◆フォーミュラE開幕戦で見えた!/⑥琢磨は「楽しみました!!」
北京の1デーレースを楽しんだ琢磨。
フォーミュラE開幕戦で見えた!⑤から続く。
◆急きょ参戦が決まった琢磨
佐藤琢磨は、レースウィークの木曜日11日に、突如参加が決まった。本番は、13日土曜日のワンデーなので、文字通り、ぎりぎりの滑り込み。
慌ただしく北京入りした琢磨は、「問題山積みですが、楽しみます」と語っていたが、そのとおり、結果として、「また出たい」楽しいレースができたという。
ただし、やはりレースは、想像どおりの問題山積みだった。
ダッシュを決めたスタート直後に、他車と軽く接触してヒヤリとする場面もあったが、それ以前に、スタートから無線の不具合に見舞われ、「エネルギー計算を自分でやりながら」の走行を強いられた。
バッテリーの容量の関係で、全開での走行は2周ほどが精一杯なマシンである。ブレーキでエネルギーを回生させつつとはいえども、バッテリー残量を睨みながらの走行が強いられる。その計算は本来、ピットが行なって逐一ドライバーに無線で伝えるのだが、それができなかったのだ。
さらに、25周で予定されたレースの6周目の1コーナーで突然パワーが落ちてストップ。無線のない中で、自力でリセットを繰り返してなんとか復帰できたものの、規則に則って途中で乗り換えたもう1台も、残り数周のところで同じ症状が出て完走できずに終わった。
しかし、乗り換えたクルマのセッティングが決まって、レース終盤に、ファステスト・ラップを記録して、2ポイントを獲得。ゴール後の琢磨は、リタイアしたドライバーとは思えない明るい表情で、「電気系統のトラブルで止まってしまったけれど、そこを解決すれば、次はイケルと思います」と笑顔でコメント。以下のように続けた。
「シリーズをまず開幕できたので、もっともっと成長してほしいですね。今回だけの契約ですが、今後も機会があったら、近い将来にぜひまた乗りたいです。とても楽しかったです」。
[STINGER]山口正己
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フォーミュラE開幕戦で見えた!⑦に続く。