ホットライン 2016 round1 / オーストラリアGP(2/3)–予選の行方
メルセデスの強さ動かず。ハミルトンが50回目のポールポジョンを決めたが、フェッテル+フェラーリ が3番手。フェラーリの進化も証明された予選だった。
新しいシーズンの開幕戦では、新システムの予選も話題になった。1分30秒毎に1台ずつ消えていくという複雑なシステムに反対意見が多かったその予選は、盛り上がりにかけ、今回限りというある意味歴史的な事態となった。その話題の影に隠れてしまったが、フェラーリがメルセデスにグンと近づいたことも覚えておきたい。
クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が、”今回限り”の予選”を振り返る。
(1/3からつづく)
2/3
◆”寂しい予選”は今回限り?
羽端:ところで、予選なんですけど?(笑)
STG:残念ながら盛り上がりませんでしたね。
羽端:予選ももっと盛り上げたいというか、ショーアップしたいというのが、予選の方法変更の狙いですよね?
STG:まぁ、終わってからはナントでも言えますけど(笑)、要は人為的な操作は、たいていうまく行かない。というか、元々、より多くの人に分かりやすくする、という思考回路は、人気を高めるためには必要に違いないと思いますけど、そもそもモーターレーシングは分かりにくいものなんだから(笑)。
羽端:だいたい最後の最後、2台だけが残って壮烈なポール争いを繰り広げる! なんて、そんなこと滅多に起こらないですよ(笑)。同じチームの2台だったら、そんな無用な争いはしないだろうし。
STG:いや、それは去年も、メルセデスの2台が最後に争っていたので、ない話じゃないと思います。今年はそこにフェラーリが絡む可能性もあったし。
羽端:確かに。
STG:実際に、フェッテル+フェラーリ は、去年より確実にメルセデスに接近してますね。まぁ、まだポールポジョンのハミルトン+メルセデスに0.8秒ほど行かれちれちゃってますけど、去年は、1.4秒以上の差があったわけで。
羽端:フムフム。
STG:新システムの予選のことだけでなくて、2016年の開幕戦は、フェラーリがメルセデスに接近したことが見えた、という事実も覚えておきたいですね。
羽端:なるほどね。
STG:でも、新方式だと、途中で展開をチームは読めてしまうから、チェッカードフラッグが出た瞬間には、誰も走っていないってことになっちゃって、だからセバスチャン・フェッテルは、「それは最初から分かっていたのに」と会見でコメントしてました。
羽端:上位チームほど、自分たちとライバルたちのタイムを知ってるから、すぐに(あ、これはキマリだな)とわかるはずで?
STG:ですね。我々外野はわからないことでも、チームは緻密に展開を検討してあらゆることを想定していますからね。”先”が読めてしまって、決勝レースに向けてタイヤを温存する方を選ぶに決まってます。
羽端:仮にですけど、予選をもっと”戦争”にしたいのであれば、予選用として必要なタイヤを配ればいいんじゃないですか? 日曜日の決勝とは関係なく、予選用のタイヤを使い切っていいんだというレギュレーションにすれば、みんな燃えるのでは?
STG:その通りなんだけれど、ただし、問題は、F1が広く世界中に伝わることです。だから、”安全”や”エコ”に関しては、神経質に対応せざるを得ない。
羽端:それがタイヤとどう関係するんです?
STG:5億人がテレビを観ていると言われているじゃないですか。タイヤをどんどん使っていい、というのは、エコに見えない、という声が出るかもしれない。
羽端:あ、なるほどね。でも、エコをそんなに気にしなきゃいけないのかなあ?
STG:いらん情報が広がると、面倒な”正論”が、たとえそれが正しい認識ではないにしても、少数意見でも幅を効かせてきますから。その対応もFIAは考えていると思います。いずれにしても、そうそう簡単じゃないってことでしょうか。
羽端:バーニー先生は、リバースグリッドにしたいんだそうですね。
STG:注目を集めるための話題作りの発言と思いますけど(笑)。F1でそれをやったらどんなに危なくなるか分かっているはずなので。
羽端:アハハ(笑)。
STG:要するに、人為的に面白くしようという魂胆がダメ。それを理解してあげたい、というか(笑)。
羽端:でも、結局第2戦からは、従来通りに戻るんでしょ?
STG:”もっと早くきづけよ”とも思いますけど、やってみなければわからなかったことをやってみて、即座に反省した、という解釈をしておきましょうよ、世界平和のために(笑)。
(3/3につづく)