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ホットライン 2016 round1 / オーストラリアGP(1/3) 開幕戦のホンダ

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新しいシーズンの始まりは、いつも新鮮で興味津々。今年もその例に漏れず、開幕戦のオーストラリアGPは話題満載の週末になった。

クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が、まずは、気になるホンダの開幕戦を振り返り、今後の展開をズバリ診断する。


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◆2016年、ホンダは新体制へ

羽端:お疲れさまです。うーん、いろいろありすぎて、何から喋ったらいいのやら(笑)。
STG:確かに(笑)。

羽端:長電話になってしまっても、いいですか?(笑)
STG:大歓迎です(^^ゞ 。

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羽端:では、話はちょっと古くなっちゃうけど、2016年にあたって、ホンダがF1に臨む社内の態勢を変えましたよね?
STG:新井康久代表から長谷川祐介F1プロジェクト総責任(→マクラーレンのチームディレクターのエリック・ブーリエと談笑中)に交替しましたね。

羽端:ようやく動いたか、という感じもしますけど(笑)。で、今回の長谷川さんというのは、第三期の時の?
STG:その時のホンダF1レーシングのプロジェクトリーダーの木内健雄さんの推挙で現場にいました。

羽端:木内さんは、確かセナの?
STG:です。第二期の例の16戦15勝したマクラーレン・ホンダでセナ担当エンジニアでした。セナが渡したデータを破ったのを見て、”もう、お前のエンジンは作らない”と言ってセナを泣かせた強者です。セナはそれ以来、すっかり木内ファン。実は私の大学の後輩なのです。

羽端:お、それは自慢していいのでは?
STG:自慢にしかなりませんけど。

羽端:ハハハ(笑)。長谷川さん、ニュース写真なんかでご尊顔を拝見して、いい顔しているというか、レース屋の顔だなと思ったので。
STG:ともかく、第二期の真っ只中にいたその彼の推挙なので、ホンモノってことですね、少なくともホンダ陣営のなかでは。

羽端:何で、最初から長谷川さんが担当しなかったんですかね?
STG:う〜ん、1年間やってみて、F1が分かったというか。

羽端:あ、ホンダって「ゼロ・スタート」っていうのがすっごく好きなんですよね(笑)。
STG:それもあるかも。

羽端:それまでやってこなかったことを、やらせる。かつて、社内研究でF1マシンを作ってみた時も、集まってきたスタッフに、その人が普段やってない分野を担当させた。エンジン屋が車体をやったりとか。その逆もあったのかなあ。
STG:志やよし、ということですね。

羽端:社内風土として、そういうのがあるようです。で、社内での研究で何かやるという場合なら、それでもいいですけど、今回のF1みたいなことは、言ってみれば他社とのジョイント・ベンチャーであるわけで。
STG:う〜ん、ジョイントに見えている限り競争力があるマシンはできない気がしますけど。

羽端:”いつものホンダ”と同じようなこと、してなきゃいいけどな〜と、ちょっと気にしてました。マクラーレン側がいっときイラついていたのも、俺たちは「クロウトと仕事したいぜ!」だったんじゃないかな、とか。まあこれは、見当外れだとは思いますが(笑)。
STG:いや、その通りだと思います。プロというか、本気というか、サラリーマンという表現はちょっと乱暴だけれど、会社に所属して言われた業務をやっている、てなことではF1は戦えない。

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◆マクラーレン・ホンダは”サイズ・ゼロ”でいいのか?

羽端:話がどんどんムカシに戻っちゃいますが(笑)、たとえば、両社の最初の打ち合わせでね。マクラーレン側が”サイズ・ゼロ”とか言って、こういう車体でやりたい、こうすれば空力はすごく良くなるんだとか、言いだしたとしますよね?
STG:フム。

羽端:その時に、わかりました、わがホンダはエンジンにしても、また電動(ハイブリッド)にしても、何でもやって来たし、また何でもできるので、それでオッケーです、と。こう簡単に請け合っちゃうのはシロウトだと思うんですよ(笑)。
STG:う〜ん。

羽端:車体側からの見解はわかりました。ところで、いま速いF1のパワーユニットを作ってるのはどこですか? それは何馬力くらい出ているんですか? そういう質問のあとに、なるほど、そうすると、xx馬力以上ないとレースで”勝ち負け”することはできませんね、と。そこから、担当者に(サイズ・ゼロの)このくらいのスペースでxx馬力出せそうか?と確認して、できるならできる、できないならできないとかリプライを返す。そうした議論を闘わせた挙げ句に決まったのが現状なのか。それとも、けっこう安直に、蛮勇
とともに(笑)請け合っちゃったのか。
STG:私の意見は、ちょっと違います。”どこですか?”とか、”何馬力出てますか?”という質問の瞬間に失格。そんなもん、自分でデータ持ってろ、ってことなので。

羽端:おお!
STG:以前、ヤマハがジョーダンGPにエンジンを供給した1992年の開幕戦で、オーバーヒートの問題が出た話がありますが、その瞬間にシーズンが終わったと思いました。ラジエターの大きさは、車体側とエンジン側が一体になって取り決められるべきだからです。エンジン屋は大きい方がいいけれど車体屋は小さくしたい。その両者の要求の合意点の大きさであるべきで、オーバーヒートしたということは、それが合議になっていなかった証拠で、闘いにはならないからです。

羽端:なるほど。
STG:一方で、フェラーリが、車体が一昨年は「細かった」のが去年「太く」なって、そうなったら、速くなったけれど、さらに今年に向けてもう一度細く絞り込んでメルセデスに迫っています。チャレンジしないと。そもそもそれがホンダなので、サイズ・ゼロの考え方は正統だと思いますよ。

