フォーミュラE開幕戦で見えた!/①『全部電気』
◆『全〜部電気』
北京で行なわれたフォーミュラEは、最終ラップでスペクタクルなアクシデントが起き、宙を舞ったニック・ハイドフェルドが無事にマシンから這い出したときには、観客から安堵のため息と一緒に大きな拍手が送られた。
最後の出来事のインパクトが大きかったので、フォーミュラEは凄いレースだ、という印象が残ったけれど、その中身もなかなか”凄い”ポテンシャルを持っていた。
まず、FIAは、フォーミュラEを表現するときに、”the new fully-electric single-seater series”というフレーズをつけている。完全に新しい全〜部電気のシングルシーターシリーズ、という意味だ。実際に北京会場で、その新しさに触れることができた。
まず、オフィシャルカーとして用意されたのは、BMWが提供したi3とi8。i8がペースカーを務めた。そして、ライマック・オートモビリ(Rimac Automobili)社のコンセプト-ワンと呼ばれる、エンジン換算1088馬力を発するモーターを搭載した濃紺のスーパースポーツが、”RACE DERECTOR”とドアに大書きされて用意されていた。
つまり、参加車両だけでなく、すべてが、電気である。会場内でオフィシャルやチームスタッフが移動するのは、当然、ゴルフ場などで活躍する電動カートであり、オフィシャルの中には、セグウェイを移動手段に使う姿も見受けられた。
北京オリンピックで使われた通称”鳥の巣”周辺をコースは囲んでいるが、その内側には、ピットガレージやパドックに隣接して、”eVillage”と呼ばれるファン空間が用意され、電気関連のメーカーが、さまざまな展示プロモーションを行ない、その一角でレース前には、ドライバー全員のサイン会も行なわれ、長蛇の列ができていた。
アムリン・アグリの鈴木亜久里代表は、「フォーミュラEのマシンは、自動車メーカーではなくてもできる」とし、関係者の多くが、「スポンサーを含めてモーターレーシング以外の企業の注目を集められる」と語っていた。
フォーミュラE開幕戦で見えた!②に続く。
[STINGER]山口正己
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