佐藤琢磨 武藤英紀 インディ・ジャパン300マイル 来日会見・全録 3/3
◆インディカーのなかでも別格のインディアナポリス
—-佐藤さんは、インディを観戦して非常に興味を持ち、そしていよいよ、実際に自分で走るという日が近づいてきましたが?
琢磨: まだちょっと、イメージわかないんで・・・。インディアナポリスのオーバル・トラックは、ほかのオーバルと、まったく特性が違うというように聞いていて・・・。もちろんオーバルなんですけど、直線と、ハイスピードの四つのコーナーで構成されているというイメージに近いということなんですね。
また、スーパー・スピードウェイトいうことで、オーバルとは違うパッケージを(クルマが)”身にまとう”ので、クルマもすごく速くなるし、予選も、4周だけど、二度とやりたくないというくらいに、ほんとに緊迫した予選になる。
そういう状況をいうのを、(去年は)ぼくは1コーナーの内側から見てたんですけど、(時速)380キロでコーナーにアプローチして、そして(その速度で)”滑って行く”クルマというのを目の前で見て、それをコントロールするというのはトンデモナイ!・・・というのを感じたんですよね。
それをいま、自分で、(先週の)カンサスのオーバルで走って、だいたいの感覚というのは、まあ掴めたんですけど、「インディ500」に関しては、またひとつ、レベルが上がると思うので、とても楽しみにしています。
武藤: 琢磨さんが、いま言われましたが、予選が4周なんですけど、その一周目は、タイヤが冷えた状態のまま、およそ(時速)380キロで1コーナーに入るんですけど、それは、すごい緊張します、はい!
それで、今度は4周(目)ね。タイヤがほんとに減ってきて、クルマが滑り出すんですよ!でも、アクセルを緩めると順位が落ちちゃうんで、ずっと(アクセルは)全開のまま、コーナーを曲がっていくというのが・・・。もう、時間、すごく長く感じますね。(予選のアトは)必ず、目の下にクマができています(笑)。
決勝は決勝で、スタートのときにね、観客が40万人くらい集まるんですけど、その全員が歓声をあげるじゃないですか。何というか、もう、空気が・・・。
スタートの瞬間って、30台以上が(時速)300キロ以上で、1コーナーに入るんですけど、タービュランスがすごいじゃないですか。それプラス、観客の歓声で、空気が揺れるんですよ! ・・・で、クルマも、それに合わせて揺れるんで、ミラーがもう、ガタガタとか取れそうになったりとか。とにかく、考えても、ちょっと恐いですよね。
◆秋に、また日本に帰ってくる
—-そのインディ500と同じくらい、日本のファンには重要なレースが9月に行なわれますね。
武藤: やっぱり、自分のなかでも、(日本で)勝ちたい、勝ちたいという気持ちが、ほんとに強くなるんですよ。・・・で、まあ、過去二年間、それじゃいけないなと思いましたね。あの、思うような結果が残せてないじゃないですか。だから、あんまり気負っても、ね。今年は、気持ちのコントロールをちゃんとして、いい状態で、レースに臨みたいと思ってます。あんまり、こう、自分で”追い込む”ことなく、自然体で行けたらいいなと思ってます。
—-佐藤さんも、日本に”帰ってくる”ということになりますが?
琢磨: そうですね、鈴鹿(F1)のときも、やっぱり、母国のレースというのは、すごく特別なので・・・。ですから「インディ・ジャパン」も、まったく同じように、ぼくは感じると思うんですけど。
とくに、一年のなかでも終盤の秋に──ずっと応援してくれてきた人たちの前で、ようやくレースができるというのはモティベーションも上がるし、ほんとに、楽しいレースになりますね。
—-では、ファンに向けて、メッセージを。
琢磨: そうですね、ほんとにここまで、最終リザルトとしては、自分が思い描くような、あるいは、ファンのみんなが期待してるような結果に、まだつながってないんですが、ほんとに、一戦一戦、リザルト以上に多くのことを学んで、多くの”手応え”を掴んで、ここまで、5戦ですか、やって来ました。
後半戦、このあと、ちょっとオーバルが始まるんですけれど、もう一度、ストリートとロードコース、そして最後のオーバル戦に向けて、徐々に力を発揮していきたいし・・・。
この一年の最後のレースとなる「インディ・ジャパン」に向けて、チーム一丸となって、準備していきたいと思います。
9月に「もてぎ」に行くときには、たくさんのファンのみなさんが待っている「もてぎ」で、満身の力をこめて、武藤くんほど張り切らずに(笑)、それでも、最高のリザルトを求めて、頑張っていきたいと思います。
武藤: 三回目の「もてぎ」で、三度目の正直といいますけど、それが今年だといいなと思ってます。ただ、さっきも言いましたけど、あまり気負うことなく、伸び伸びとレースを闘いたいなと思ってます。日本のファンの皆様の前で走れるのは、唯一、「インディ・ジャパン」ですから、いい走りを見せたいと思いますし、ひとりでも多くの方々が、現地で応援してくれるように、ぼくも願ってますし・・・、とにかく、頑張ります!
◆『佐藤琢磨 インディカー・シリーズを”deep”に語る』を、来週掲載予定。琢磨が語る新たなアメリカンレーシングの世界をお楽しみに。