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「C30」 解説とスペック

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C30

2010年のC29の美点を受け継ぎつつ、弱点の解消に取り組んだのが新型のC30だ。ウルトラ・ハイノーズはC29の特徴のひとつだったが、信頼性が足を引っ張って(とくにシーズン前半は)成績が低迷したがために、アウト・オブ・ファッションな印象を与えていた。ところがどうだろう。2011年の新型マシンを発表したチームはまだわずかだが、ウルトラ・ハイノーズは必須アイテムになる勢い。C29は流行を外していたのではなく、先を行っていたのだ。

高いノーズから吊り下げられたウィングのマウント方法がユニークだ。フロントウィングの形状自体は2010年の最終バージョンで、開幕戦には異なるパッケージを装着することが予告されている。そのウィングは2本のステーからややオフセットした格好で前方にマウント。どんなアイデアを隠しているのか、気になる部分ではある。

C29ではトラックロッドとアッパー・ウィッシュボーンのフロント側が独立したレイアウトとなっていたが、C30では抱き合わせた一体構造に変更。空力に対する細かな配慮が見て取れる。サイドポッド開口部を偏平にし、下部のアンダーカットを大きくとる設計もC29の持ち味だったが、C30では開口部をさらに狭く、アンダーカットを大きくし、リヤエンドに向かう気流を豊富にする取り組みが見てとれる。ヘッドレスト後方のインダクション・ポッドはオーソドックスな三角形。目を引くのはそのマウント方法で、4本の細いピラーで支える構造。このあたりからも、後方へ向かう気流への気配りが感じられる。

フェラーリのパワートレーンを搭載するのは昨年と同様。CFRP製のギヤボックスもフェラーリから供給を受ける。ダンパーなどのサスペンション構成ユニットをギヤボックス前方に配置するレイアウトも同じ。ただし、設計は独自だと、テクニカル・ディレクターのジェームス・キーは強調する。ピレリ・タイヤの素性が不明確なだけに、「柔軟性が高く、セットアップの幅が広い設計」を心がけたという。

KERSもフェラーリから供給を受ける。2010年のザウバーはブローン・ディフューザーを採用しない数少ないチームのひとつだったが、C30では採用。現状はあくまでも暫定で、シーズンが進むごとに進化させると明言している。昨シーズンは信頼性不足が足を引っ張り、前半戦で苦しんだが、新シーズンは開幕戦から常時ポイント獲得を狙う構えだ。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

■型式: C30
モノコック: カーボンファイバー・モノコック
サスペンション: アッパー&ロワー・ウィッシュボーン(フロント&リヤ)、プッシュロッド式インボード・スプリング&ダンパー (ザックス・レース・エンジニアリング製)
ブレーキ: 6点式ピストン・ブレーキ(カーボン製)/カーボンパッド&カーボンディスク(ブレンボ製)
トランスミッション: フェラーリ製縦型ギヤボックス(7速/カーボン製)、カーボンファイバー製クラッチ
エレクトロニクス: MES
KERS: フェラーリ
ステアリング: ザウバー・F1・チーム
タイヤ: ピレリ P Zero
ホイール: OZ

■サイズ
全長: l4.935 mm
全幅: 1.800 mm
全高: 1.000 mm
トレッド(前): 1.495 mm
トレッド(後)1.410 mm
重量: 640 kg(ドライバー込み、燃料含まず)

■エンジン
型式: フェラーリ056
タイプ: 90°V型8気筒(砂型鋳造アルミブロック)
バルブ数: 32
バルブ駆動: 圧搾空気式
総排気量: 2.398cc
ピストン径: 98mm
エンジン重量: 95 kg

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2011/team/sauber/photo_gallery/

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