浜島裕英 タイヤ”deep”トーク–カナダGPのためのメモ(2/3)
(1/3からつづく)
◆決勝レースは「二回ストップ」でも、まだ足りない!?
—-このデグラデーションのタイムは、このままドライで行ったら、もっと改善される?
浜島 うーん、気温が低いので、「(表面のゴムが)ちぎれ飛んでる」限りは、あんまり改善されないんじゃないかな。
—-なぜ、ちぎれ飛ぶ? (タイヤが)溶ける温度にならないから?
浜島 はい。
—-それは、気温が低いから?
浜島 気温が低いというのも、ひとつあるし。まあ、毎度ここは、とくにこの路面は、あんまり”得意じゃない”んですよ(笑)。2006年は、そこそこ、よかったのかな。だから、2006年の時の仕様を持って来ないと、ここは、むずかしいんじゃないかな。
—-セーフティカーが入らなかったら、ここは「マルチ・ストップ」になる?
浜島 そうですね。もし明日、比較テストができて、スーパーソフトが多少速いとしても、強いチームは、もしかすると、最初にスーパーソフトを使っちゃって、最後はプライムで行くという安全策を採るかもしれないですね。プライムも「長い使い方」というのは、たぶんあり得ないから、プライム→プライム、最後にオプションをちょっと(使う)とか、そういう使い方をしないと、レースはコントロールできないかもしれないですね。
—-2008年の時のタイヤであれば、こんなことはない?
浜島 当時は「溝付き」のタイヤで、気温がどうというよりは、ゴム自体がもっと”しっかり”していて、こういう風に「ちぎれ飛ぶ」ということはなかった。溝付きの場合は、ゴムをしっかりさせておかないと、例の”めくれ”が出てしまうので。
いまの(スリック)タイヤは、ゴム自体がもっと”軟らかい”ので、洗濯板(ヤスリ)みたいなもので、表面をザーッとやられたら、ちぎれ飛んでしまう。そうですね、プリンをそっと触ると変形して元に戻るけれど、チカラがガッと崩れますね。そういう状態をイメージしていただくといいと思いますが。
—-スーパーソフトの方は、レースでは、なるべく「短く」使いたい?
浜島 そうでしょうね。だけど、硬い方(プライム)も、割りと根性ないから(笑)、なかなか、むずかしいところだと思いますよ。
たぶん、いまのこの”タレ”(の状態)でいうと、プライムといえども交換した方が速いから。したがって、一回ストップはまず、むずかしくて、二回ストップは「マスト」じゃないかなと思います。
—-もしかしたら、三回ストップもある?
浜島 ええ。
(3/3につづく)