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ホットライン 2016 round9 / オーストリアGP–ぶつからないで!!

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レースの醍醐味は、何が起きるかわからないことだが、オーストリアGPは、まさしくそんなレースだった。とはいえ、ぶつかったらダメ、という不文律が護られなかったのは少々残念。観たいのは、マシンのではなく、高度な技のぶつかり合い。

そうはいっても、マクラーレン・ホンダのまずまずの活躍もあり、中盤戦を楽しみにしてくれた波瀾のオーストリアGPだったことは間違いない。最後にアッと言わせたその闘いを、クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が振り返る。


◆”二人のニコ”にガッカリ?

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羽端恭一(以下、羽端):フフ(笑)、ファイナル・ラップでしたねえ!
STINGER編集長(以下、STG):フフって(笑)。

羽端:でも、あれはスチュワードの裁定通りだと思う。インカーの映像がありましたけど、イン側にいたニコ(ロズベルク)はステアリングを切ってない。コーナリングしてました〜という(ニコの)イイワケは無理だと思います。ルイス(ハミルトン)が外から来るまで、ステアリングは真っ直ぐのままで、ぶつかるまで待っていた。そして、ルイスを押し出したあとで、ようやく右にステアしている。
STG:そのようでしたね。接触の瞬間を前方から捉えた映像では、ルイス・ハミルトンが急激にステアして当てに行ったように見えたけれど、もう、ステアしないと曲がれないギリギリまでニコ・ロズベルグが膨らんできていた。

羽端:”ボクは悪くな〜い”とか、”外からルイスが被せてきた”とか、イイワケがみっともないですね。せめて、懸命に曲がろうとしてたんだけど(タイヤが)ロックしたのか、あそこで真っ直ぐ行っちゃって、とか言ってほしい。でも、そもそも、曲がろうとしてないんだから、そうは言えないか(笑)。
STG:確かに。

羽端:だいたい、せっかくイン側にいるんだから、何であんなことしたんだろう? さっさとコーナリングを開始して、ガラ空きのインから先行すればいいだろうし。そして、そうやった後でルイスが来たのなら、それこそ、みなさん、ここで彼は被せて来ましたよね〜と、そこで押し出すとか(笑)。アンダー(ステア)が出ちゃった振りでもして。
STG:ここで、ドイツ人嫌いの人が、ほら見ろと言いそうな(笑)。しかし、そもそもニコはドイツ国籍だけど、フィンランド人の父を持つモナコた育ちですからね。
それよりも、ある種の”自信”というか、これは何度も言いますけど、去年のメキシコGPで大スタジアムで優勝をスタンディングオベーションで讃えられてから、彼は変わった、と。もしかするとルイスは、ステアしたらニコがよけると思ったかも。

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羽端:(ニコは)演技がヘタ!ガッカリ(笑)。ルイスなら、もっと上手くやる。
STG:あはは、そう来たか(笑)。

羽端:それに、フロントウイングで押しちゃあ、ダメでしょ。壊れちゃうから。
STG:おっしゃる通り。

羽端:さらに情けないのは、せっかく押し出したのに、コース外を走ってきたルイスに抜き返されていること。悪事をしたのにゲイン(得たもの)が無かった。
STG:お〜、今回の羽端さんは、なんか手厳しい。

羽端:見方を変えると、ルイスが凄い。まあ「これは来るな!」と読んでいたこともあるんでしょうけど、コース外を走らされても、負けずにもう一度、しっかり(ニコの)前に出る。やっぱり、チャンピオンはルイスだ!(笑)
STG:確かに役者が上ですね。

羽端:”ウツワ”なんてことは簡単に言っちゃいけないんでしょうけど、少なくとも現状では、F1のチャンピオンとしては足りないものが多すぎる。そんな感じを持ちます。
STG:いずれにしても、ぶつかっちゃだめですね。

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羽端:私にとっては、「ニコにガッカリ!」という週末だった。もう一人のニコにも、です。フルケンベルグも、どうしたのかなあ、決勝は。せっかく、フリー走行から予選までは、フェラーリとレッドブルに迫っていたというか、超えてさえいたのに。
STG:「なにも上手く行かなかった」と言ってますね。

羽端:ウーン!
STG:「スタートもよくなくて1周目で大きく後退、マシンはスライドするしタイヤにはグレイニングができるし、それで僕のレースは決まった」と。

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羽端:こういう時に、総合力とかチーム力とか。そういうことが問題になってくるんでしょうか。
STG:おまけに「新しいタイヤを履いたら、3〜4周でダメになってた。レース終盤はマシンから振動が出て、チームはそれがブレーキの消耗がひどいと判断したから、最後はリタイア」と散々だったようで。やはり外野は簡単に言っちゃいますけど、まぁ、ドライバーのせいではなく、チームの総合力ということでしょうかね。

羽端:ははあ・・・・。ハミルトンとロズベルクの違いでも、そういうことが言えるのかもしれないですね。
STG:そこは、チャンピオン経験者とそうでない者の違いもあるかも、ですね。


◆マクラーレン・ホンダ、中団の上位に!

