ホットライン 2015 round3 / 中国GPの”確執”?!
どうやら今年は、メルセデスのダントツ・ワンパターンではなくなるかもしれないと、前戦のマレーシアのフェラーリ勝利が思わせたしかし、メルセデスは更なる高みに進化した?
だが、強いからこそのチームの二人のドライバーの間の”確執”感をさせた第3戦中国GP。クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が振り返り、今後の展開をズバリ診断する。
◆鉄壁のメルセデス!
羽端恭一(以下、羽端):スティンガーの見出しの「鉄壁!」というのが、まさにピッタリの、そんな”メルセデス・グランプリ”でしたね。
STINGER編集長山口正己(以下STG:しかし、それしかないというか(笑)。
羽端:たしかに。事前にメルセデスは、ウイングのアップデートを、時期を早めて上海で行なうなんてニュースもありました。まさに「立ち止まってない王者」という感じで、ちょっと参りました(笑)。
STG:レースでフェラーリが、マレーシアのように逆転するか、というストーリーを期待したんですが(笑)。
羽端:そう! ただフェラーリも「上がってる」んでしょうけど、でも、メルセデスが「とどまってない」もので……。
STG:そういう”F1パワー”を改めて感じる中国GPてしたm(_ _)m。
羽端:それに絡めてホンダの話をさせてもらうと、ホンダももちろん「上がってる」んだけど、メルセデスを始めとして、ほかも、それは同じことなので・・・・。どうなんでしょう、いくらやっても、エンエンと追いつかないのでは?(笑)
STG:その通りですけど、まだまだ下の方にいるホンダのあがりシロは大きいわけで。そして、ホンダが”想定”していたよりF1が手強いってことじゃないかな、と。
羽端:もちろんね、メルセデスだって技術的な”上限”というのは、きっと──きっとね(笑) あるはずなので、ホンダがその領域に達すれば、とは思ったりしますけど。
STG:岡山のスーパーGTの時に新井康久ホンダF1レーシング代表に、お会いしました。
羽端:おお、日本におられたわけですね。
STG:で、F1GPのレベルの高さを、いいわけではなくて、新井さんの言葉として伝えるべき、と、まぁ、余計なお世話ですけど、と前置きしてお伝えしました。
羽端:なるほど。それが新井さんが言う「モグラ叩き」という表現になるんでしょうか。開発途上の”トラブル出し”というか、そういうモグラ叩き状態の時期に、いまのホンダはある、おそらくね。そういう意味では、上海では、そんなにモグラは顔を出さなかったようで。
STG:その前に、F1の凄さを改めて伝える、ということは、まぁ、これも余計なお世話だけれど、ホンダ自身が認識する、ということのような。そういうことをどうしてしなければならないか、というと、F1のクォリティを、一部のマニアを除く多くの人は理解していないので、当事者が、きちんと説明した方がいいかな、と。
羽端:ははあ、モグラは想像以上にいっぱいいるんだ、と。それはわかったとして、ただ、いかんせん、最上位とは2秒くらい違いますよね。予選なんかで。
STG:だから難しい世界であることを伝えなくちゃ、と思うわけです。
羽端:逆にいうと、モグラが出て来ちゃったんで、それを叩いていたので、今回は遅かったです──。こういう方が、むしろ安心するというか(笑)、それはしょうがないよな、ということになります。でも、モグラも出なかったのに、この程度だったという方が、ほんとはマズいのかも?
STG:いやいや、そうではなくて、そうしたモグラたたきが、想像を絶する次元で出て来るのがF1GPの世界であることを伝えた方がいいかな、と。
羽端:モグラの数がハンパじゃないんだ、と?
STG:そうそう! 数もデカさも(笑)。
羽端:そのへんの「解釈」がね、どうしたらいいもんか、よくわかんないんですよ。ホンダには「夢」がある。ほかがやらない、新しいことを、本年やっている、らしい。ただし、シーズン前にモグラを無くす時間はなかった。アジア・ラウンドまでは、そんな”モグラ叩き”の時間として、金曜から日曜までを使うしかない。……こういう「解釈」でいいのか?
STG:そのモグラたたきが、”想定外”でいろいろ起きる世界であることをホンダが理解してチャレンジしていることを、まずは伝えるべきと思います。
羽端:なるほど、ホンダから伝えるべし、と? 相手も「進化」を続けていることも含めて、ですね。そういった読みと展望が、ちょっと甘いのか。あ、新井さんは、今回の結果(2台完走)にしても、まったく満足してないそうなので、これはご同慶の至りなんですけど。だから、ホンダなりの「予定」で時は流れていて、スペインあたりで、われわれを驚かせてくれるのか?
