小林可夢偉 金曜日会見全録 ヨーロッパGP
F1は再びヨーロッパ・ラウンドに舞台を移し、全19戦の折り返しになる9戦目を迎えた。会場は、モナコのようなハーバー沿いを走るバレンシアの公道コース。カナダのモントリオールも公道だが、路面の状態もよく気温も高いことから、ストレスは少ないことが予測された。
可夢偉(カムイ=小林可夢偉)が所属するザウバー・チームは、ここに向けて”低速コーナーに効く”新パーツを投入した。その感触を確かめる初日。フリー走行を可夢偉は振り返った。
◆路面温度も高く、カナダよりはグリップしている
—-ここバレンシアは、市街地ということで、クルマに求められる性能がカナダと共通する部分もあるかと思いますが、今日の走行は?
小林可夢偉(以下、可夢偉) 基本的には、カナダよりは若干よくなってますね、クルマの状態は。あと、路面の温度も高いので、タイヤの──何ていうんですかね、(ワーキングレンジへの)”入り具合”というのも(ここはカナダより)よくなったんで、カナダほど、「タイヤがグリップしない」ということはなくなったんですけど。
でも、全体的に見ると、ペース(走行タイム)的に、まだ若干、きびしいところはありますね。
—-タイムが上がらないという場所は、主に低速コーナー?
可夢偉 そこまでちょっと、言いきれないですが、でもたぶん、そうでしょう。逆に(ここは)低速しかないともいえるし。
—-ハイスピード・コーナーのターン17から最終コーナー、このあたりでは”Fダクト”は使えてる?
可夢偉 使えたり、使えなかったりですけど。でも、問題はそこではなくて・・・。そこでは(スロットルは)全開なんで、タイムはそんなに稼げない。ここ以外の低速で(タイムを)稼がないと、辛い部分もあります。
—-左フロントタイヤのグレイニングがきびしいようですけど、これは路面がよくなれば問題ないと見ている?
可夢偉 P2(フリー走行2)のうちでは(路面は)よくなったんで、このまま(路面がよくなって)行けば、たぶん、大丈夫だろうと思いますね。
—-明日の予選の目標は、もちろん、Q3進出?
可夢偉 ・・・ですね! でも、いまの段階では、ちょっと”遠い”と思うんで、もうちょっと、データを見て、いろいろツメないといけないと思います。
◆低速用新パーツの”威力”は、まだこれから
—-今日のセッションは、”やること”はいつもよりも多かった?
可夢偉 多かったですね。新しいエアロのパッケージ(のテスト)もあったし。
—-予定していたものは、きちんとできた?
可夢偉 そうですね。
—-今回新たに投入したという”低速コーナー用の新パーツ”の効果は?
可夢偉 若干はよくなってるんですけど、もうちょっと・・・。まだデータを集めている段階なんで、もう少し(効果発揮までには)時間がかかると思います。
—-低速コーナーでの問題というのは、立ち上がりでトラクションがかからないということ?
可夢偉 いえ、全体のグリップですね。
—-若干よくなってるというのは、体感的にも?
可夢偉 でも、正直、較べられないです。路面温度も、それから路面自体も、カナダとは違うんで。
—-フリー走行の二回目の、2コーナー(高速から右、左と直角に曲がり込むコーナーの一つ目)で、リヤを出して(振って)コーナリングしていたけれど、これは意識的にこういう走りにしていた?
可夢偉 意識はしてないです、(ザウバーは)ああいうクルマなんです。
—-見ていて、カッコよかったですけどね!(笑)
可夢偉 そうですか! でも、カッコいいだけでいいのなら、いいんですけどね!(笑)
—-遅いとも見えなかったけど? まあ、はじめの20分くらいの段階でしたが。
可夢偉 残念ながら、遅いんですよ!(笑)
—-今日のタイムでは、レッドブルとザウバーだけが、二人のドライバーのタイムが”揃ってる”という状態。言い換えると、マシンの性能がこれらのチームは”出ていた”ということだと思います。ということは、ペドロと悩みは同じ?
可夢偉 まあ、悩みとしては一緒ですね。ただ、このコースは、すごく”まとめる”のがむずかしい。ちょっとラインを外すと、きびしいことになるし。
—-GP2では、ここは”つまらないコース”だったということですが、実際にF1で走ってみて?
可夢偉 いやあ、相変わらず、つまんないです(笑)。間違いなく、ここは、つまんない!
—-どのコーナーもパターンが同じようで、それがおもしろくない?
可夢偉 ・・・というか、ブレーキ踏んで、シケインみたいの、曲がって(という設定ばかりで)。それで、何というか”曲がりきらない”ような、中途半端なコーナーばかりなので。