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レッドブル 「RB8」 解説

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ノーズからモノコックにかけての処理以外は、2011年シーズンを制したRB7の延長線上にある。もっといえば、現行テクニカル・レギュレーションのベースとなる規則変更が行われた2009年のRB5の延長線上。結果につながらずに試行錯誤を繰り返すと毎年のように違った形態になるが、いきなり最適解を導き出せば、あとはそのリファインで済む。RB8はその好例に見える。成功しているのだから「革新」は必要なく、「進化」でいい。

フロントウィングは2011年最終バージョンをベースにしているようだ。違いといえば翼端板の「TOTAL」のロゴがブルーからレッドに変わったことくらい(リヤウィングも同様)。この状態で十分に戦闘力が確保できるとの読みなのかもしれないし、開幕戦に向けて隠し球を用意しているのかもしれない。

フロント・ブレーキダクトに取り付けられたフィンの造形も、昨年最終バージョンと相似形に見える。モノコック下面から吊り下げるターニング・ベーンも、2011年最終バージョンを踏襲。ただし、中央部にスリットを入れた点に、気流をより緻密に制御する意図が感じられる。

フロント・サスペンションは相変わらずプッシュロッド式で、上下ウィッシュボーンとタイロッドの関係から察するに、機構もジオメトリーの考え方もRB7のキャリーオーバーだろう。細いポッドパネルとバージボードの関係もRB7を受け継ぐが、バージボード上辺の処理が手の込んだものに進化している。

ボディ後部の絞り込みは相変わらず強く、面の作り込みはなめらかで、いかにも空気がスムーズに通り抜けそうだ。テールパイプは滑らかな面を阻害しないよう、アッパー・ウィッシュボーンのフロント側アーム付近に配置されている。

RB8の最大の特徴はノーズとモノコックのつなぎ目が作る段差の処理だ。リファレンス・プレーンからの高さ625mm(モノコック)と550mm(ノーズ)の差が作る75mmの落差を利用し、間にスリットを設けた。コクピット(つまりドライバー)冷却用とも考えられるが、開口部はイコール、ドラッグ(空気抵抗)である。ドライバーの快適性確保も大事だが、わざわざそのためにドラッグ増の原因となる細工を施すとは思えない。何かありそうだ。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

「RB8」の大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2012/machine/redbull/photo_gallery/index.php?pid=00
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