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フェラーリ「F138」解説&スペック

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「F138」解説

フロントのプルロッドを含み、メカニズム的に昨年のF2012との違いはないが、まず、外観で目につくのは、段差ノーズではなくなったことだ。正確にいえば、”段差ノーズが見えなくなった”と表現すべきだが、ごくごく普通のノーズになった。

不格好を隠すための”カバー”と呼ばれている部分が、どんなシステムで本来の”ボディ”に取り付けられているのか、そしてその”ボディ”がどんな形をしているのか興味をひかれるが、そのこと自体は、どんな形をしていようが、マシン性能にさしたる影響はなさそうだ。

もともと段差ノーズは、Tボーン・クラッシュ(側面からの衝突)時に、ぶつけられた方のドライバーを護るセーフティ・シェルとの関係から高さが制限された。安全は確かに重要だが、規則を作るサイドがもう一歩踏み込めば、”段差ノーズ”が最初から登場せずに済んだ、ともいえる。そこに至るまで1年かかった、という事実が、F1の歴史に残ることになったわけだ。

ともあれ、フェラーリの2013年マシンは、ノーズの段差がなくなったが、カラーリングもホワイトのラインが入ったことで、イメージを大きく変え、スリムな印象になった。

段差ノーズの消滅、とともに、ノーズ先端が鯉の口のような形状になったことが象徴的。去年の段差ノーズに対して”鯉の口”が、今年のマシンの話題になるか。

空力的には、フロントノーズ形状が”カバー”によって変形した流れからか、サイドポンツーンのエアインレットが若干小さくなり、さらに細かく見ると、リヤビュー・ミラーのステーが短く(取り付け位置が低く)なっていることが観て取れる。

エンジン周りのボディは、昨年と違いは見られない。リヤ・タイヤ内側にカーボン地の小さなウィングが確認できるが、これは、高温のエンジン排気がブレーキの冷却の邪魔をさせないことと、リヤウィングへの流速アップに貢献する役目になっているのだろう。

また、リヤウィングの翼端版の後端が、より複雑な形状になっているが、これは、スリットによって翼端板内側、つまりリヤウィング下面を流れる空気の流速を少しでも上げようという手法で、形状的には目を引くが、古くからある手法だ。

昨シーズンの成績を、レッドブルとの対比で見ると、シーズンの前半と後半でポジションが入れ代わっている。シーズン後半に上昇してきたレッドブルに対して、フェラーリは下降気味だった。

F.アロンソは、3点差でS.フェッテルにタイトルを譲ったが、優勝数はS.フェッテルの5勝にひとつ足らないものの、表彰台に上った数は、S.フェッテルの10回に対してF.アロンソは13回。安定性でいえば、ピカイチのアロンソであり、アクシデントがなければ、去年のマシンでもタイトルを手にした可能性が高い。

フェラーリは、他のトップチームと同じく、エンジン・レギュレーションが大きく変化する2014年に向けて、2013年とは別チームで開発を行なうことを公表しているが、一方で、F138のネーミングには、”フェラーリが2013年のV8最後の年を飾る”という意味が込められている。

【STINGER / Text by 山口正己】

■シャシー
型式:F138
モノコック:カーボンファイバー&ハニカム・コンポジット構造
ギヤ・ボックス:フェラーリ製縦型ギヤ・ボックス
トランスミッション:セミオートマチック・シーケンシャル電子制御ギヤ・ボックス(クイックシフト)
ギヤ:7速+リバース
ブレーキ:ブレンボ製 ベンチレーテッド・カーボンファイバー・ディスクブレーキ
サスペンション:プルロッド式トーション・スプリング独立型縣架サスペンション(フロント&リヤ)
総重量:642kg(ドライバー、燃料込み)
ホイール:OZ製 13インチホイール(フロント&リヤ)

■エンジン
型式:フェラーリ056
タイプ:90°V型8気筒(砂型鋳造アルミブロック)
バルブ数:32
バルブ駆動:圧搾空気式
総排気量:2398cm3
ピストン径:98mm
エンジン重量:95kg
燃料:シェル V-Power
潤滑油:シェル・ヒリックス・ウルトラ

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