ホンダF1長谷川総責任者一問一答–その4
本格デビューのヴァンドーン。突然デビューの2016バーレーンでの活躍から、”まったく心配なし”。
F1復帰2年目を終えたホンダ。シーズンオフを休むことなく次への開発作業に明け暮れるホンダF1レーシングの長谷川祐介F1プロジェクト総責任者の胸の内。
(その3からつづく)
その4 ◆ ヴァンドーンへの期待
—-開幕戦のフェルナンド・アロンソのアクシデントを受けて、代役を務めたストフェル・ヴァンドーンが、バトンもかくやの働きをしました。直前に決まってギリギリで現地入りしたタイトな状況だったにも関わらず、デビューせんとは思えない素晴しい走りで10位入賞しました。アロンソとのコンビで本格デビューしますが。
長谷川:まったく心配していないというか、非常にクレバーだし、落ち着いているので、いい闘いをしてくれると思っていますけど、ドライバーは、メンタルなものですからね。
—-レッドブルからトロロッソに移籍させられたダニール・クビアトがそうでしたね。
長谷川:クビアトもそうでしたし、ノブ(GP2に参戦している松下信治)もそうでしたが、力があるのに歯車がうまくかみ合ってくれて、結果が最初に出てくれれば、きっといい方向に行くと思います。結果が出るというのは運もありますからね。
—-松下くんは、最終戦の圧倒的なレースを見たら、なんでもっと早くみせてくれなかったんだ、と(笑)。力を隠したかっこうになっちゃっていましたから。
長谷川:アブダビは素晴らしかったですからね。ですから、初めにうまく流れを掴んでほしいと思います。そのお膳立てを我々がしてやらなければ、と思います。
—-ハンドルの回し方が上手いかどうかじゃなくて、やっぱりメンタルですね。世界中のナショナルチャンピオンだけにシートが許されるF1トライバーなら、運転が上手いというのは当たり前だし(笑)。その意味で、ヴァンドーンは特別な人じゃないかと。2015年のGP2のチームメイトだった松下君も、ヴァンドーンはとにかく動じないし、安定した性格であることに感心して、彼からたくさんのことを学んだと言っていました。
長谷川:ですから、今のステージでは、まったく心配していないですね。そのままいいところを伸ばしてでも、そういう彼でも、メカニカルトラブルで10連続リタイアしたら、平静ではいられないと思うので、そういうことがないように、ということですね。
—-高い目標を持っているアロンソに応えなければならないだけでな区ヴァンドーンにも、となると、ますますプレッシャーがかかってくる(笑)。
長谷川:ですね。
◆STINGERの観方
ヴァンドーンを高く評価しながら、さらにその力を伸ばすためには、パワーユニットの責任、という表現が長谷川F1プロジェクト総責任者らしい。松下信治を引き合いに出したところから、サテライトチームができれば、という期待が高まった。
(その5につづく)
photo by HONDA
[STINGER]山口正己