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BMWザウバー C29

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BMWザウバーC29

BMWザウバーC29は2009年のBMWザウバーF1.09の設計コンセプトを色濃く受け継いでいるように見える。大幅アップデートした09年後半戦の空力パッケージをベースに、10年のレギュレーション変更に合わせて再構築したものだ。設計コンセプトに影響を与えた要素は以下のとおり。

1.レース中の給油禁止にともなう燃料タンクの増大とモノコックの肥大化。容量は一般的に120〜140Lだったものが10年は200L前後になるとザウバーは説明。これにより、ホイールベースはおよそ20cm長くなり、スタート時の車重は80〜90kg重くなる。

2.フロントタイヤのトレッド面の幅が25mm細くなる。これにより、空力の見直しと重量配分の見直しが必要。重量配分は09年より後ろ寄りになる。

偏平かつ高い位置に配されたノーズは09年のF1.09で見慣れた形状。フロントウィングの基本構成は09年終盤の仕様とさほど変化がないように見える。フロント・サスペンションのアーム類のレイアウトにも変更はないようだ。ただし、ロワー・ウィッシュボーンのマウント位置はだいぶ高くなり、上下アームの間隔は狭くなっている。ノーズ下に大容量の空間を確保するのが狙いだろう。フロント回りでは、ブレーキの負荷増大に合わせて大小2つのダクトを設けているのが目新しい。

やや怒り肩のサイドポッドもF1.09のイメージを受け継ぐが、アンダーカットは鋭さを増した。このエリアがC29の最大のハイライトだ。シャークフィンを踏襲するエンジンカバーは、その下に収める熱交換機や排気系を包み込むような有機的な造形で、09年のフォース・インディアVJM02を彷彿させる。

現時点ではチーム名に「BMW」の表記が残るが、エンジンとカーボン製ケーシングを持つギヤボックスはフェラーリ製。C29の初期設計は09年2月、本格的な設計が始まったのは4月だったが、フェラーリ製パワートレーンへのスイッチが決まったのは8月。そこから急遽リヤ・サスペンションの設計変更を行ったわけだが、全体スケジュールに影響を与えずまとめ上げてくるあたりは、中身よりも期日を重視する傾向の強いドイツ系チーム(ラテン系との対比で)らしい。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】
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