F1 STINGER 【スティンガー】

ワールド･チャンピオン-ジェンソン･バトン–記者会見 3/3

2009年10月19日

—-前回の優勝は（6月上旬の）トルコGPでした。ワールド･チャンピオンとなった今、アブダビではリラックスして優勝を狙えると思いますか？
JB　レース前に聞いてよ。今はワールド･チャンピオンになったばかりだし、今夜はそれを楽しむことにするよ。シーズン序盤ではいい展開ではなく、ここ6戦を勝ってたら同じ質問をする？　しないでしょう。序盤にいいことがたくさん起きた。後半は予選でしくじったりもしたけど、最終的にはまとめ上げてチャンピオンになれたんだ。そこが重要なことでしょ?

—-昨シーズンの終わりにホンダ撤退で職を失いかけていましたね。そのどん底からわずか1年で新しいチームでワールド･チャンピオンになるというのはどういう気持ちですか？
JB　気持ちについてはもうすでに話したと思うし、ブラウンのチームは新しいチームというわけじゃない。多くのスタッフは前から一緒に働いている人たちだからね。もちろん去年ほどの経済的余裕はないんだけど、才能豊かなスタッフを優秀な経営陣で今シーズンを戦える体制を作ることができた。このチームはロス･ブラウンなくして成り立たない。マシンの横には彼の名前が書いてあるわけで、一個人としてこれは凄まじいプレッシャーだ。このスポーツにおいて彼が残してきた功績が、彼の名前の書かれたマシンがコンストラクターズとドライバーズ両方のチャンピオンを獲得したことで報われたと思う。彼はメダルか何かを受け取るべきだと思うよ。ロスは多くのシーズンを勝ってきたし、そして厳しいシーズンも経験している。彼はワールド･チャンピオンになるのは簡単なことではなく、時には暗い時期を過ごさなければならないこともよく知っている。だからこそここ数戦では非常に心強い存在となってくれた。チーム員全員がロスなくしては成り立たないと思っていると思う。

—-あなたのF1キャリアにおいて、多くの人が否定的なコメントもしてきました。フラビオ･ブリアトーレ（前ルノー監督）はあなたをパーティボーイと言ったし、ジャック･ビルヌーブ（1997年ワールド･チャンピオン）はボーイズバンドにいればよかったのにと言いました。他にも今シーズンあなたのチャンピオン獲得を疑う声は多かったですが、それについてはいかがですか？
JB　それについてはあまり言葉を裂く必要もなさそうだな。シーズン中いい時も悪い時もあったけど、結果としてワールド･チャンピオンなんだから。つまんなくなって来たなぁ……いや、そんなことはない、だってワールド･チャンピオンだもん!!　来年がどうなるかわからないけど、今夜はとにかく勝利に酔うことにするよ。誰もが想像もできないほど楽しんでやる！　勝利者の特権だ！　いつでも否定的なことを言いたい人はいるし、メディアでは勝った、負けた、と騒ぎたいのもわかる。6位だったとか5位だったでは雑誌は売れないもんね。だけどそんなことも全部ひっくるめて今日のボクには関係ない。だってワールド･チャンピオンだから。いつだってマシンの持てるポテンシャルを最大限引き出してきたし、今日もまたそうしたことで素晴らしいレースができた。今日のドライビングは今までのキャリアのなかで最高のものだったし、デビッド･クルサードも『勝利者の走りだった』とコメントしてくれた。

—-マーク･ウェバーはあなたのここ2回のレースで思いつめていただろうから、今日の後にはよく眠れるんじゃないかと言っていたけど、これは彼の脚色ですか？　それとも本当に眠れないような日々を過ごしていましたか？
JB　ここ数週間は確かに楽しいものではなかった。チャンピオンシップで先頭を走っていても、やっぱり難しい日々だったね。例えいいパフォーマンスを見せていて、直接のライバルを打ち負かしているときでもやはりストレスは抱えるものだ。寝る前も、起きているときも、そして寝ているときも予選やレースのことを考えている。特にジェシカ（フィアンセの道端）がいないと一人だからね。昨夜はチームの人たちに一緒にボクの部屋で寝ないかと誘ったんだけど来なかったね！　不思議なことに金曜日の夜には予選がまったくうまくいかない夢を見たら本当に予選がダメで、土曜の夜はワールド･チャンピオンになる夢を見たら本当になれた。夢と現実は繋がってるのかもしれないね。