浜島裕英の タイヤ”deep”トーク スペイン・グランプリ 決勝直前スペシャル
・昨日のGP2レースは、12~13周で2秒くらいラップタイムが悪くなったが、今日は24周走っても1秒くらいしか落ちていない。
・サーキットの路面は急速によくなっている。これはF1レースにも影響するだろう。
・昨日の予選のあとの結果では、ソフトとハードのタイム差はコンマ3から4(0.3~0.4秒)だった。
・なかでもレッドブルのベッテル(フェッテル)は、その差がさらに少なく、コンマ3以下だった。
・今回の決勝では、ソフト→ソフト→ハードというように使うチームが多いと思われるが、ベッテルの場合は、ハード使用時のタイムの落ちが小さいため、レースでは有利と予想できる。
・ブロウン・グランプリも、ハードでのタイムがいいが、それと比較してもベッテルはその上をゆく。
・昨日の予選では、クビサ選手がフロントタイヤで右と左を付け間違えた。それで運転ができなくなり、最後のアタックができなかった。
・レッドブルのマシンが、リヤタイヤに「きびしい」という属性は、基本的には、ここでも変わっていない。
・ただし、このスペインのサーキットは、基本的には「アンダーステア・サーキット」なので、その欠点が出にくい。
・レースでいう「路面がよくなる」とは、路面のホコリが取れて、タイヤの「粘着部分」のグリップが効くようになるということ。
・そういう「よくなった路面」では、タイヤのハードとソフトの差が小さくなる。同じく、中古と新品の差も少なくなる。
・路面が悪いときは、サーキットがタイヤに「きびしい」から、ソフトタイヤが「グレイニング」して「デグラデーション」が大きくなる(ささくれてしまってタイムが落ちる)から、使いにくい。
・路面が「よくなる」と、ソフトタイヤは本来のグリップ性能を発揮して、いいタイムが出せる。そうなったとき、ハードタイヤは「相対的に」不利になる。
・今回は、ソフトタイヤの性能の”落ち”が予想以上に少ないので、コンマ3から4(0.3~0.4秒)タイムが落ちるハードタイヤは、ショートスティントで使うしかない。
・ただし、レッドブルがソフトとハードの差が小さいというのは、実は、クルマが「タイヤにきびしい」からだ。
・しかし、ここはアンダーステア・サーキットなので、リヤタイヤに対して路面が「やさしい」。かつ、路面がよくなって来ると、レッドブルにとっては好条件が重なる。これがいま、このサーキットでレッドブルが上位にいる理由だ。
・ブロウンのバトンは、土曜の午前中まで、アンダーステアに苦しんでいた。予選用に燃料を積んだら、クルマが重くなってそれが解消され、いい結果になったようだ。
・今年はタイヤが「スリック」になったので、メカニカル・グリップでだいたい15%くらい上がっている。
・そのグリップの向上が、シャシーの性能差、クルマの差を少なくして、現時点での”混戦”をつくっているかもしれない。