羽端:まあホンダのエンジン技術は凄いから、どんなエンジンでも、どんなパワーユニットでも作れる。今回はたまたま、「F1をやるための時間」が足りなかっただけで、時間さえ経てば、サイズ・ゼロのコンセプトのままで、もの凄いエンジン&PUが出現するのかもしれないですが。
STG:いやいや、その凄さをホンダが本当に思っているのだとしたら、F1をナメていることになっちゃいます。実際には、結果が物語っているように、そして長谷川F1プロジェクト総責任がおっしゃるように、「ぜんぜん満足できないレベル」です。これは、ホンダに力があるかどうか以前に、F1に対する取り組み姿勢の結果と思いますけど。

羽端:ははあ。ホンダだけがエンジンやその燃焼、そして冷却などに関して”魔法”を持ってるとは思えない。というか、物理学ってグローバルで普遍的なものでしょ、シロウト意見ですけど(笑)。
STG:まさしく。しかし、テクノロジーの基本姿勢は、業務じゃなくて戦争ですから。

羽端:あ、言いたいのは、たとえばですけど、こうすれば現状プラス100馬力のエンジン&パワーユニットにできる、だから、これが積めるような車体を作ってくれ、と。こういう提案ができる関係なのだろうか、と。もちろん、そういう相互的なジョイントであってほしいわけですね。「サイズ・ゼロ」については、相互に了解して始まったことだと、マクラーレン側もホンダ側も、聞かれるといつもキレイに口を揃えるけど、その「了解」のカタチ、それはどうだったのかな、と。
STG:その関係じゃなかったら、そのはるか手前でF1をやる資格なしと思います。なので、そうだったはず、と思いたい(笑)。だからこそチャレンジで。3月に上梓させていただいた初めての著書(『双頭の夢  HONDA F1 魂のルーツ』)で書きたかったのはそこでした(笑)。

羽端:それで、初戦オーストラリアでのホンダ&マクラーレンですけど、アクシデントや赤旗なんかもあって、結局(その実力は)よくわからなかったということでしょうか?
STG:いや、確実に進化したと思いきますよ。

羽端:お〜!!
STG:ただし、他チームも進化しているわけで(笑)。

羽端:そう、そこがF1の凄いところで(笑)。ただ、今回の予選は出て行くタイミングとか、そういうのがみんな失敗だったような?
STG:それについても長谷川F1プロジェクト総責任は、キッパリと、「ぜんぜん足りていない」と言ってますね。

羽端:そして、決勝の方がウチは速いんじゃないかという、バトンなんかのコメントもあって?
STG:その”決勝の方がウチは速い”って、どこに比べてでしょうね(笑)。

羽端:そうか(笑)。
STG:予選より決勝の方が戦える、ってことなら理解できます。実は、目標はQ3入り、というのは実力の問題なので、簡単じゃないと思ってましたがその通りでした。ただし、決勝の結果を、”〇〇位になります”というのはそれこそ素人の答え。だって、何が起きるか誰にもわからないことを分かっている人は知っているわけなので。

羽端:実際にもそのような展開になりましたが、残念ながらアロンソが他車と絡んでしまって。「if」を言ってもしょうがないですが、もし、アロンソがあのまま走れていたら、入賞も?
STG:それは言えますね。ただし、チーム側にひとつミスがあったとしたら、アロンソに、追突したグティエレス+ハースは、最初から「エンジンが不調」とピットに伝えていたことをアロンソに伝えなかったことかと。

羽端:おお、そういうこともあったんですね。
STG:ただ、今回は、予選方式だけじゃなくて、無線の使い方にずいぶん制限ができて、その辺りが心配で伝えられなかったのかもしれないですけど。

羽端:じゃあ2016年シーズン、マクラーレン・ホンダの性能向上はどの程度なんでしょう。
STG:間違いなく進化した。しかし、進化、とか期待、とか、漠然としていて、つかみ所がない。長谷川F1プロジェクト総責任は冷静に、「中団で、ちゃんとポイント圏内を争いたい、と思っています」と言ってます。さらに、「結果がすべてなので、去年と同じじゃないか、と言われれば、それまでで、残念ですね」とも。

羽端:うーん、なるほど。”上”とはやっぱり1秒半違ってたような。
STG:去年より格段に縮まってますからね。新チームのハースが6位になったように、安定して長谷川さんのおっしゃる『中団』にいられれば、いい結果がついてくると思います。

羽端:でも、ひとつ今年で”いいな!”と思ってるのは、ホンダが「まずはQ3」という目標を掲げてるというか、公表してますよね。これが、地に足がついている感じで。実際にも、オーストラリアでは、Q3には届いてないわけで。
STG:長谷川さんも言っているように、簡単じゃないと思います。メルセデス、フェラーリ、ウィリアムズ、レッドブル、フォースインディア、そして今年は、トロロッソが速くなっている。1チーム2台ですから、これを食わない限り13番手ってことですからね。

羽端:確かに。でも
まあ、もう一戦、早く見たいですね。マクラーレン・ホンダが予選でどのくらいか、決勝のレースでどのくらいのペースなのか。
STG:第5戦辺りまでに、勢力図が明確になると思います。しかし、ソフトは短時間で修正が効くかもしれないけれど、ハードであるパーツは、設計からテストを経て実戦に投入できまるで、数カ月かかるといわれています。今回取れたデータが修正が必要だったとすると、今年はかなり厳しい、という観方もありそうです。

羽端:う〜ん、シーズン前テストとオーストラリアの状況からは厳しいか。
STG:ただし、それは最も厳しい観方なので、そうでないことを祈りましょう(笑)。

2/3につづく)


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