ホンダF1長谷川総責任者一問一答–その1
マクラーレンのエリック・ブーリエと。2016開幕戦で。
F1復帰2年目を終えたホンダ。シーズンオフを休むことなく次への開発作業に明け暮れるホンダF1レーシングの長谷川祐介F1プロジェクト総責任者の胸の内。
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その1 ◆ ロズベルグ電撃引退について
—-シーズンが終わった後に、ロズベルグの引退で”激動の2016年”になりました。長谷川さんとしては、どんな受け止め方だったのでしょうか。
長谷川祐介F1プロジェクト総責任者(以下、長谷川):直接は関係ないですが、アロンソやジェンソンの周辺がいろいろ聞こえてきましたから(笑)。特にフェルナンドは、メルセデスに、という話もあったので、そうなったら大変だな、と。
—-当然、三度目のワールドチャンピオンを目指していますから。2017年のマクラーレン・ホンダは、タイトル争いは難しい、メルセデスなら、という思いがあるのではないか、という想像ができました。結局は、チームに忠誠を誓うんだ、というコメントがアロンソから出て一件落着でした。
長谷川:ありがたいと思いましたが、またプレッシャーのかかることになりました(笑)。期待してくれているんだな、と。
—-去年から今年だったらアロンソも違う考え方になったかもしれませんが、来年は、車両規則が大きく変わります。
長谷川:フェルナンドと直接話したわけではないですが、メルセデスでチャンピオンの確率が高くなるわけですが、それよりも、自らチャンピオンチームを創る、というチャレンジングなタスクに自分をかけてくれたのかな、と。ミハエル・シューマッハがフェラーリにいたときのように。というように、勝手に感じました。彼自身がそういうことをしたいと思っているのは間違いないと思います。そもそも、彼がマクラーレン・ホンダに憧れていたということは公言していることですし、自分の力で復活させたいと思ってくれているのだと思います。
—-最初はびっくりしたでしょうけれど(笑)、結果としては、チームとの絆が強まった?
長谷川:そうですね。我々やマクラーレンも、マクラーレン・ホンダという強いチームを復活させたい、というのが共通の想いですので、フェルナンドは、そのタスクに対する想いは非常に強く感じていると思います。
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◆STINGERの観方
通常、”直接関係ないこと”には、ノーコメントのはず。事実、ロズベルグ引退!!のニュースが流れた直後にツインリンクもてぎで行なわれたホンダのファン感謝デーに参加したアロンソも、バトンも、そしてストフェル・ヴァンドーンも、「ノーコメント」だった。
しかし、長谷川祐介F1プロジェクト総責任者は、いつものように、こちらの質問を包み隠すことなく、言えないことは言えない、と断った上で、胸の内を明かしてくれた。
結果として、ロズベルグの引退騒ぎは、アロンソの”決意”も確認できて、ホンダにとって、好材料だったということだ。
(その2につづく)
[STINGER]山口正己