F1ドライバー 小林可夢偉 2010年 初春トーク 5/9
◆早くからヨーロッパを主戦場に!?
[STG] 早い段階でヨーロッパで戦うことを決断しているけれど、それはどういういきさつで?
可夢偉 ぼくが決めたわけじゃないんですけど(笑)。ヨーロッパのオーディションで、たまたま運よく、ヨーロッパに残る資格を得ただけなんですよね。
[STG] たまたま運よくね(笑)。
可夢偉 当時、ぼくは英語なんてまったくしゃべれなくて、人間じゃないって言われましたからね。イタリア人とかに。
[STG] 海外で6年過ごしたわけだけど、面白かった?
可夢偉 うーん、(時間の経つのが)早かったですね。
[STG] なるほど。
可夢偉 最近思うんですけど、ぼく、いま23じゃないですか。あと2年たったら25なんですよね。
[STG] 「小林可夢偉」にとって、23歳ってどういう年齢?
可夢偉 結構”来たな”って思いますよ。自分の中では子どもだったって気持ちがあるんですけど、もう23になって、真剣にこれからのこと考えないとマズいよなって、ちょっと思うようになってきました。
いつまでも子どもの気持ちのままでいられる人はうらやましいですね。カッコいいと思います。
[STG] え、それは?
可夢偉 友だちのおっちゃんで、90歳とかになっても香水つけてるおじいちゃんがいるんですよ。カッコいいですよね! おしゃれだし。そのおっちゃんは朝帰りするらしいんですよ。どんなおっちゃんやねん、と(笑)。
[STG] そういうおじいちゃんになりたい?
可夢偉 なりたい!(笑)
[STG] なれますよ(笑)。
可夢偉 なれないですよ。最近ショック受けてるんで。
[STG] どうして?
可夢偉 (自分が)老けたなあって。まぁ(この件は)あんまりいわないでおきます(笑)。
◆GP2での”挫折感”があったゆえに……
[STG] 去年のGP2は、成績ということではふるわなかったけど、それについては?
可夢偉 正直、あかん(足りない)のかなと思いましたね。自分の能力が。
[STG] それはいつごろ?
可夢偉 シーズンが始まって3〜4戦した頃ですね。
[STG] 当初、レギュレーションの関係で、体重の軽い可夢偉にとって、重量配分的に不利になるから、(小林可夢偉を)陥れるレギュレーションじゃないか、みたいに言われていたけれど。でもそのあと、少しずつセッティングが改善されていったようだけど?
可夢偉 その改善のペースが遅すぎるんですよ!
[STG] で、苦労した。でも、逆に言うと、それがあったから、そのギャップがあったから、F1の最後の2戦でみんなを驚かすことができたのでは?
可夢偉 まぁ、そうですね。
[STG] 余談だけど、F1の直下のカテゴリーで成功して、F1にステップアップしてチャンピオンになったのは、1970年のヨッヘン・リントと2008年のルイス・ハミルトンだけ。二人は例外中の例外です。そのことからF3000とかGP2で使うエネルギーは、F1と似てるんじゃないかなと。つまり、F1に来るまでに使っちゃいけない能力かもしれない。
可夢偉 逆に、たぶんGP2でいきなりベストな”いいクルマ”で勝ってたりしたら、F1ではあんないきなり速く走れることはなかったかもしれないですね。
[STG] GP2で苦労していた効果があった、あそこで出た、と。
可夢偉 たぶん(頷く)。
[STG] 世の中、どうなるかわからない。
可夢偉 ほんとに、わからないですよ。