小林可夢偉 日曜日(レース後)会見全録 ヨーロッパGP 1
18番手のグリッドからスタートした可夢偉(カムイ=小林可夢偉)は、セーフティ・カーのタイミングで、上位陣が次々にピットを訪れてタイヤを交換するのを尻目にコース上に留まった。
その作戦が見事に的中。マクラーレンのJ.バトンの鼻先を抑え続け、57周中の53周目まで3番手
を護り続けてタイヤ交換。アロンソ/8フェラーリの後ろの9番手でレースに戻ったが、タイヤに苦しむアロンソ/8フェラーリだけでなく、その前を行くブエ
ミ/16トロ・ロッソも捕らえて、殊勲の7位を得た。
ザウバーC29のポテンシャルからすれば上出来の件か。しかし、可夢偉は、ここで
も、冷静に状況を認識し、浮ついたコメントをしなかった。
◆ザウバーは、二人の戦略を”振り分けた”!
—-素晴らしいレース! まず、セーフティ・カーが入ったときに、ステイアウトする(コースにとどまり続ける)という決断をしました。可夢偉選手のタイヤはプライムでしたが?
可夢偉 ぼくとペドロで、戦略を振り分けたんで。(ペドロはオプション・スタート)もちろん、あの状態で、ペドロはピットストップする必要はあるんで。その点、ぼくがステイアウトするというのは、間違いなかったんですけど。
ただ、あそこでタイヤがうまくグリップしていたというのが、一番のカギだったんで。そこから、最後まで、いいペースを維持できて、53周までタイヤをマネージメントできたというのが大きかったですね。
—-セーフティカー導入が15周目でしたが、そのあと、40周近く、バトン選手の前を走るという気分は?
可夢偉 クルマは、間違いなく、向こう(バトン)の方が速いんで。そのペースに惑わされずに、どれだけ、自分のペースでタイヤをマネジメントできるかというのが、あの場面ではポイントだったんで。
自分のタイヤだけ考えて、ミラーでも(タイヤを)見ながら、(最初の装着)タイヤを、あそこ(53周)まで引っ張れたという点は、ほんとによかったと思うし。
—-残り4ラップでのピットインというのは?
可夢偉 あれは正しい判断だったと思います。(タイヤ交換後に)残り一周しかなかったら、アロンソやブエミを抜くというのはできなかっただろうし。もちろん、もう少し早めに(ピットに)入って、じっくり前を追うというやり方もあったかもしれないですが。
◆アロンソは、ブレーキングが早かった。これなら、飛び込める!
—-アロンソ選手を抜いたときは?
可夢偉 あれは・・・(笑)、あそこでは行こう(抜こう)と思ってたんですけど、イマイチ、まっすぐ(直線スピード)が伸びなくて。だから、ストレートエンドでは(アロンソに)近づけなかった。
でも、(アロンソの各コーナーでの)ブレーキングがすごく早いというのがわかったんで、思い切って飛び込んで・・・。その結果、(インを)閉めてきたんですけど、でも、あのまま行ったらぶつかるというのがアロンソにもわかって、(インを開けて)入れてくれたんで。アロンソはうまいな、ちゃんとポイントは押さえてるなと思いましたね。
—-ブエミは、抜いたのは、最終ラップ/最終コーナー?
可夢偉 あれは、完全に狙ってて・・・。最終ラップ、仮に(自分が)止まれなくてもいいから、(インに)飛び込んでいこうと思ってました。
—-アロンソを抜いたときに、ピットで、ピーターザウバーが「スーパー!」と叫んだんですが、その音声、コクピットに入ってきてました?
可夢偉 入ってきてないです、静かでした!(笑)それと、ブエミは、最終ラップだとは知らなかった。あと2〜3周、あると思ってた。
—-今日は、満足感は大きいのでは?
可夢偉 まあ、うまくタイヤが保ったので。クルマの状態は、ほんと悪いんで、その状態でタイヤをどう使うかというのが少しわかった。反面、予選さえ、もっとうまくやれば、もっと前の方へ行ける可能性はあるし。そういう意味では、これからチームと一緒に、予選で前に行けるように頑張らないとなと思ってます。
—-同じタイヤで長く走っても、タイムが落ちなかった?
可夢偉 それは、路面がよくなってるんで。あと、スリップ(ストリーム)に入ってたとか。
—-「審議」になっているドライバーが何人かいまして、彼らが「20秒ペナルティ」を払うと、可夢偉選手は4位なんですが?(*実際には、その後の裁定でそれぞれ5秒ペナルティを課せられたが、可夢偉の順位には変化がなかった)
可夢偉 まあ、それはあんまり気にせずに・・・。ここまで来られたというのが一番大事なんで。
—-今日は”レースに強い”可夢偉を、印象づけましたね?
可夢偉 まあ、最近少し”弱かった”んで(笑)。