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GPホットライン 09-09 ドイツ

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どんでん返しのどんでん返し。ドイツGPは、レースの女神がいろいろといたずらをしてくれた。お蔭で居眠りをする暇がないレースになった。もちろん、それだけ当事者は大変だったわけだが、”やってる人が大変なほど見ている方は面白い”ということで(笑)。クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとスティンガー編集長が、ドイツGPの裏舞台をズバリ診断する。

羽端恭一(以下、羽端) ドライブスルー・ペナルティを受けても優勝? こんなこと、過去にもあったんですか?
[STINGER / 山口正己](以下、[STG]) 似たようなことはありました。セナが、ミッショントラブルで6速にスティックしたまま優勝したとか、イーヴァン・カペリがサスペンションが折れたまま完走したとか。まぁ、F1はなんでも起きる、ということで。

羽端 そういえば、土曜日の予選トップ3会見で、バトンが「マークに初ポールおめでとうを言いたいが、レースは何が起きるか分からないから、明日は別の日だ」みたいなことを言ってますよね。
[STG] そうそう、その通りになった。でも、バリチェロにもそれが起きたというのが皮肉というか。

羽端 このペナルティって、だいたい何秒くらい損をすることになる?
[STG] 制限速度があるピットを通過すると、20秒ほどのロスになります。

羽端 そのハンディを超えての優勝か、やっぱり、すごいな! でも、ブロウンがミスったから、レッドブルに勝利が転がり込んだという要素もある?
[STG] たしかにそうですけど、ドライブスルーの後のウェーバーのタイムを見ていると、凄まじくプッシュしてます。つまり、諦めていなかった。だから、バリチェロが給油をしくじってロスしたタイムが僅か5秒ほどだったけれど、それをひっくり返せたわけです。

羽端 なるほどね、マークは逆に”燃えた”んでしょうね。それで、ある記事によると、バリチェロは怒ってるらしい? チームの連中の顔も見たくない!……そうで。
[STG] それは、ピット作業に失敗して5秒失ったから、だけではではないと思います。問題はその後──。

羽端 というと?
[STG] バリチェロはバトンの前を走っていた。で、3回目の給油を先に”やらされて”ます。つまり、以前説明した”先にピットインすると負け”という理屈からして、後からピットインしたバトンがコースに戻った時には前に出ているわけで。

羽端 ははあ、チームがコントロールした?
[STG] そこまではっきりは言いませんけど(笑)。

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羽端 ちょっと前に、チームはバリチェロに勝たせたいと思ってるんだ!……といった記事もありましたけどね。こういう記事が出ること自体が、一種のカムフラージュだったか?(笑)
[STG] ですね。「うちのチームはバトンをひいきしてるよ」なんて言うわけがない。実際、バリチェロを勝たせたいってのもウソじゃないでしょうし。でも、弱肉強食ですからね、F1に限らずヨーロッパの方々の思考回路は。だから、バリチェロが、そういう扱いを受けるのがいやなら、シーズン序盤にもっとポイントを稼いでおかなくちゃ……。ま、外野から言うのは簡単ですけど。

羽端 どっちが”ナンバー・ワン”かを決めたのは、チームじゃないだろうって?
[STG] そこまではっきり言いませんけど(笑)。チームとしては(ナンバー・ツーに)温情をかけて、その結果、タイトルを逆転されたんじゃ話にならないから、当然、バトン寄りになるわけです。それからついでにいえば、バトンはイギリス人で、ブロウンはイギリスのチーム。ブラジル人よりイギリス人を応援したくなるのは人情というか。

羽端 そうやってブロウンが”脅える”のも、いまのレッドブルの「クルマ」がすごいから?
[STG] 強烈に速いですね!

