佐藤琢磨 武藤英紀 インディ・ジャパン300マイル 来日会見・全録 2/3
◆日本人二人が、上位を走行中にクラッシュ!
—-一番最近のレースでは、佐藤さんと武藤さんが絡んでしまいましたが?
武藤英紀(以下、武藤): あのレースで、日本人の二人がトップ・シックスを走ってましたから、二人揃って、トップ・シックス圏内でゴールできれば、それがベストだったと思っているんですけど。
でも、オーバルでは、それはない方がいいんですけど、クラッシュはつきものだと思ってますし、たまたま、周回遅れの外側にいたのが琢磨さんだったというだけで。(オーバルでは)いつ起こってもおかしくないアクシデントだったと思ってるんで、ぼくとしては、もう次のレースに集中してます。
—-残り、もう10周くらいのときでしたが?
琢磨: そうですね、スタート直後は、いままでスタートはけっこう好きな方だったし、集団で走っていても、順位を上げるチャンスだと思っていたんですけど。でも、そうはいっても最初のオーバルなので、慎重にスタートしますよね。
そうしたら、ビックリするくらい、ちょっとアクセルを緩めただけで、完全に勢いを失っちゃって、驚くくらいに、アッというまに抜かれちゃう。ぼくはスタートは7番手スタートだったんですが、アッというまに20番手近くにまで落ちてしまって・・・。
そこから、一周ずつ、一台ずつ、順位を上げて行って、さっき言った集団のなかで走るということを身体で覚えながら走っていって・・・。やっぱり、目の前に武藤くんがいるというのは、ずっと知ってるので、けっこうそれは心強かったです。武藤くんを目標に、ずーっと、こう、追いかけていって・・・。
・・・で、何度かスティントをこなすうちに、お互い、ピットストップがすごく似たような間隔だったので、ぼくがオーバルを走ってるときに、彼(武藤)がピットを出て来て、よし、これでいよいよ、最後の勝負になるなと思ったときに、最後の(イエロー)コーションが出て・・・。
◆”もう一台”が陰にいるのは、見えなかった!
琢磨: ・・・で、彼(武藤)の後ろで、タイヤを暖めながら、二人で上位を狙えるなあと思ってたんですけど。でも、残念ながら、遅いもう一台を含む三台がね、重なった状態のまま・・・。
オーバルって、すごく、レーン・チェンジをすると危険なんで、本来は、自分のラインを守らないといけない。そのために「スポッター」といって、”第三の眼”になる人、自分の後ろ、死角になる部分をカバーする人が、上から無線で、外側に誰々がいる、だからレーンを変えないようにという指示をするんですけど。
ちょうどぼくが、武藤くんより、ちょっと勢いがよかったので、外側に”たわんで”行って。そのときに、武藤くんの内側に誰かがいるというのは、まったくぼくは見えなかったので・・・。
・・・で、このまま、二人で行くぞ!と思っていたら、磁石で引き寄せられるように(笑)、(武藤君のクルマが)上がってきてしまって、そして、最悪の事態になってしまった。
あとで映像を見てみたら、武藤くんはどうすることもできなかった、どこにも行き場を失ってしまったので、これをひとつ、いい教訓というか勉強にしてね。いろんな状況のなかで、何が起こるかわからないのがオーバルだから、とくにリスタートのときは気をつけなければいけないなと思った。
そういう意味では、武藤選手が非常に寛大な気持ちで、あの事故を見てくれているので、ぼくとしても、すごく助かります(笑)。
武藤: ハハハ、ルーキーにはね、(ああいうことは)よくあるんですよ!(爆笑)