小林可夢偉 レース後・インタビュー全録【中国GP(日)】
「スタートは、最初の”キック”はよかったけど、そこから先が全然伸びなかった・・・」
Q3でタイムを出したときに、フラットスポットを作ってしまっていた
—せっかくの3番グリッドでしたが、しかし、そのグリッド上に、サポートレースでこぼれたオイルが残っていたような?
可夢偉:・・・ぽい、ですね。実際、言うと、スタートのやり方、そのセッティングは、そんなに大きな問題はなくて、逆に言えば、チームメイトと同じセッティングで。ぼくの方が、リアクションタイムがよくて、逆に言えば、ぼくの方がいいスタートを切れていてもよかったんですけど。
まあ、なぜか・・・。”キック”はよかったんですけど、飛び出しは。(でも)そこから、全然伸びずに・・・。ズバズバズバッと(後方のクルマに)抜かれて。ぼくも、対抗しようと思ったんですけど、たぶんムリだなと(いう状況になって)・・・。
まあ、しょうがないですけど。そのあとは、ポジション取りがちょっときびしくて。ライコネンが詰まった状態で。そこにハミルトンがは言ってきた状態で、全体的に、流れがうまく行かなかったですけど。
—-一回目のピットストップは、まだ、タイヤの性能は残っていた? ウェーバーに前を塞がれて、一緒にピットに戻った感もありましたが、でも、(コースに)戻ったポジションがよくなかったですよね?
可夢偉:そうですね。実際、昨日にベストタイム出したときに、タイヤにフラットスポットを作っていて、バイブレーションが出ていて、(そのタイヤは)そんなに(長くは)引っ張れないなとわかっていたので、ウェーバーと一緒に(ピットに)入ったら、(コースに)出た”場所”があまりにも不運な場所だったんで、それで、ニュータイヤのよさも出せず、タイムも損して・・・。(タイムを)稼ぐべきところで稼げなくて。その結果、”渋滞”の中に、完全に入ることになったという感じですね。
—-すべての周回が、ほとんど渋滞の中という感じでしたね?
可夢偉:そうですね、最後の”最終”(スティント)だけが、そうでなかったかな。
◆他チームの多くが「ツーストップ」だったというのも意外で誤算だった
—-最後のスティントにしても、前で、長く(走行を)引っ張ってる人がいて、いつ、タイヤを換えるんだろうと思ってましたが、でも、最後まで、行けちゃったりして?
可夢偉:そうですね。ぼくも、それを思ってた(心配してた)んですけど。みんな(他のドライバーは)、意外にツー(2ストップ)が多かったというの、それがサプライズだったので。
ちょっと、今回は、何ていうか、ぼくら(ザウバーは)チャレンジしなかったというか・・・。まあ、スタートのタイヤが(Q3からの継続使用で)悪かったという点で、(長くは)引っ張れないということがわかっていたんで、「スリー」(ストップ)を選んで。(その結果が)展開として、きびしくなって、逆に、後ろ(後方グリッド)の方で、Q3に(ノックアウトされて)入らずに、新品(タイヤ)を残したチームが、上(上位)に来ていたり。
どうも、タイヤは、予選で頑張って使いすぎると、ぼくらのクルマは(決勝が)きびしくなるようで。
マクラーレンは、ぼくらよりちょっと速いというところがあって、そういう”ちょっと速い”レベルに行くと、ぼくらより、もう少しラクに(タイヤを)使えるかなというのがあって──。
まあ、スタートとかそういう面で、ちょっと不運がありながら(の、こういう結果で)クルマをしっかり開発して、もう少し、”次のステップ”に行けるようにしないといけないなと思ってますね。
—-今回は、ザウバーが、上位チームと同じようなストラテジーで決勝レースを闘うという意味で、非常に頼もしく思えたんですけど?