羽端 ブリヂストンの浜島さんも、「タイヤ・トーク」でコメントされてますよね。
[STG] タイヤの減りが少なくて、でも、きちんとグリップしている。グリップ力が高いと、タイヤにかかるストレスが大きくなるはずだけれど、それでもきちんとグリップしているから、滑らない。だから減らない、という好循環です。もうひとつ、レッドブルには”強さ”がある。

羽端 なになに?
[STG] 今のレッドブルは、スチュワートというチームから出発して、ジャガーを経てレッドブルになった。

羽端 そうか、トロ・ロッソはミナルディの後身だけど、レッドブルは、そういう”履歴”なんですね。レッドブルとトロ・ロッソを、勝手に、ゴッチャにしてました……(笑)。
[STG] ですからレッドブルは、メンバーがみんな”叩き上げ”ということ。たとえば、ニュルブルクリンクは、かなり特殊なコースらしいので。

羽端 何か、すごい山のなかにありますよね?(笑)
[STG] このコース、標高が「ブラジル」の次に高い。そして、それだけじゃなくて、雨が「乾きやすい」という特徴がある。

羽端 そうか、「雨」が、ただの雨じゃないんだ。
[STG] たとえば予選中に、雨が降ったとします。ドライバーが、スリック・タイヤでコース上にいたとしたら、大騒ぎで「レインに換えてくれ」と叫ぶ。

羽端 ええ。
[STG] しかし、ニュルブルクリンク・サーキットは、鈴鹿サーキットに似て横に長い。だから、部分的にしか雨が降らない場合が多い。

羽端 なるほど。
[STG] 具体的には、今回の場合、雨はセクター3しか降っていなかった。そして、上り下りが多いから水が流れやすくて水はけが良い上に、風が強いからすぐに路面は乾く。

羽端 おお、「雨」と「路面」は”シンクロ”するわけではない!
[STG] そういうことになります。それに、ずっと降り続く雨ではなくて、通り雨であることが多いことを、経験者は知っている。だから、ピットで待機させておいて、雨が上がったらアタックに出すとか。

羽端 でも、もっとひどくならないうちにタイムを出しておきたいという考え方もある。[STINGER]たしかに。し
かし、そこが”経験”てヤツです。レッドブルには、その経験者がたくさんいた、ということ。

羽端 ドライバーのマーク・ウエーバーにもそれがいえる?
[STG] 苦労人ですからね。2002年にF1デビューして、このドイツでの土曜日に、F1での初ポールをゲット、そして、その翌日に初優勝(笑)。

羽端 すごいですね、生涯、最高のウイークエンドだったかも!?
[STG] それと、さっき言ったように、ドライブスルーの後に諦めなかった心の強さは、実は今年のシーズンオフに証明されています。

羽端 というと?
[STG] 自転車競技に参加して大腿骨骨折の大怪我をした。

羽端 ウエーバーがケガをしたという記事は読んだ記憶があります。原因は自転車だったんですね。
[STG] そこから凄まじいリハビリをして、ケガを乗り越えてシーズンに間に合わせた。そもそも彼の頬とか見たら、凄いトレーニングをしていることが伺えるでしょう。

羽端 そうですね。……それでね、まったくハズレてるかもしれなくて、また、失礼な話になってしまうかもしれないけど、勝手な想像では、ウエーバーって、「日産・大森」という”裏街道”からニッサンの、また日本のエースに昇りつめた、あの「星野一義」に、ちょっとイメージがダブるところがある。

[STG] ある意味、似てるかも。星野さんは、丁稚時代、使い物にならない奴と思われていたらしいし(笑)。でも、他のドライバーが嫌がるステアリングが猛烈に重いFFのチェリーのテストを含めて、「乗れるならなんでも」と積極的に走り込んで力を付けたらしいですからね。

羽端 オトナっぽい顔をしてて、徹底的に”アイドル的”でない、ところとか(笑)。
[STG] そこも、そっくり(笑)。面白いのは、ウェーバーは優勝後のコメントで、ボクを育ててくれたすべての人に感謝したい。中には数人、能力を認めてくれなかった人もいたけれど、そういう人たちも含めて”やったよ”といいたい」と、コメントしてるんだけど、その「認めてくれなかった」というのは、どうもウィリアムズのことらしい。

羽端 ムフフフ(笑)、そういう微妙なコメントって、いいですね! 何にしても、レッドブルが台頭して来たのは、ウォッチャーとしては大歓迎!
[STG] ……ですね。

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羽端 そして、これにトヨタが絡んでくるようだと、もっといいんですけどね!
[STG] たしかに。しかし、道は長そうです。そういえば、トヨタもウェーバーと同じ2002年デビューだけれど、そのデビュー戦で、トヨタのミカ・サロが終盤バトルをしてスピンして6位になったんだけれど、その相手は、今のトロ・ロッソの前身のミナルディに乗るオーストラリア人のウェーバーだったことを思い出しました。

【GPホットライン フランクフルト-西湘】

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