佐藤琢磨 インディカー参戦発表会全録 2
琢磨 まず、これまでのレースとは全く違うアメリカのオープンホイールでの挑戦を決意した理由の一つに、今、自分に必要なのはレースだと。レーシング・ドライバーとして、もうこれ以上レースのできない時間は耐えることはできませんでした。そんなときに、アメリカ大陸のオープン・ホイールの頂点に立つインディカー・シリーズ、これは以前からすごく興味があったシリーズでして。
というのは、今のリーグは、事実上エンジン・サプライヤーが一社、シャシーも基本的に一社、タイヤも一社という形で、ワンメイクのトップ・フォーミュラです。ということは、全てのチーム、ドライバーに対してイコールの状態で戦えるということなので、これは一選手の立場から考えると、ものすごく魅力で、もちろん、チームのノウハウであったり、ピットストップ作業であったり、作戦であったりのチームの総合力は問われるのですが、インディカー・シリーズの魅力というのは、誰にでも勝てるチャンスがあるということろに、一番の魅力を感じました。これまでF1の頂点を目指す気持ちでやってきたエネルギーを、今度はインディカー・シリーズで、一戦一戦やっていきたいなと思ってます。
KVレーシングというのは、非常にポテンシャルの高いチームだと僕は信じてますし、オーナーのジミーも、本当に僕を信頼してくれてまして、チーム全体が暖かい受け入れをしてくれて、本当にチームから要求されている状態でそのチームと一緒にやっていくというこんなに幸せなことは無いと思います。僕自身のスーパーアグリでのチャレンジを思い切りやらせてもらいましたけど、そのときも本当に僕にとっても必要なチームだったし、チームにとっても必要なドライバーだったという関係を築くことができて、すごく良いシーズンが送れたし、今回はトップを目指すために、KVレーシングから2010年のインディカー・シリーズに参戦したいと思っています。
今はもう本当に、改めてクルマに乗ったことで僕自身の身体の中のアドレナリンが抑えきれないくらい出てますし、今回は日本で3日間ほど滞在するんですけども、その後すぐにインディアナポリスに戻りまして、チームと共にアラバマ州にありますモータースポーツ・サーキットで24、25日に行われます合同テストに参加します。これは3月14日にブラジル・サンパウロで開幕を控えた最初で最後の大きな正式な合同テストになるので、ここであらためてマシンに乗って、チームとここから歩んでゆく日を今から待ち遠しくて仕方がないという状態です。
佐藤琢磨 インディカー参戦発表会全録 3に続く。
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