夏休み前のF1通信簿:その5–ウィリアムズの二人
21戦で行なわれる2016年F1GPは、7月31日のドイツGPで12戦を消化して、約1カ月の夏休みに入った。
テクノロジーの進化を最後に担うのが言うまでもなくドライバーだ。
与えられた道具をどう使うかは、ドライバーの力量次第。同じチームなら、基本として与えられる道具が同じだから、その視点で眺めると、一人一人の能力が見えてくる。
<成績>
数字は順位。×は入賞せず。最後に、12戦で獲得したシリーズポイントと順位をみながら12戦の闘いの軌跡を辿ってみた。
<素行>
12戦の闘い振りからどんなドライバーかを診断する。
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[STINGER]が独自の視点でF1ドライバーの通信簿!!その4。
◆ウィリアムズの二人
9)フィリッペ・マッサ
<総合評価>
速さ:9
巧さ:10
安定性:8
パッション:10
若さ:7
トータル:44
<成績>(×は入賞せず)
5位-8位-6位-5位-8位-10位-×-10位-×-×-×-×/獲得ポイント38点(9位)
トップ3を追うセカンドグループの旗頭だが、昨シーズンは、メルセデス、フェラーリに続くコンストラクターズポイント3位だった。今年は、レッドブルに先を越されているが、今シーズン前半、ウィリアムズが無得点だったのは第10戦のイギリスGPだけ。
しかし、マシンは得手不得手が明確で、成績の浮沈が激しい。そして、2002年のデビューから15年目を迎え、いまやベテランの域に達した35歳のフィリッペ・マッサ。2013年にフェラーリを抜けてウィリアムズに移籍したところで、残されたのは”余生”と思いきや、才能溢れるバルテリ・ボッタスを向こうに回して想像以上の活躍。しかし、今シーズン初めての舞台となったバクーの超高速の根性コースの予選でボッタス8位に対して5位と気を吐いたが、結果としてボッタスの後塵を浴びることが多く、第9戦以降の4戦連続で入賞から遠ざかっている。
<素行>
フェラーリ時代を共に闘った浜島裕英エンジニアはフィリッペ・マッサを、”小犬のようにかわいい憎めない奴”と人懐っこいブラジル人を評価した。雨の巧さは今でも健在だが、若いバルテリ・ボッタスに押され気味。最近、フェイスブックの投稿が評判なのは、本人の人徳で、周囲のサポートのなせる技。
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10)バルテリ・ボッタス
<総合評価>
速さ:10
巧さ:9
安定性:9
パッション:9
若さ:8
トータル:45
<成績>(×は入賞せず)
8位-9位-10位-4位-5位-×-3位-6位-9位-×-9位-9位/獲得ポイント58点(7位)
メルセデスのパワーユニットを積むことで、ウィリアムズのポテンシャルは2015年のシリーズ3位で証明済だったが、今シーズンは、FW38の好不調の波が大きく、ロシアGPの予選2位、カナダの決勝3位表彰台を除けば、もう一つパッとしないシーズンを過ごしている。
フィリッペ・マッサとの比較では、予選は11勝1敗と先を行くけれど、決勝になると7勝5敗とやや地味な結果。
<素行>
キミ・ライコネンと同じフィンランド出身。ドライビングの才能は、申し分ないが、もうひとつ”明るさ”不足を感じる。8月28日で27歳とまだまだ若いけれど、すでに老練の部類に入っている印象。普段の態度も地味だが、走りも含めてもう少し派手な見え方になると、一皮むけるかもしれない。
とはいえ、後半戦で、マクラーレン・ホンダが最も気にすべきはウィリアムズということを考えると、今のままにしていてほしい気もしたり?!
[STINGER]山口正己
Photo by WILLIAMS F1 TEAM / LAT Photographic