F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

木曜日恒例のドライバー記者会見。今回は、次の6名が参加。

今回は全員が、先日惜しまれつつもこの世を去ったジュール･ビアンキとの思い出を語った。

ロメイン･グロジャン（以下、グロジャン）：そうだね、想像できると思うけど、何度か質問されたよ。僕は特定の思い出だけをピックアップすることはできない。だって、ジュールと（の思い出）はたくさんあるからね。彼の名前をはじめて聞いたのは2003年だったと思う。彼はカートとでは僕よりもずっと上手いドライバーだった。彼の方が少し若いけどね。それで、彼は僕がやってきたすべてのカテゴリーで追いかけてきたし、彼はあちこちで勝利を挙げてたよ。僕はジュールとたくさんのことを共有してたと思う。（葬儀は）すごくいいセレモニーだったよ。すごくエモーショナルだった。彼の両親は、僕らに会えたことを喜んでくれたと思う。もちろん、週末の僕らの想いは彼と一緒だけど、個人的にはレースをして、ジュールのためにレースをすることを決して忘れないよ。

フェリペ･マッサ（以下、マッサ）：ジュール、まず最初に言いたいのは、彼は素晴らしい友達だったんだ。僕らのマネージャーは同じ人なんだけど、（最初に）彼と会ったときはまだ彼はカートでレースをしててね。ニコラス（･トッド/マネージャー/FIA会長ジャン･トッドの息子）がジュールと仕事を始めたとき、ジュールのキャリアはまだカートで走ってるときで、僕はそのときに彼に会ったんだ。僕にとってはファンタスティックなヤツだったし、すごくナイスで控えめで、アメージングなドライバーだった。あいにく、彼はF1ではコンペティティブなマシンでレースを闘うチャンスがなかった。彼の才能を見せつけられるようなマシンにはね。それでも彼は、みんなが知ってるように（去年の）モナコでポイント･フィニッシュして見せた。彼があのレースでやったことはすごいことだったよ。ただ、僕はジュールと何度も一緒にカートで遊んだし、ブラジルでも（自身が主催するカート大会で）闘ったし、僕の経験から、会った中で最高のカート･ドライバーだったよ。彼の走りはスゴかった。同じようなカートで一緒にレースをするいい機会だったんだろうね。（ビアンキに起きたことは）起きて欲しくないことだった。なにが起こっているのかってことを理解するために（葬儀で）教会にいるのはすごくつらかったし、すごく悲しかったよ。ただ、彼はきっといいところにいて、それがどこであろうと、どこなのかは僕にはわからないけど、レースしながらエンジョイして、僕らを見守ってくれるハズだよ。彼はアメージングなヤツだったし、ファンタスティックなドライバーだったと思う。それから、彼の家族の最善を祈るよ。すごくつらい一日だったよ。

ロベルト･メルヒ（以下、メルヒ）：ジュールに最初に会ったのは2002年のカートのレースだったんだ。僕はスペインでレースをしてて、彼はフランスからやって来ててね。そういう若いときにスペインのよく知らない、レースをしたことがないトラックに来たときにすごく速いっていうのは本当に難しいことだけど、そいつはトラックに来てすぐに本当に速かったから、すごく驚いたのをおぼえてるよ。彼には誰もが唸らせられたよ。それから、僕は近くで彼を追いかけた。彼はいつだってドライバーだったね。たとえば、彼はいつも一番速かったし、いつもすごいことをやってた。2007年に僕がフォーミュラ･ルノーの世界にに飛び込んだときは、彼も2007年から参戦だったから何戦か一緒に闘ったんだけど、やっぱり彼はすぐ勝っちゃってね。（フォーミュラ･ルノー2.0フランスを）参戦初年度でタイトルだからね。かなりすごいことだよね？ 僕らにとって彼はモータースポーツの世界で会った最高の才能の持ち主だったよ。それから2009年にF3でも僕らは闘ったよ。いいドライバーがたくさん集まってたのに、彼は本当にラクに勝ってタイトルを奪って行ったよ。とにかくたくさんのレースで勝ってたね。それが、彼がどれだけすごいかを物語ってると思うし、正直、F1では彼のもてる力を（下位チームのマシンでは）発揮できなかったのが本当に残念だよ。彼は僕がレースをした中で最高のドライバーだったと思うし、鈴鹿で起きたことは残念だったけど、きっと彼はいい場所へ行ってエンジョイしてるハズだよ。

