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ホットライン 2016 round18 / アメリカGP–マクラーレン・ホンダのいいレース!!

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ルイス・ハミルトンが久々に完璧なレースを見せ、終盤をマクラーレン・ホンダのアロンソの活躍と久々に面白いレースだった。マクラーレン・ホンダが復帰後、初めて上位で『バトル』を展開、手に汗握る終盤を演出した。

クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が、シリーズ終盤を迎えたアメリカGPを振り返る。


◆”いいレース”をしたマクラーレン・ホンダ

羽端恭一(以下、羽端):いやあ、よくわからない(笑)。
STINGER編集長(以下、STG):えっ?(笑)

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羽端:アメリカ・グランプリの決勝、マクラーレン・ホンダが大健闘で、アロンソとバトンが二人とも入賞した。これはいいんですが、ただ、ギモンがいっぱいで。
STG:たとえば? 

羽端:ひとつは、鈴鹿の日本グランプリとの違いです。あんなに鈴鹿では冴えなかったのに、今回の決勝レースは別人というか、まるで別チームのような”デキ”で。これはやっぱり、前回もちょっと喋ったように、鈴鹿という「場」が、きわめてむずかしい。セッティングとか。要するにそういうことなんでしょうか? 
STG:鈴鹿は、高速性能とコーナリングの高度に融合した厄介なコース、というのがまずあると思います。

羽端:ははあ。そして、このサーキットof the アメリカズは、チームにとって、そんなに「難解」ではない? 割りと「答え」が出しやすいコースで?
STG:鈴鹿に較べれば、”差が出難い”といえるかもです。なにせ、サーキットof the アメリカズは、名前からして近代的で、ヘルマン・ティルケさんが知恵を結集してデザインしましたから。

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羽端:それ、賞めてますか?(笑)。
STG:まぁ(笑)。世界各国の名コースのコーナーを模して、ということですけど、計算ではできない難しさが、鈴鹿のようなオールドコースにはある、ということでしょうか。特に鈴鹿は、一筋縄ではいかない。

羽端:なるほどね。人工的ではないっていう部分かな。
STG:鈴鹿も最近は、いろいろ改善して、昔とは違ってきていますけど、それでも難しさは残っていると。特に、1-2コーナーからS字区間にかけては、ダウンフォースとメカニカルグリップのいいところを見つけ出すのは非常に難易度が高いようですね。

羽端:鈴鹿とアメリカの違いは何とか見えましたが、もうひとつ。基本的なところでのギモンがあるんですけど。
STG:どんな?

羽端:アメリカで、フリー走行から予選まで、つまりレース前まで。この時にマクラーレン・ホンダは、率直に言って、あまり冴えませんでした。予選結果としても、Q2止まりだったし。
STG:ですね。

羽端:でも、決勝では違う面が出せそうだというコメントは、実はチームからは出ていて、実際にもそのようになったわけですが。
STG:まぁ、チームはいつもそう言いますけど(笑)。

羽端:ただ、素朴なギモンとして(笑)、「土曜まで」と「日曜日」とで、チームのランクというかポジションが、こんなにも変わるものなのかな、と。これが今回はとくに気になったというか、わからなかった点でした。
STG:う〜ん、確かに、予選になると、エンジンのマッピングを、耐久力や燃費を無視したプログラムに設定できて、パワーが出るから速くなる、というやり方をどのチームもしますが、メルセデスは、そこの上りシロがでかい。それはエンジン本体に余裕があるからで、そこがメルセデスが一歩リードしているところのようです。

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羽端:あ、ホンダF1レーシングの長谷川さんがおっしゃってましたね。”電気の部分はやり切っていて、問題はエンジン本体”というようなことを。
STG:ですね。で、レースになると、メルセデスとて耐久性を当然考慮しなければならなくなるので、その差が若干縮まる、と考えることができます。

羽端:ははあ!
STG:なので、鈴鹿でもそれを期待したんですけど。鈴鹿では、”セッティング”という問題が頭をもたげて、そうはならなかった。

羽端:そういえば、ハースなんかも、予選は良くても、決勝イマイチといったことがありますね。
STG:ある意味、その差がないことが強いチームの証明とも言えそうですね。

羽端:アメリカでは、マクラーレン・ホンダは決勝の戦略については、セッティングも含めて、割りとできあがっていた? 
STG:う〜ん、いつも同じような深さで考えていて、今回はうまくハマった、ということかと。

羽端:鈴鹿はそうじゃなかった?
STG:そんな気がします。この辺りの分析が完璧にできるなら、とっくにレースエンジニアになってますけど(笑)。

羽端:それにしても、今回のアロンソは激走でした! 
STG:実は、鈴鹿の金曜日のスピンをみて、ちょっといやな予測もありました。最初にワールドチャンピオンになったのが2006年で、もう、10年前ですから。

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羽端:ええ、書かれてましたね。アロンソ、ひょっとして錆びついちゃったのか、と?
STG:というような傾向を感じた、と。でも、今回はその心配を完璧に払拭してくれました。疑ってごめん、フェルナンド(笑)。今回は、果敢さと武士道が活きた正々堂々な走りが復活して、手に汗握りました。

