富士スピードウェイのF1中止は本当か?
もうここではF1が見られない?
7月1日付けで毎日新聞が富士スピードウェイの日本GPについて、「来年の開催はない。7月に詳細を発表する」とのニュースを掲載した。
これに対して富士スピードウェイ広報部は、「現段階で申し上げられるのは、”来年の開催に向けて、様々な検討をしている”ということだけ」との回答だった。このコメントは、二通りに解釈できる。
まず、広報部が「そんな話はない」、と断言しなかったということは、つまり、『ニュースの通りの可能性がある』という解釈。そしてもうひとつは、一昨年の失態を去年はリカバリーしたが、経済状況から各方面への経費節減は必至の状況の中で、『経費節減を含めて来年に向けて検討しているのは当然』という解釈だ。
例えば、バスに限っている交通手段を通常の乗用車に切り換える。大幅に移行するなら、バスのチャーター代が節約でき、本来あるべき”お祭り感”も取り戻せる。経済効果を睨みつつ地元と協力することで、交通渋滞はある部分ガマンをしつつ別の工夫を検討する、などがある。
◆なぜ今報道されたのか
もう富士にはF1が戻ることはないだろう、という声は、以前からF1関係者の中に存在した。だが、それは他にもある風聞のひとつではある。「富士スピードウェイのF1開催はなくならない」と断言はできないにしても、今の段階では、どちらに転ぶか分からない、という答が正しい表現だ。富士スピードウェイも、バックアップするトヨタ自動車も、これに対する正式回答を一切していないのだから。
もちろん、ニュースを流した毎日新聞も、”裏”を取った上で報道しているはずだが、”番記者が夜回りして集めた言葉をつなぎ合わせた”という見方が正しそうだ。なぜなら、トヨタ自動車は、こうした重大事項が事前流出することを嫌って、厳しく規律を守っていることで知られるからだ。
一方で、経費節減についてのトヨタの基本方針である「F1を中心としてモータースポーツをサポートしてく」という方向に変化は見られない。トヨタのバックアップを受けてレースを戦う内外の関係者は、「緊縮財政については厳しい状況になっているが、辞めろという決断やそのムードはない」と口をそろえる。
そしてもうひとつ、このニュースが掲載されたのが、7月1日だった、という点にも注目しておきたい。7月1日は、章男社長による新体制が動き始めた日だ。裏側から何やら”きな臭さ”が漂っていると言えなくもない。
反対勢力の揺さぶりか、それとも、富士スピードウェイのニュースに留まらず、新体制となったトヨタ自動車のモータースポーツに対する”本意”に変化があるのかどうか。最も気になるのはそこである。