フェリペ･ナッセ（以下、ナッセ）：僕がジュールに会ったのは、フェリペ（･マッサ）が毎年主催するカート大会で、僕らはトラックでの時間を一緒にすごしたよ。それが彼と最初に話したときで、彼が特別なヤツってことはわかるハズだよ。人としてだけじゃなくてね。彼は僕ら全員にとっていいお手本だった。特に、僕にとってはいつも彼を（各カテゴリーで）数年あとから追いかけていたわけだからね。彼は素晴らしいドライバーになるため、将来、なにか大きなことをやってのける片鱗を間違いなく見せてた。僕は彼のことをそれほど知らなかったにしても彼をリスペクトしてるし、彼の家族の最善を祈ってる。

セルジオ･ペレス（以下、ペレス）：僕らはお互いGP2に参戦したときに会ったんだ。僕らはお互いフェラーリ･ドライバーアカデミー（フェラーリの若手育成プログラム）出身だから、彼とはそこで長いこと一緒にすごしてきたよ。ジュールがすごく特別なドライバーってことはわかると思うけど、同時に誰にでも好かれる特別な人だったよ。彼はすごく控えめで、同時に人情味にあふれてたから、彼は世界に大きな影響を残したんだ。みんな同じ意見だと思う。ジュールはすごく特別なドライバーだったけど、短いF1のキャリアでは彼のもてる力を発揮できなかった。彼（の才能）は将来チャンピオンになる可能性があることがわかるのに十分だった。彼は、本当に、本当に特別なドライバーだったよ。すごく悲しいよ。ドライバーとして、僕らはたくさんの思い出をシェアしてきた。毎日曜日、毎金曜日の午後のドライバー･ブリーフィングでね。僕らは親友ではなかったけど、いつも同じ時間をすごしてきた。僕らは同じことをしてきた。毎年、15日ぐらいおきに会ってたわけだし、一緒にたくさんのことをやってきたから、もう彼に会えないなんて、本当にショックだよ。本当に、本当に僕ら全員にとってつらいよ。きっと僕らドライバーだけじゃなくて、このスポーツにかかわるすべての人たちにとってそうだと思う。僕は先日彼のお父さんと話をしたんだけど、彼の家族全体にとってすごくつらいことだよ。ただ、彼の家族は今、僕らの家族でもあるんだ。だから僕らはどんな方法であれ、彼らを本当にサポートしたいと思ってる。ジュールは僕らと永遠に一緒だからね。ジュールがこのスポーツでしたことは…僕らにとって（F1を代表する）偉大な大使だったし、彼はずっと僕らの心の中で生き続けるよ。

ニコ･フルケンベルグ（以下、フルケンベルグ）：彼とは2008年のフォーミュラ3、2012年のF1（ビアンキはF.インディアの3rdドライバー）で2回チームメイトだった。2008年のことをおぼえてるよ。僕はフォーミュラ3の2年目でチャンピオンシップに勝ったんだけど、彼はルーキーとして参戦した初年度だった。ムジェロ（イタリア）でのレースをおぼえてる。僕はポールから、彼は2番か3番手からのスタートだった。とにかく、スタートすると僕はリードして、彼は2位に着けててね。彼は僕のミラーに写ってて、僕を倒そうと本当にハードにプッシュして追い詰められたよ。そのとき、彼のタイヤがダメになって、僕の方は大丈夫だったけど、彼がどれだけ速いか、成功するためにどれだけハングリーだったかを証明してたよ。トラックの外でも彼は楽しくていいヤツで、一緒に素晴らしいときをたくさんすごしたし、僕らはみんな彼がいなくて寂しいよ。

【翻訳：STINGER】