フォース・インディア 「VJM05」 解説
フォース・インディアもカモノハシ・ノーズ、あるいはクロコダイル・ノーズと呼ばれる段差つき偏平ノーズである。一部画像が公開されたケーターハム CT01に、フェラーリ F2012とフォース・インディア VJM05が追随した格好。VJM05はノーズ先端にカメラマウントを設けており、いじわるな見方をすれば、カモノハシあるいはクロコダイルが長財布をくわえているようでもある。流麗なシルエットでまとめ上げたマクラーレン MP4-27が例外なのだろうか。
メルセデス製エンジンとKERSを積み、マクラーレン製ギヤボックスを搭載するVJM05が2012年に目指すのは、前の年にあと一歩及ばなかったコンストラクターズ・ランキング5位の座を獲得すること。アンドリュー・グリーンがテクニカル・ディレクターに昇格して2作目のマシンだが、開発の初期から携わったマシンとしては実質的に1台目だ。
グリーンが大ナタを振るったのは、インダクションポッド〜ロールオーバー構造の設計。2011年のVJM04はブレードタイプのロールオーバー構造を採用し、インダクションポッドを左右二分割にしていた。この構造のメリットはダクト開口部を低く抑え、リヤに向かう気流の邪魔をしないこと。一方で、重量がかさみ、重心面でもデメリットが生じていた。
空力面のゲインよりも重量や重心を優先したということだろう。VJM05では、2010年のVJM03が採用していたソリューションに似た、4本の細いピラーでインダクションポッドを支える構造に戻している。
サイドポンツーン前端に大きなアンダーカットを持つのはVJM04と変わりないが、大きく異なるのはその後方。サイドの張り出し量は一向に増えず、えぐれた状態のままリヤに向かっている。2011年のトロロッソ STR6が実現したダブルフロア風の処理を巧みに採り入れており、いかにもリヤに大量の空気が流れそう。結果、昨年までのフォース・インディアにあった野暮ったさが消え、シャープさを増した。新デザインのフロントウィングを惜しげもなくローンチで披露するあたりは、自信の表れだろうか。
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