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ロータス T127

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新機軸はないがそれも織り込み済み。かつて自分が手がけた実績のあるマシンをベースに、手堅い設計でまとめたのがロータスT127。濃いグリーンと黄色くペイントしたホイールの組み合わせは、マシンが葉巻形だった頃のロータスと同じイメージ。

ロータス T127
ネームバリューの高さを生かしたカラースキームである。グリーンとイエローの組み合わせを見て懐かしさを覚えるのは、1960年代のロータスを知る(歴史書から得た知識も含めて)人たちだろう。ロータスといえばJPSカラー、いや、キャメルイエローだと主張する人たちもいるに違いない。

それはともかく、マレーシア国籍のチームが走らせるロータスT127は、マイク・ガスコインが設計した。ガスコインは長い経歴のなかで多くのチームを渡り歩いたが、最後に在籍したのはフォース・インディアで、そう思って2009年のVJM02と見比べてみると、よく似ていることに気づく。

とくにフロント回り。09年シーズン序盤からハイノーズを投入したのはレッドブル、トヨタ、フォース・インディアの3チームだった。開幕前はこれら3チームのマシンに懐疑的な目を向ける人々が多かったようだが、シーズン後半になるとそんなムードは消滅。2010年はハイノーズでないマシンを目にすると「なんで?」と思ってしまうほど状況は変わった。

ガスコインが手がけたT127は、彼の置き土産であるフォース・インディアVJM02のフロント回りに良く似ている。とくに、フロントウィングの凝った作り込みやカスケード・ウィングの使い方、バーチカル・プレートで外側3エレメント、内側2エレメントに使い分ける手法まで同じだ。フロント回りは、空力コンセプト全体を決定づける重要なパート。新規チームだけに冒険はできないし、時間もない。だから、実績のあるデータを使って設計を始めた、ということだろう。

サイドポッドにアンダーカットを確認することはできるが、VJM02と比べても控え目だし、2010年参戦マシン各車と比べても控え目な部類に入る。そのサイドポッドは後方に向かって傾斜させるのがトレンドだが、T127はそれをせず、テールパイプ出口付近までほぼ水平。失敗を恐れて手堅い設計を選択したのか、タイトな設計に踏み込みたくてもそこまでできない時間的、リソース的な制約があったのか、ともかく、ちょっと古くさい造形ではある。

かつてのトヨタ、そしてフォース・インディアの例から分かるように、ガスコインという人は弱小チームを中堅に引き上げる術を心得たエンジニアだ。ロータスT127も、彼なりの計算に基づく作品に違いない。

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満艦飾のフロントウィングを長いステーで吊り下げるのは、2009年のフォース・インディアVJM02と共通したイメージで、ノーズ下に大容量の空間が生まれるのが特徴。サイドポッドのアンダーカットはそれほど大きくない。

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フロント・サスペンションのロワー・ウィッシュボーンをモノコックに直付けするゼロキールを採用。トラックロッドはアッパー・ウィッシュボーンとタンデムに配置する。これはフォース・インディアとは異なり、09年のハイノーズ組みではトヨタTF109と同じ手法。

100213L-4.jpgモノコック下にガイドを設けるのは、トヨタTF109と共通の手法。バージボードとポッドパネルを配したフロントタイヤ後方のソリューションは、トレンドをフォロー。シンプルな形状のポッドパネルは発展途上か。

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リヤデッキの高さが目立つサイドポンツーン。ただし、リヤクォーターの絞り込みは十分に行っている。テールパイプの出口位置から察するに、プライマリーを一旦前方に延ばして折り返すリバース構造を採用している可能性はある。

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2009年のブラウンBGP001風な、V字形のセンター・チャンネルを持つダブル・ディフューザーを採用。リヤのロワーウィングを跳ね上げて、センター・チャンネルを効率良く機能させようとする意図がうかがえる。リヤウィング翼端板は平板だ。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】


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