羽端:フェリペ・マッサのウィリアムズを抜いたのは、なかなかのチカラワザでした。
STG:あれは、アロンソの果敢さが凄すぎて、百戦錬磨のマッサも、あそこでインに来るとは思えなくて、だから左にハンドルを切っちゃって当たった、というようなことかと。結果として、レース後の審議対象になったけれど、お咎めなしでしたね。

羽端:マッサはアロンソが見えてなかった説もあるようですね。言い換えると、それほどに素早い動きをアロンソが見せた。
STG:サインツ+トロロッソを抜いた最終ラップの姿勢も素晴らしかったですね。スペインの先輩フェルナンド・アロンソの凄さを、カルロス・サインツは再認識したんじゃないかなぁ。

羽端:アロンソ・ファンは日本にも多いですよね。彼を、もっと良いクルマで走らせたいなんていう、ファンの意見も聞こえてきますが。
STG:いやいや、マクラーレン・ホンダにそうなっていただきましょう(笑)。

羽端:彼の「選択」でもありますからね、マクラーレン・ホンダは。でも、今年はやっぱり、表彰台はむずかしいんでしょうね。 
STG:長谷川さんがキッパリおっしゃっていたように、トップ3までの差が大きいですから。まともに行ったら7位にしかなれない。さらに、そこにフォースインディア、ウィリアムズ、トロロッソが絡んでくる。

羽端:そのウィリアムズとトロロッソを終盤に続けざまに食った、ということですね、今回は。
STG:なので、状況はどうあれ、そういうレースを楽しませてくれたフェルナンド・アロンソに感謝したいですね。


◆どうした、フェラーリ? 

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羽端:さて、今回はもう一人。ルイス・ハミルトンが素晴らしかった。
STG:というか、最近、らしくなかったというか。ルイス・ハミルトンにとって、今回のようなレースが”普通”と思いますけど(笑)。 

羽端:ポールから出て、スタートも問題なく、あとはずっとレースをコントロールしていた。
STG:完璧でしたね。

羽端:そうですね。彼にとってもこのアメリカは、今年の中での”良いレース”のひとつだったのでは? 
STG:う〜ん、そういう喜べる状況かどうか。

羽端:それは?
STG:ニコ・ロズベルグがなんだか余裕しゃくしくで2位になったように見えました。要するに、タイトル争いを考えると、ハミルトンはこの勝利に喜んでばかりはいられない、というか。

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羽端:そう、ニコ・ロズベルクはしっかり2位を確保したので。
STG:ルイスは優勝で25ポイントをゲットしたけれど、相手が2位だと、縮まったのは7点だけですから。

羽端:もう残り少ないけど、ただ、何となく、もう一波乱ありそうな気がするんですが、これはまったくの”気のせい”ですかね?(笑)
STG:実際には、もう一波瀾は簡単には起きそうもないですけど、可能性には期待したいですね。ハミルトンのファンは全員そう思っているはずだし。問題は、ハミルトン本人がどこまで真剣にそれを意識できるか、というようなことかと思います。

羽端:まあ残りもきっと、今回みたいな結果になるんでしょう。ルイスが勝ったとしても、ニコは表彰台にいる。だから、ポイント差は縮まらない。
STG:でも、ハミルトンが勝って、仮にロズベルグが取りこぼすと、3位だったら10点、4位だったら13点、5位だったら15点縮まるわけで。

羽端:リタイアしたら25点。
STG:そういうことです。なので、ルイスは優勝しかないけれど、ニコもそう呑気にしていられるわけでもない。まぁ、可能性ではほぼ、ロズベルグに決まりと思いますけどね。

羽端:ええ。今年は「ニコの年」でいいのでは。
STG:まぁ、でも、レースはわからないですからね。

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羽端:レッドブルが速くなったのはおもしろいですが、一方で、フェラーリが地盤沈下気味なのが気になりました。
STG:セバスチャン・フェッテルは4位になったけれど、”いたの?”って感じだったですね。

羽端:ライコネン・チームのホイールが締まってなかったというのは、ちょっとオソマツでしたし。
STG:なんともというか、フェラーリらしいというか。浜島裕英さんは”古巣”の体たらくを悲しんでました。

羽端:残りのどれかで、レッドブルが一勝してくれないかなあ! こういうドラマがちょっとほしいなと思う昨今(笑)。
STG:ちょっと期待したいのは、次の高地メキシコであるってことですかね。本来的にはメルセデスと他の差が広がる状況ですけど、変化は全員に公平で、逆に言えば、速いチームほど落差が大きくなって、なにかが起きる可能性が高くなる、みたいな。

羽端:ははあ! ただ、メルセデスが2台とも、レッドブルの下に来ることは、アクシデント以外ではあり得ない? まあ、そうなんですけどね。
STG:スペインの再現(笑)。それもシラケるし。まぁ、神のみぞ知る顛末を待ちましょうか。

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[STINGER]
Photos by
Red Bull Racing / Getty Images/Red Bull Content Pool
McLaren Honda/LAT Photographic
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team
Ferrari S.p.A / FERRARI MEDIA
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1位レッドブル・レーシング860ポイント
2位メルセデス409ポイント
3位フェラーリ406ポイント

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