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浜島裕英 タイヤ”deep”トーク ヨーロッパ・グランプリのためのメモ

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◆タイヤ・サプライヤーとして対応しにくいカナダ
浜島裕英 ブリヂストンMS・MCタイヤ開発本部フェロー(以下、浜島) 前戦のカナダですが、最後まで(タイヤ・サプライヤーとしては状況を)掴めませんでしたねえ(笑)。
あのツルツルの路面で、タイヤの温度が上がらなくて・・・という状態で使われちゃうと、どうしても”めくれ”が先行しちゃう。

スーパーソフトは、「引きちぎり」の力っていうんですかね、それが足りなくて”ささくれ”がひどかった。

あのあと、レビューしてみると、2008年のグルーブ(溝)付きのタイヤのときは、まあまあよかったんですけど、それに較べると、2010年は、ちょっと柔らかすぎたかなあという感もあります。

それから、(各チームの)タイヤの「使い方」は、ちょっと残念だった部分もあります。

たとえば、アロンソ選手の場合だったら、第二スティントに使ったタイヤは、もう少し(長く)使えば、先頭に出られたんじゃないか。
それから、ウェーバー選手に関しては、ギャップ(後方との差)の大きいときに(タイヤを)換えていれば、もう少し上の順位になったんじゃないかとも思います。

このへんは、タイヤの状況というか、ラップタイムを見ていれば、各チームとも、もう少し”いい作戦”を立てられたのではないかと思いますね。

以上がカナダですが、ここバレンシアには、カナダと同じ、スーパーソフトとミディアムを持ってきています。

ここは、最高速は出ますけれど、基本的には(コースとして)あまり”速くない”し、路面は非常にスムーズ、横Gもあんまりかからないということで、スーパーソフトとミディアムのラインナップで十分にまかなえると考えました。

◆路面はどんどんよくなっていったフリー走行
今日(金曜日)は、はじめ、やっぱりホコリがひどくて、まったくデータになってないですね(笑)。
(午前中の)FP1では、ひどい人は3〜4周で左の前(タイヤ)がささくれちゃって、何が何だかわかんないという状態になってます。

リヤも、見た目だけは、ドロンと溶けたように見えるんですけど、カスを取ってみると、トランスバースのグレイニングが出てますから、やっぱり、若干滑ってる。以上のような状況が見て取れました。

(午後の)FP2になってからは、非常に路面がよくなって、スーパーソフトでも、ほとんどグレイニングが出てません。

多くの人(ドライバー)が、最初にミディアムを履いて、車体が軽い状態でミディアムを履いて、それから、スーパーソフトに履き替えて、軽い状態とロングランとをやってましたが、ロングランでも、スーパーソフトでもほとんど”ささくれ”は出てなかった。

今日は、路面のインプルーブの方が、タイヤのデグラデーションに”勝っちゃってる”という状況です。

それで、うち(ブリヂストン)のデータで行くと、フューエル・エフェクトが、コンマ3(0.3)秒/10キログラム、フューエル・コンサンプションは2.7キログラム/ラップです。

デグラデーションは、スーパーソフトの方で–でもいま言った通りに、路面がどんどんよくなっているので、割りと”使えそうな”人のデータを取っても「マイナス1.6秒」ということで、(性能は)低下しません。

最初の頃にハードでロングランやった人は、(プラス2.7秒)で、どんどん悪くなっていってます。

ですから、これはあまりアテになるデータではないですね。ですから(実際には)ほとんどデグラデーションはしないと思います。

スーパーソフトで、100キロ積んで、ロングランして、それで”タレて”ないから、どっちにしても”タレる”ことはまずないんじゃないか、というのがいまの傾向ですね。

(耐久性では)スーパーソフトでも50数周、保ちますから、言い方はよくないですけど、おもしろくないレースになるという可能性は高い。

—-FP2の終わり頃で、軽くなってきているのにタイムが上がっていかない、というように見えたんですが?
浜島
でも、重くしたスタート時と、ラップタイムを較べると、ちゃんと上がってます

—-メルセデスが、最後に短時間、重い状態でミディアムというテストをやってたようですが?
浜島
ほかのチームの場合は、基本的に、スーパーソフトがどのくらい保つのかをやって(テストして)おいて、そして、それが”タレる”ようだったら、前回と同じようにとっとと換えて、ミディアムに戻すという作戦はどうなんだろう? ・・・という見極めをしていた。メルセデスは、ちょっと、わかんない(笑)。

◆タイヤ自体に注目が集まってしまったカナダ
—-カナダに話を戻しますが、このくらいタイヤの性能差があった方がいいという意見がチームからあった?
浜島
ああ、報道陣の方からは絶賛されましたけど(笑)。BBCにまで呼ばれてしまいまして、「次はどこで期待できるんだ?」って訊かれました。

—-報道陣以外では?(笑)
浜島
バトンとかウェーバーとか、(こういう方が)おもしろいって言ってたドライバーはいるし。でも、”いい目”に合わなかった人は、あまりよろしくない発言をしてますよね(笑)。

—-ホッケンハイムが「スーパーソフト+ハード」というのは、「カナダ」の影響で決まった?
浜島
いえ、これはずっと前から決まっていたことで。あの、スーパーソフトを導入できるサーキットがありますよね、耐熱上の問題がないということで。

そのときに、その”相方”として、われわれの考えはミディアムを持ってくるわけですが、一方で、では、相方にハードを持ってきてもそこそこやれるサーキットはどこ? ・・・とやって行くと、ホッケンハイムくらいしかないんですね。

たとえばハンガリーで、スーパーソフトを持ってきて、そこで(相方を)ハードにすると、ハードはほとんど”捨て札”になってしまうので。

【STINGER / text by Iemura Hiroaki】
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