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ロータス「E21」解説&スペック

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■「E21」解説

2013年シーズンに向けて、真っ先に発表されたのはロータスだった。ネーミングは、去年を踏襲して”E21″となったが、赤の面積が大きくなったカラーリング以外に、大きな変化は見えない。

E20とE21が大差なく見える最大の理由は、去年と今年の車両規則に大きな変化がないこと。2014年には、エンジンが現行の2400cc自然吸気のV8から、1600ccの直6ターボに変わるため、いやでも外観の変化が見られるはずだが、今年は、そこに向けての過渡期的な位置づけになることをE21が示唆している。

今年、変化する車両規則は、ピレリ・タイヤが、1セット4本で2kg増を受け、最低重量が642kgになったこと、DRS(ドラッグ・リダクション・システム)の”二次的システム”であるダブルDRSが禁止されたこと、フロントウィングのタワミの制限が厳しくなったこと、そして、”段差ノーズ”にカバーがつけられることなど、細かいものだった。

そのなかで”段差ノーズ・カバー”は、外見的に最も差別化しやすい材料だったはずだ。去年の”マイナスのトレンド”となった段差ノーズだが、ロータスE21はそれを隠すカバーをつけずに登場したから、さらにE20との違いは見いだせない。

段差カバーは、確かに、シェイプを隠すかもしれない。しかし、空力的に有利にならない限り、F1デザイナーが、多少なりとも重量物を増やす”飾り物”をつけたがるかどうか。それもマシンの上という重量物を削り取りたい位置に、である。ロータスのテクニカル・ダイレクター、ジェイムス・アリソンも、ライブタイムでネット配信されたE21の発表会の中で、”グラム単位の軽量化”というニュアンスを語っていた。

もちろん、フロントとリヤのウィングを初めとする空力デバイスは、この段階で本番仕様ではないことは明らか。仮に空力的に優れたなにかをデザイナーが発見しても、いまからライバルにその秘密を見せるようなことはあり得ない。さらに開幕戦までの間に、テストを通じて”進化”することを考えると、細部(実は今年の場合最大の)空力付加物のシェイプは、開幕戦がスタートするまでわからない、ということだ。

2012シーズンのロータスで注目すべきは、入賞率の高さだ。F1復帰初年度のK.ライコネンは、20戦中19戦でポイントをゲット、これは、全ドライバー中でベストのリザルトだった。暴れん坊のR.グロジャンでさえ、10戦でポイントを獲得している。

ルノーの安定したポテンシャルを考えると、最初にニューマシンを発表したことが有利に働き、シーズン序盤のダークホースになる可能性が見える。テクニカル・ディレクターのJ.アリソンが、”車両規則に変化のない”ことを強調していることから、コンベンショナルなマシン作りも伺え、開幕戦では二重丸の注目を集めることになりそうだ。

[STINGER]山口正己

■マシンスペック
型式:E21
シャシー:ロータス・F1・チーム製カーボンファイバー&アルミニウム・ハニカム・コンポジト・モノコック
サスペンション(前):カーボンファイバー製プッシュロッド式トーションバー(トップ&ボトム・ウィッシュボーン)
サスペンション(後):カーボンファイバー製プルロッド式トーションバー(トップ&ボトム・ウィッシュボーン)
ギヤ・ボックス:セミ・オートマチック・チタニウム・ギヤ・ボックス(クイックシフト)
ギヤ:7速+リバース
燃料システム:ATL製燃料タンク(ケブラー強化ゴム)
冷却システム:セパレート・オイル&冷却水ラジエーター
エレクトロニクス:MES-マイクロソフト・スタンダードECU
ブレーキ・システム:AP Racing製カーボンディスク、パッド、キャリパー/AP Racing & Brembo製マスターシリンダー
コックピット:シート(カーボン・コンポジット)/6点、または8点式ハーネス・シートベルト/ステアリング(ギヤ・チェンジ&クラッチパドル)
KERS:ルノー・スポール・F1

■エンジン
型式:ルノーRS27 – 2013
気筒数:8
バルブ数:32
排気量:2400CC
重量:95 kg
バンク角:90°
燃料:トタル製
オイル:トタル製
最高出力:750馬力
スパークプラグ:面放電型
点火システム:高エネルギー誘導式
ピストン:アルミ合金
エンジンブロック:アルミ合金
クランクシフト:スチーム製+タングステン製カウンターウェイト式
コネクティング・ロット:チタニウム合金
スロットルシステム:8 バタフライ

■サイズ
トレッド(前):1450mm
トレッド(後):1400mm
全長:5088mm
全高:950mm
全幅:1800mm
重量:642kg(ドライバー、カメラ、バラスト込み)

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