだけど、もちろん家で過ごす時間も大事だから。ただ、僕はダニエルと同じようにレースが好きだからレースが増えるのは反対ではないけど、(F1運営の)構造改革が必要だろうしね。少なくとも週末の内容は変えないと。もしその25戦の週末が4日間(木〜日)のままなら、なんてこった、多すぎるよって感じになる。彼ら(オーナー)がひと味加えてくれるなら、シーズンはよりエキサイティングになるだろうし、彼らにできることはたくさんあるんじゃないかな。
Q.フェルナンドはいかがでしょう?
アロンソ:僕も同じだよ。僕らはみんなレースが大好きだと思うし、レースが増えるのはいつだって歓迎するけど、それには数年かかるだろうね。
Q.ルイス、4度のタイトル保持者のセブ(フェッテル)が力をつけてきたことにどれくらいワクワクしていますか? 現世代で恐らくベスト・ドライバーであるあなたたち2人は、F1が必要としているタイトル争いを演じる素晴らしいライバル関係がスタートすると思いますか?
ハミルトン:そうだね、セバスチャンとはトラックであんまりバトルしてこなかったからもちろんそうなるのは楽しみだよ。ファンもそれを見たいだろうしね。ただ、僕らはこの人(アロンソ)にいいマシンに乗ってもらいたいんだよ。そしたら彼もそこに混ざれるし、一緒に闘える。彼が時間切れになる前にね。少なくともあと数年はやるみたいだし、だよね?
アロンソ:そう。
ハミルトン:そうなってほしいよ。僕らはまだ最高のフェルナンドを見てないと思う。F1にはそれが必要で、彼にはその力を発揮する権利がある。僕らは最高のライバルとレースがしたいんだ。それこそがファンが見たいものだと思う。そういう接戦や絶対的な競争力、そういうドライバーたちがベストを尽くしながら浮き沈みがあるところを見たいんだと思う。そんなドライバーたち全員とレースをするのが楽しみだし、そこに接戦がたくさんあってほしいね。
【翻訳:STINGER】
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Photo by Red Bull Racing / Getty Images/Red Bull Content Pool