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羽端:マクラーレン・ホンダが良くなってきましたね! まあ予選では、アロンソがアタックのタイミングを失してしまったようですけど(笑)。
STG:アロンソの予選は、お粗末でしたね。どうして、予選アタックなのに5周走った中古を着けたのか、と。アロンソも「小学生みたいなミス」と言ってます。小学生はタイヤ交換やらないけど。

羽端:決勝は雨がいいなとか、そんなことをチーム側は言っていたようで。結局、ドライの決勝になりましたが。でも、しっかり6位という結果を出したし。
STG:こっちも、雨がいいと思ってましたよ。ドライになると、力通りの結果になって、ズルズル抜かれてしまうと思っていたので。しかし、その意味では、よく踏ん張ったですよね。

羽端:ええ。具体的には、パワーユニットでいうと”回収”機能が良くなってるらしいですね。この点だけでは、メルセデスにも劣ってないらしく?
STG:う〜ん、メルセデスより優れているかどうかの議論は、前を走った時に取っておきましょう(笑)。2年目になって経験も積んで間違いなくなっていると思いますが、まだまだ、ですかね。こんなモンだと思いたくない、というか。

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羽端:一応「三強」をメルセデス、フェラーリ、レッドブルとすると、三強以外グループでの上位。まあライバルは、フォース・インディアだったりウイリアムズだったり、サーキットによって変わるみたいですが、でも、これらのチームと三強以外でのトップ争いをしている。
STG:う〜ん、トップ争いというより、”仲間入りした”くらいかも。

羽端:フフ、楽しみです。少なくとも去年とは全然違うわけで。
STG:それは言えます。でも、上にいけばいくほど、そう簡単にトントン拍子にはいかないですからね。

羽端:この7月、真夏の四連戦。次はシルバーストンでしょ。パワー・サーキットみたいだけど、逆に、そういうところで、どのくらい行けるか。
STG:今回もそれなり以上に高速だったですからね。

羽端:ええ、そうです!
STG:シルバーストンがいいレースができれば、その後のスパ-フランコルシャンを挟んで、タイプが似ている鈴鹿が楽しみになる。いや、ちょっと勝手な思い込みだし、気が早すぎますけど。

羽端:ところで、今回、マクラーレン・ホンダの活躍もですけど、マノーにビックリでした。パスカル・ウェーレインが10位に入賞ですから!!
STG:そうそう! それも、大荒れのレースの生き残りじゃなくて、予選もいつものビリではなかったところか、予選12位でしたからね!! アップデイトはホンモノだったってことですね。

羽端:これは、ウカウカしてると……(笑)。
STG:そう、マクラーレン・ホンダもさらにがんばってくれないと。セカンドグループでうろついている場合じゃない、と(笑)。開幕2戦の新チームのハースもそうだったけれど、ここで思い出したのは、ビリと言われているチームも、つねに勝利を夢見て闘っている、ってことでした。

羽端:そうですね。マクラーレンのライバルが毎レース変わるということも含めて、何が起こるかわかりません! 
STG:夢を見せてくれるのがF1、ということで!!

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羽端:だから(実際に)ぶつけちゃダメ!(笑) 壁と数センチとか、そういうギリギリの極限バトルを見せるのがF1なんだから。
STG:その昔のツーリングカーレースでの言葉ですけど、天才高橋国光さんの名文句があります。「他車との感覚は1cmあれば充分」と。逆に言うと、1cmでも開けておかなくちゃダメってことです。

羽端:なるほど。
STG:ついこの前まで、ハミルトンとロズベルグもそういう妙技を観せてくれてましたよね。もうそこには戻れないのかなぁ。

羽端:う〜ん。妙技がみたいですね、F1ドライバーならではの。
STG:本当に!! ぶつけてほしいのはワザであって、クルマじゃないんで(笑)。
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Photos by 
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team
McLaren Honda/LAT Photographic
HONDA/LAT Photographic
Force India F1 Team
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