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ホンダが建てようとしている「ビル」は? / ホットライン 2015 round5 2/2

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◆マクラーレン・ホンダのQ1突破は評価したい

羽端:さて、マクラーレン・ホンダですけど。
STG:レースは残念でしたが。

羽端:私は、予選でQ1を突破したことは、着実な進化として評価したいですね。
STG:まったく同感です。しかし、Q1突破したからって、喜ぶところじゃないですけどね。

羽端:ええ、おっしゃる通りで。残念ながら、決勝はサッパリでした(笑)。
STG:一歩一歩、ということで(笑)。

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羽端:でも、アロンソのリタイヤは、理由が見えてるみたいで。ブレーキが効かなくなったのは、捨てバイザーがブレーキのダクトを塞いでしまっていた。つまり、アクシデントだったと、マクラーレン側が認めてますよね。
STG:う〜ん、それが本当だったらいいんですけど。

羽端:あ、イイワケであると?
STG:いや、どうかは分かりません。が、もしそうでなかったとしても、入賞はできなかった気がします。アロンソは、予選後に、”入賞を狙いたい。しかし、数ポイントを稼ぐことが目標じゃないけどね”てなことを言ってますけど、レースになったら、気温も上がって、辛いことになったと思います。

羽端:なるほどね。そこまでは結構速かったけど。でも、不運がいつもアロンソのところにばかり発生するという感じはありますね。
STG:今回は母国GPだったので、いいところを見せさせてあげたかったですけどね。

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羽端:問題はバトンの方でしょうか。リヤにまったくトラクションが掛からなくて、低速でも高速でも、アクセルを踏めなかった、とコメントしてます。ただ、アロンソはこの手の話をしてないですから、この二人、違うクルマを作って、テストを兼ねてレースをしてるんですかね?
STG:これはフェラーリと同じならいいんですけど。どたばたして同じ仕様にできない、という見方も、いや、これは意地悪すぎるか(笑)。

羽端:うーん、それかなあ(笑)。
STG:まぁ、あと数戦は、様子を見たいですね。次のモナコはドライバーズ・コース、つまり、マシン・ポテンシャルは、スペインGPほどは出ないかも。

羽端:リヤのトラクション不足は、パワーユニット担当のせいではないですよね。このグランプリ、ホンダは一息つけたのでは?
STG:いや、どうでしょう。今回の理由は分かりませんが、トラクション不足はエンジン特性からセッティングした結果のサスペンションのせいかも。あ、これも意地悪か(笑)。

羽端:フフフ(笑)。でも、一段一段「階段」は上っていると思いますね。それに、こうやって、一段ずつ上っていくしかないのだとも思いますし。
STG:ですね。

◆ホンダが建てようとしている「ビル」は……?

羽端:でも、「ビル」は12階建てくらいですからね。いま、ホンダ&マクラーレンがいるフロアは3階くらいですか?(笑)
STG:いや、隣のビルだったりして(笑)。

羽端:ハハハ(笑)それは……あるかもですね。ただ、そういったことも含めて、ホンダはいっそのこと、全部「発信」しちゃったらどうかと思います。日本に向けて、だけでもいいから──。ホンダ側がいまやっているのは、「私たちの目標は12階です、ちゃんとわかってます」と言ってるだけ。このビルにはエレベーターはないんですとか、一段一段、階段を上がっていくしかないんですとか、そういうネタはまったく「発信」されてない。
STG:仰る通りです。12階まで二人で狭い階段を使ってピアノを運び上げる作業なんです、みたいな感じにね。

羽端:そうそう。
STG:でも、ホンダ自身がそのことを分かっていないのではないかな、と。新井康久さんのコメントや、スペインGPに今年初めて登場したモーターホームでの噂とか、大丈夫か、ホンダ、といいたくなっちゃう。

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羽端:カタロニアで、何かあった?
STG:些細なことといえば些細なことなんだけど、とある日本人フォトグラファーがフェイスブックに上げていたんですが、モーターホームに(本田)宗一郎さんの写真が飾ってあったので撮影したら撮っちゃだめ、と制止された。ビックリしていたら、翌日その写真が外されていた、とか。

羽端:何ですか、それ?
STG:なんでしょうね(笑)。

羽端:ちょっと話は飛びますけど、何だっけ、「ビルドゥングスロマン」だったかな。ドラマや物語を作る方法で、教養小説とか成長物語とか、そんな風に訳されるスタイルがある。はじめは無知で何もできなかった主人公が、学習したり経験したりして、だんだん成長していく。たとえば、板前さんが一人前になっていくドラマとか、そういうのありますよね。ここまではできた!と主人公がニッコリして、読者や視聴者はそれを応援していく。
STG:「あしたのジョー」も、もっと強くなるために少しずつ、読者も一緒に成長していく。