夢偉:まあ(それを)やった結果は、散々でしたけど(笑)。ぼくが(もっと)注意すれば、また違う展開だったかもしれないし。ただ、まあ、スタートが悪かったという点で、(今回は)どうしようもなかったので。
それよりも、予選でああいう結果を出せて、これからも、予選に自信を持って行けるという意味では、ひとつ、ポジティブに捉えて──。残りのレース、トップチームを見習うというよりも、ぼくら(ザウバー)オリジナル風でやって行かないといけないなということにも、気づいたので。
◆40周目、このレースの最速ラップを可夢偉が記録!
—-最後、40周目ですけど、最速ラップをマークしました。あれを見ると、ザウバーも、ペースは速いんですよね。それを活かせる”場所”で走れなかったというのが、今日のレースだったのでは?
可夢偉:まあ、トラフィックの中で、ずっと・・・。そのトラフィックといっても、電車みたいにつながっているから(笑)、DRSを使おうとしても、みんなDRS使ってるから(速さが)おんなじなんですよ(笑)。
それと、展開が・・・。今日は、10秒以内に8台入ってましたから。そのグループの後ろに、3ストップで、ぼくら、入っちゃったから。それはまあ、痛かったですね。
—-最後、ストレートで、ペレスと際どい場面がありましたが。あれは、あれは、ペレスがキミに気を取られていて?
可夢偉:そうですね、急に(ぼくの方に向けて)”右折”してきたんで。どこに行くんやろう?と思ったんですけど(笑)。
—-危なかったですよね?
可夢偉:完全に、ぼくは芝生を走ってるかな、くらいのイキオイで、ギリギリだったですね。
—-コクピットから見ていて、どうでしたか?
可夢偉:明らかに、あれは(位置を)”守れない”スピードだったと思うんですよね。あの速度差だと。それを一生懸命守ってきて、あそこまで来て・・・。まあ、(ペレスは)「若いな」という感じはしましたけど(笑)。
◆”速いザウバー”としての今後の課題が、新たに生まれている
—-ただ、ザウバーに、ここまでのレースでの「ペース」があるんだということを証明でき
た。でも、きびしい闘いですよね?タイム差も接近しているので、トラフィックの問題とか、考えなければいけないことがいっぱいありますよね?
た。でも、きびしい闘いですよね?タイム差も接近しているので、トラフィックの問題とか、考えなければいけないことがいっぱいありますよね?
可夢偉:考える点というのは、もちろん、あるんですけど。でも、この予選でのスピードを維持して、あと、レースでも何とか(上位に)行けるように。チームとしても、やらなければいけないことはありますね。
スタートは、ちょっと今回、運が悪かったというか、どうしようもない面もあったので(苦笑)。どうする(どう対応するか)ということには、まだ、なっていないんですけど。
—-今日は、フラストレーションがたまったレースだったかと思いますけど、その”フラストレーション度”というのは、フルを100だとすると?
可夢偉:正直、土曜日でレースが終わってたら、気持ちよかったけど、また(日曜日で)逆転されたから・・・。まあ、前回のマレーシアみたいに、(次のレースまで)ニ〜三週間あるよりは(今回は)マシかなあ、と。すぐにバーレーン(でのレース)があるみたいなので、何とか、バーレーンで取り返したいです。また、来週から、頑張ります。
—-もう、ひとつだけ。今日は、きびしいレースだったと思いますが、昨日の予選の結果というのは、かなり自信にはなった? でも、すぐ、来週、レースがあるから、すぐ、切り換えて?
可夢偉:いいですよ、レースは・・・。ひとりで走って速い、というものでもないから。戦略と、スタート・・・。
—-そうだよね、チームとして?
可夢偉:トップとどう闘うか?
—-でも今日は、作戦が失敗したというよりも、いろいろなタイミングが結果的には悪かったという解釈なのでは?
可夢偉:そうですね。ただ、それもイイワケなんですけどね。”解釈”というのはね。
【STINGER/Hiroaki Iemura】