STG:いやいや、まだまだ全然先でしょうね、残念ながら。だから、まずは、F1GPのレベルを、ホンダがどう解釈しているか、そしてそれがどんなに高い頂きかを説明する必要がある、ということなんです。
羽端:ははあ、ホンダの言葉でね。それがあると、ホンダも”わかってるんだ”ということが伝わりますね?
STG:・・・・です。
羽端 まあ、いまのところ、マクラーレン側も二人のドライバーも、非常にポジティブであるというのが”救い”ですよね。だから、みんなで「オンスケジュールだぜ」として、いまレースを闘っているのかな?
STG:ドライバーや、ブーリエを代表するチームは、最初かそんなに簡単にいかないと思っていると思います。が、新井康久さんだけが、そこから外れているような発言になっているのが気になるのです。
羽端:おお、そういう感触ですか、編集長は。
STG:ともあれ、F1が簡単にいかない世界であることを、いいわけではなく、きちんと説明しておくことが肝心と思います。すでにF1は、多くの、多分これを読まない人(笑)にとって、たとえば”昭和”みたいなイメージの古さがあると思うので。
羽端:そうかなあ?(笑) “昭和”って何年前? それに、そんなに古いイメージですかねえ。編集長、ちょっと考えすぎでは?(笑)
STG:まぁ、余計なお世話なんですけど(笑)。
◆ニコは、もっとクールに?
羽端:メルセデスの二人、そしてその確執について、メディアが指摘しはじめましたよね。スティンガーも「険悪なムード!?」だったし、AFP通信なんかは、ニコが「怒りを露わにして」とまで書いてる。
STG:AFPがどれだけ、冷静に情報を伝えているか分からないけれど、間違いないのは、ニコ・ロズベルグが、追い込まれているように見えること、ですね。
羽端:でも、今回の件については、ちょっとニコがおかしくないですか? だって、首位にいたルイス(ハミルトン)が、仮に意図的にゆっくり走ってたとしても、それが3番手にいたセブ(フェッテル)を利することになった、2番手にいたニコを苦しめた・・・・なんて、そんなことにはならないでしょう?
STG:いや、なるでしょう。ゆっくり走ると、フェラーリに”2位になれるかもしれない”という、ある意味の”チャンス”を与えることになる。
羽端:う〜ん、ルイスが遅く走って縮まるのは、むしろ、首位のルイスと2位にいた自分との差であって、セブは関係ないのでは?
STG:でも、本当は、フェラーリを圧倒的に離せるのであれば、ペースダウンすることで、フェラーリのチャンスを広げることになる?!
羽端:ルイスの、ぼくは自分のタイヤ・マネージメントをしてただけ、ニコのレースに、ぼくは関われないよ・・・・というコメントは、まったく当を得ていると思いますけど?
STG:その通りであると思うしかない、というのがルイスの”策略”?!
羽端:ちょっとねえ、このニコ選手っていうのは去年から、少し「度量」が足らないというか。ヤッパ、チャンピオンは無理だよとというか(笑。
STG:問題はそこですね、というか、我々に勝手な憶測を入り込ませる”猶予”をニコは作ってしまっている、というような。
羽端:・・・・というか、弱みを見せすぎ、自身の現状を語りすぎ?
STG:もし、ハミルトンとロズベルグの立場が逆だったら、ハミルトンはそんなことを言わせない、というムードがあるかな、と。
羽端:ルイスだったら、”マイビジネス”をもっとハードにやって、パートナーより上に行くぞ、と。余計なことは喋らずに?
STG:それがロズベルグの、まぁ”隙”かな、と。でも、もっと大物で、なるようにしかならない、と言う悟りみたいなものがあるかも。
羽端:さて、連続開催となる次回はどうなんでしょう? 今週の再現VTRみたいになるのかな?(笑)
STG:いや、バーレーンは若干異なる光景になると思います、というか思いたい。そうでないと、今年のタイトルが決まったことになっちゃいますからm(_ _)m。
【西湘-西八王子】
Photos by
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team(メルセデスAMGの写真)
Honda/LAT Photographic(新井康久代表)
McLaren Honda/LAT Photographic(その他マクラーレンの写真)