昨年のことがあって遠慮しました–八郷社長に質問
24日に本田技研工業株式会社の本社で行なわれた社長会見の質疑応答で、モータースポーツとF1について[STINGER]とし質問した。
STINGER:モーターレーシングの報告が、いただいたA4用紙3枚のスピーチ骨子の中に2行しかありません。ホンダとしてはちょっと寂しい気がしますが、時代のニーズを考えると、いたしかたないこととお考えでしょうか。
八郷隆弘社長(以下八郷):モータースポーツについての説明が少ないのは、モータースポーツをないがしろにしているわけではありません。F1につきましては、去年のことがあって遠慮しました(笑)。
STINGER:昨日発表された人事を拝見して、モータースポーツ、特にF1の陣容は強化されたと思いますが、すぐに結果は出るものではないと思います。16戦15勝の第二期でも、勝つまで3年かかっています。今回、勝てるまで、どれくらい時間がかかると思いますか。
八郷:F1の今期につきましては、昨年いろいろ経験もしましたので、まず、Q3、予選で10位以内に入って、決勝に臨むという形を、安定的にやってき行きたいと思っています。いつ勝てるかというと、なるべく早い時期と考えています。こればっかりは、私にもなかなか想像はできないのですが、できるだけ早い時期に勝ちたいな、と。ただ今年は一歩一歩着実に、さきほど申しましたように、予選10位以内に入っていくことをやっていきたいと思っています。
STINGER:F1という言葉自体、昭和というフレーズと同じようにある種古びたイメージを一般的に持たれてしまっている気がしています。F1に参戦している意義を正しく理解してしてもらうためにF1のクォリティを広く認知してもらう活動が必要と思いますが、それについてはなにかお考えでしょうか。
八郷:F1の意義については、今我々の若い技術者が(研究所で)一生懸命苦労しながらやっています。こういう姿を、ご指摘のようにもう少し我々としてもしっかりと技術者を育てるという面も含めてみなさんにご理解いただけるような活動はしたいという風に思っておりますので、是非、御協力いただきたいな、と思います。
会見の前日に発表された2016年4月1日付けの人事は、ホンダ技研としてもF1に責任を持ってもらうという考え方による人事と受け取れる。質問に対する八郷隆弘社長の受け答えも、屈託がない率直さを感じ、ホンダ全体のモーターレーシングが世代交替の効果を発揮し、かつてのような輝きを取り戻すことを期待したくなった。
[STINGER]山口正己