ハミーに訊く【F1が楽しくなるタイヤ講座】 2/3 「わからないことが面白い!」
イエローがソフト、シルバーがハード。
STINGER編集長山口正己(以下STG):ハードとソフトの使い方ですけど?
浜島裕英(以下、浜島):ハードとソフトの使い方? それは、まだ(判断が)むずかしいですねえ。(両者で)差があるときと、差がないときがあって、それはチーム(マシンの特性)によって違うんじゃないか。
それから、環境、そして条件(によって)。必ず(ハード側とソフト側の)差が出るとは限らないということがある。たとえば、ミディアムの方がよかったり──。今回(オーストラリア)の例でいえば、ミディアムとソフトですよね。すると、条件によっては、ミディアムの方がいい場合もある。
STG:”いい”というのは、速いということ?
浜島:ええ、速いってことです。
STG:条件というのは、気候、路面状態?
浜島:(主には)路面ですね・・・。
STG:まだ、アンノウンなことばかりという感じ?
浜島:(苦笑して)まだ、ほんと、わかんないこと、いっぱいあります。でも、わかんないこといっぱいあると、クビにならないんですよ!?(笑)。
STG:ハハハ、いや、違う質問をしようとしてたんですが(笑)。わかんないことがいっぱいあるというのは、エンジニアとしてはおもしろいのではないか、と?
浜島:おもしろいですね! わからないことを、わかろうとするし。また、タイヤを知らない人は(タイヤについて)まったくわからないですよね。知っていれば、そういえば、こういう可能性もあったな、とか。こういう条件で、こういうものは、そんな風になったよねえとか、わかるじゃないですか。
STG:その”わからない”というのは、ブリヂストンからピレリになったことで”わからない”・・・? それとも、新しいタイヤというのは、いつも、そう簡単には、その全容みたいなものは”わからない”? このどっちですか?
浜島:ひとつは、ぼく、去年のことを知らないのでわからないんですけど。でも、ウチ(フェラーリ)のエンジニアに訊いても、”わからない”という。だから、なかなかむずかしいですね、そこは。
STG:これまでの経験を、いまの状況にぶつけてみて、アレ?というようになったり?
浜島:しますよ! “スイートスポット”(ズバリ)じゃないことの方が多いかもしれないけど、かなり違うというのはたしかで、それを、去年、どうなんだろう? ・・・どう解釈して、彼ら(フェラーリ)が使っていたのかは、よくわからないですね。まあ、いろんな解釈の仕方があるから、どれが正解かはよくわかんないんですけど・・・。
そういう意味では、やっぱり、もともと言ってた、彼らが知らない斬り口で、ピレリのタイヤを”こういう風に考える時期だ”とアドバイスできるっていうのが、いまの時期。
STG:それはいま、もう、できている?
浜島:だいぶ、できる部分はありますね。
STG:今回のレースでいうと、アロンソが、予選があんまりよくなくて、レースでよかったというのは、それの影響ですか?
浜島:うーん(笑)。予選は、ひとつ、失敗(コースオフ)してますから──。でも、FP3(フリー走行3)は、実際にかなり悪かったんですね、ほんとに。予選は、まあよかったんだけど、(彼がコースの)外に出ちゃったから。アレはちょっと、ほんとのところ(の実力)はわからなかったんですけど。
決勝は、でも、ほんとに、言った通りに──言った通りとは言わないけど、けっこう、(今回のタイヤは)”こうなってると思うよ”という話をして、彼がそれを、作戦に応用してくれたと思います。
STG:ということは、開幕戦は、かなりイイ感触で?
浜島:開幕戦はね、必ずうまく行くとは限らないので(笑)。今後は(いま以上に)しっかり、やりたい!
ハミーに訊く【F1が楽しくなるタイヤ講座】 3/3 「中国で状況が見えてくる」に続く。
※22日(木)に公開予定です。