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羽端:そうそう、それです! 矢吹ジョーもまず、最初はジャブを覚えてね。ホンダも、「5階建てのビルなら、すぐにでも建てられますけど、それじゃ意味がない。世界には10階建て、12階建てのビルがあるので」とか言ってくれれば、ファンだって待ちますよ。マクラーレン側、ドライバー側が「待てる」のは、そういうことがわかってるからでしょう。
STG:なので心配なのは、ビルを建てようとしているけれど、よく見たら隣に基礎を造ってませんか、みたいな。

羽端:おおー! それはねー……。その基礎工事のコンセプトがどうなんだろうかという懸念は、私もちょっと持ってたりしますけど。
STG:なんでもいいけど、早く普通にQ3を走ってほしいですね、とりあえず。

羽端 ただ、もしホンダ的な「ビルの建て方」が既存のものと違うのであれば、その方策の一端も公開してほしいですね。ホンダのHPには、今日のF1パワーユニットには「電動と回生」が含まれてます・・・・ってことは書いてあって、その説明のための図版もある。だけど、「この図は実際のホンダPUを示すものではありません」という意味の断わり書きが、ビシッと添えられている。これはつまり、みなさんにはホントのことは何にも教えませんよ、と言ってるのと同じで・・・・。
STG:それは、図を見て、誤解をされては困るという意味かもしれないですね(笑)。

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羽端:そうか(笑)。ともかく、いまの状況というのは、ホンダにとって、逆にチャンスだと思うんで。
STG:大切なのはそこですよね。哀しいけれど、”F1″というフレーズ、マニアを除く多くの日本人にとっては、大袈裟にいっちゃうと”昭和”と同じ古いイメージになっちゃっているんじゃないかな、と。これを改めて訴求して、『F1グランプリ』のクォリティを広く伝える仕事がホンダが最初にやるべきことだと思います。

羽端:ホンダは、「成長物語」の主人公であるわけだから。そういうドラマなんだってわかれば、視聴率も上がるし、それを見ようとファンも集まってきます。
STG:仰る通りです。気づいてください、ホンダさん!!(笑) ちなみに、『ホンダ』と一口に言っても、本社と研究所があるわけで、そこがまたややこしい。とりあえず、ホンダ本社の方々、お気づきを!!ということで。

羽端:そのへんの”風通し”ですね。でも、研究所にも、たしか広報担当はいたはずで。
STG:しかし、勘違いしやすいのは、運営というか参戦しているのは本社で、研究所は、いわば下請けとして作業を担当している、という関係ですね。情報の獲得や発信で、本社と研究所で、それがちゃんと伝わるようにしてほしいです。

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羽端:おそらく「レース屋」のロジックとしては、そんな「広報」なんて要らないよ、シークレットばかりなんだから、ということだと思う。でも、ホンダはそうやって「レース」もやってるけど、一方では「メーカー」でもあるわけで。レース活動にしても、メーカーとしてファンを増やしたいということでやってるわけでしょ。だから、そこは英断ですよ! 
STG:いや、広報なんかいらないと思っているのではなく、それは研究所の仕事ではなくて、本社の管轄、ということかと。予算を出しているのは本社ですから。なので、英断というか、当たり前のことでしょ、それは。それができないないことがどういうことか、ということかと。

羽端:そういうことのために「メーカー広報」はあるはずで。
STG:広報もだけれど、モータースポーツ部も、ですね。

羽端:もし、コメンテーターは新井さん一人に決めてるんだ、彼以外は喋らないようにしてるんだ・・・・ということであれば、じゃあ、その新井さんのコメントやその中身を、メーカー広報として、どうプロデュースするか。
STG:ですね。外野が言うのは簡単ですけど(笑)。

羽端:・・・・なーんて思ってたら、今回のスペインでは、プロブレムは”ブレーキダクト事件”であったり、リヤのトラクションであったり。いわば、ホンダのあずかり知らぬところでのトラブルでしたね。
STG:いやいや、預かりしれないとしても、そのチームを選んだのはホンダですから。”愛してるよ”と誓って結婚して、いびきがでかいからいやになっちゃう、といっても、それは結婚した両方の責任、ということで(笑)。

羽端:うまい! 座布団二枚あげたい(笑)。でも、「ビル」の話に戻すと、ホンダは「3階」くらいだったのが、スペインで「5階」までは上がったのかな?
STG:同じビルであることを祈ります(笑)。

羽端:お、そこに戻りますか(笑)。まあ、そういうことも含めて、ファンとしてはいろいろ「わかりたい」ですよね。
STG:まさしく!!

【西湘-西八王子】

Photos by
 Honda Racing/LAT Photographic(トップ画像)
McLaren Honda(マクラーレンのファクトリー)
Infiniti Red Bull Racing /Getty Images/Red Bull Content Pool(F1のフラッグ)
McLaren Honda/LAT Photographic(その他)
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