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ザウバー「C31」 解説

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テクニカル・ディレクターのジェームス・キーは新車発表イベントを待たずにチームを去ってしまったが、2012年シーズンを走るザウバーC31フェラーリが完全なるキーの作品であることは間違いない。今後はチーフ・デザイナーのマット・モリスが指揮を執ることになるのだろうが、少なくとも、開幕戦を迎えるまでのアップデートに関して、開発の方向性についてアドバイスを残してくれていると期待したい。

段付きノーズのことはもう触れずにおこう。「リヤにはとくに革新的なアイデアを投入した」とマットは述べているので、さっそく目を向けてみると、スワンネック型ビームウィング・ステーに気づく。これは2010年のヴァージンVR-01が取り入れた方式で、起源をたどればALMS(アメリカン・ル・マン・シリーズ)に出場したアキュラARX-02aにたどり着く。どちらも(すでにチームを離れたが)ニック・ワースのアイデアで、ウィング下面を有効に使うのが目的。ヴァージンのステーは2本だが、ザウバーC31は太いネック1本でウィングの荷重を支える。

フェラーリがリヤ・サスペンションの形式をプルロッド式に切り替えてくれたおかげで、ザウバーもようやくトレンドに追いつくことができた。アッパーウィッシュボーンの後ろ側アームのマウント位置がスワンネックの根元になっており、このことがギヤボックスの低さを物語っている。ギヤボックスにマウントするのが従来の常識だったからだ。ウィリアムズほどではないにせよ、フェラーリが新設計したギヤボックス・ケーシングは低ハイトであるようだ。

テールパイプの出口は現状、白とグレーの領域を区切る赤いラインの後方にあって上方を向いているが、これは開幕戦までに(いや、その後も)変更になる可能性がある。変わる可能性があるといえば前後のウィングにしてもそう。両ウィングとも2011年第15戦日本GPに投入したシーズン最終仕様がベース。階段状のバージボードとプレーンなポッドパネルの組み合わせもC30の手法を引き継ぐ。

フェラーリ製エンジン搭載車両はいずれもサイドポンツーンの空気取り入れ口が小さくなっているが、エンジンが熱に強くなった(そこまで冷やさなくてもよくなった)〜熱交換機の容量(=サイズ)を小さくできた、結果なのだろうか。

【STINGER / Text by Kota Sera(世良耕太)】

大きい写真はこちら(WEB専用ページです)。
http://www.f1-stinger.com/f1-data/2012/machine/sauber/photo_gallery/index.php?pid=00
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