小林可夢偉 木曜日会見全録 ベルギーGP
◆スパは、マイ・フェイバリット・サーキット!
—-ここスパ・フランコルシャンは、鈴鹿、シルバーストンと並んで”好きなサーキット”であるということですが?
小林可夢偉(以下、可夢偉):はい、その通りです。
—-どういう点が好み?
可夢偉:全体的に高速コース(であること)、プラス、中速コーナーが多くて。ぼく自身も(ドライバーとして)高速、中速が普通なら(クルマができていれば)速いので、それで、すごく楽しくレースができるのではないかと思ってます。
—-第一/第三のセクターは、ほとんど直線ばかりといってもいいですが、直線での戦闘力については?
可夢偉:直線は、不得意なんですけど(笑)。でも、高速コーナーがある分、そこで十分、タイム的には稼げると思います!
—-スパの”名物”で「オー・ルージュ」がありますが、ここをフルタンク状態で走る(重量が嵩んで、下面を打つなどの問題が出そう)ということについては?
可夢偉:そうですね、そこがどうなるかというのは、いまの段階では読めないですけど。基本的には、いまのF1は、オー・ルージュは簡単にフラット(アウト=全開)で行っちゃうんで、まあ(クルマが軽い)予選のときには問題なく・・・。レースでは、どういう「車高調整」で挑むかというのが一番の問題であろうと思います。
◆ちょっと忙しすぎた、日本でのサマー・オフ
—-ハンガリー以後の夏休み、日本で過ごしたと思いますが、リラックスできた? それとも?
可夢偉:ちょっと・・・、忙しすぎ、でしたね(笑)。でも、それはしょうがないです。
—-久しぶりの日本は?
可夢偉:いやあ、満喫したとは言い切れないですけど。まあ、それなりに、楽しく日本で過ごしたし。いまのぼくのいる(F1ドライバーである)「ポジション」というのが、休んでいられないという状況なので、これはほんとに、しょうがないと思います。
—-日本では、どこへ行っても人気だったそうで?
可夢偉:ほんとですか!?
—-ファンがいっぱいいたことには、ビックリした?
可夢偉:はい! だいぶ、ビックリしました(笑)。
—-たった一年で、こんなに変わる?
可夢偉:ほんとに! コワいもんですね、人生って。
◆想定外の”雨のスパ”、これはちょっと残念!
—-休み明けのこのレース、クルマのアップグレードはある?
可夢偉:いや、とくにないですね。ほんとに、ハンガリーの(仕様の)ままここに来て・・・。ハンガリーは、中・低速が多かったコースなので。今回は、高・中速のコースなので、(クルマが)”どう動くか”を見るしかないと思ってます。
—-天気が悪そうですが、気になる?
可夢偉:若干、ね!(笑) 全部(週末は)雨っぽいんで、すごく残念だな、と。晴れで走れたら、ほんとに気持ちのいいコースなんで。雨だと、ほんとに前が見えなくなっちゃうんで、ちょっと辛いレースになってしまうかもしれないんですけど。できるだけ、予選で前に行けるように・・・。
ただ、雨は(直線が遅い)ぼくらにとっては、プラスになるかもしれないんで、そういう意味ではプラスに考えて、この週を過ごせればと思います。
次のモンツァ、そしてシンガポールは、若干、ぼくらに辛いコースと思ってるんで、ここでポイント取って行ければと思ってます。
—-ここでは、エンジンはニューエンジン?
可夢偉:はい。
—-ここスパと、そして鈴鹿で、新エンジンを入れる予定?
可夢偉:そうです。
—-ハンガリーの状態に、ここでのセットはダウンフォースを強めて?
可夢偉:まあ雨が降ったら、たぶん(ダウンフォースは)フルにしないといけないと思うんですけど。いまの段階では、まだ、ちょっと見えないですね。
—-カナダのときみたいに、ドライバーのひとりだけにしか新ウイングがないということは?
可夢偉:ないと思います、それは。ここ(ベルギー)だったら(チームの本拠地に)取りに帰ってもらいます!(笑)
◆日本では、数え切れないほどのインタビューを受けた!
—-夏休みは、短かった?
可夢偉:もう少し、リラックスできる時間があればよかったんですけど。まあ、残り7戦頑張って、さっさと終わって、さっさと休もうかな、と(笑)。
—-休み中に、日本でインタビューは何本くらい受けた?
可夢偉:知らない(わからない)です。
—-合わせると、20本とか?
可夢偉:もっと行ってるでしょう! だって、一日に四本とか五本とかありましたもん。たぶん、三十とか四十(本)くらい行ってるんじゃないですか。もう(最後は)、何言ってるかわかんなくなりましたから!(笑)
—-完全なオフというのは?
可夢偉:二日か三日。
—-どこかのホテルでの”休み”だった?
可夢偉:それは箱根の温泉に・・・、強羅温泉に行きました。すっごく、よかったです。旅館がとてもよくて、食べ物がよくて、親切で・・・。すごい、よかったですよ。
—-実家は、一泊くらいした?
可夢偉:してない、ゼロです! 実家はスルーですね。・・・あの、実家はいまだに(ぼくは)知らないです、引っ越ししちゃったんですよ。行けないんですよ、(行ったら)オヤジがいろいろやりたがって”仕事”になっちゃうから(笑)。
—-近所の人が集まってるから、ちょっと来い、とか。
可夢偉:お世話になってるねん、とか言われてね。でも、お世話になってるにしても、せっかくの休みに休めないというのは、辛いじゃないですか。
◆でも、欠かさなかったフィジカル・トレーニング!
—-そういうスケジュールで、トレーニングは?
可夢偉:頑張りましたよ!:空いてる時間は30分でも(トレーニングを)やりに行きました。ホテルだと、ジムがあるでしょ。トレーニング、やらないとヤバいと思って、夜中の12時に、ホテルの人に(ジムを)開けてもらって、やりました。でも、さみしい、さみしい!ひとりは(笑)
—-それはディナーのあとということ?
可夢偉:そうです、”仕事ご飯”ですね。その日は(アルコールは)絶対飲まないと決めて、飲まずに帰って・・・。胃の中にいっぱい(食べ物が)入ってるのに、身体を動かして・・・。
—-日本での知名度が上がって、そして、秋の鈴鹿に向けて、プレッシャーはある?
可夢偉:鈴鹿までの三戦、(成績が)ショボかったらヤバいな、と思ってますよ! いままで頑張った分も、水の泡になっちゃうから。
—-その方が”燃える”?
可夢偉:燃える、かもしれない!
—-でも、ここ(スパ)がよければ、(ザウバーにとって似たようないい相性の)鈴鹿での手応えも感じられるはずで?
可夢偉:・・・でしょうね!
—-それは、雨でも同じ?
可夢偉:いや、雨はちょっと予想外ですよ。できれば(雨は)やめていただきたい!(笑)