ヘレスF1合同テスト初日総括
ピットを後にする可夢偉のBMWザウバー。可夢偉のコメントは別項で。
スペインのヘレス・サーキットで行なわれた合同テスト初日。気温は走り始めの9時の9度から12度までしか上昇せず。ドライだったのは、9時40分までだった。しかし、ドライといってもヘレス特有の夜間に路面に落ちる露で、完全なドライではない状況でテストがスタートした。
今回のテストに参加したのは、バレンシアでテストを終えたチームと、新車発表をしたレッド・ブルとフォース・インディア、そして発表会はせずに、T.グロックがステアリングを握っていきなりガレージから出てきたヴァージンを加えて、計10チームとなった。
二度目の合同テストとなるいわゆるバレンシア・チームは、インストレーション・ラップを終えると、天候の悪化を予想して、直ちにドライ・タイヤでの「ラン」に入り、燃料搭載量が軽いと思われるS.ブエミがトップタイムをマークして、それに小林可夢偉が続いた。この二人が最初のランを終えてピットに戻ると、メルセデス、フェラーリ、ウィリアムズ、マクラーレン、ルノーが続々とコースイン。露や埃が少なくなった路面で、S.ブエミや小林可夢偉のタイムをN.ロズベルグ、F.アロンソ、N.フルケッバーガーが上回り始める。
こうしてコースオープンから40分経過した頃から、雨が降り出し、路面は完全なウェットになる。初期チェックを入念に行ったレッドブルきM.ウェーバーは、この時点から走行を開始。そして、フォース・インディアのV.リウッツィが、これに続いた。
その後、ウェットセットに変更したチームから順番にコースインして、ウェットセットを積極的に回収しはじめる。多くのドライバーがインター・ミディエットを使用するが、雨脚が強くなるとガレージに戻って待機するものがほとんど。
◆不順な天候
今回のテストだけではなく、来週のヘレステストも、ほとんど天候不順が予想されているため、そこにタイヤを温存しておかなければならず、むやみにインター・ミディエットや、レインタイヤを使用するわけにはいかないというわけだ。なにしろ、今回と次回のヘレステスト合計8日間のうち、現状では初日の10日水曜日を含めて、合計7日間に高い降水確率が予報されている。
各チームとも、最低限必要なシステムチェックにメニューを変更して、インターバルを大きくとって、ランを続ける。例外は、ウィリアムズ、ルノー、ヴァージンで、ウィリアムズは積極的にN.フルケンバーガーが走行を続け、エンジンやギヤボックスの距離を稼いでいく。
ヴァージンは、前日夜に到着したパーツを徹夜作業で装着したマシンで走り始めるが、スペアパーツ不足のため、ウェットでの走行は控えている。ルノーも、メカニカルトラブルは無いとレポートされているものの、V.ペトロフを積極には知らせることは無く「シートが危うい」というウワサを助長するようなプログラムを敷いた。
昼過ぎに、淡々と走行を続けていたM.ウェーバーが、コース上にストップして、セッションは赤旗中断となった。M.ウェーバーは、マシンを降りたが、どうやら、ギヤボックス・トラブルの様子。ターン7にオイルが出、オイル処理のために、さらに赤旗中断は続いた。
コースが再オープンとなるが、この後は、オイルの影響で、コンディションは悪化し、ラップタイムも落ちる。セッション終了まで約1時間を残したところで、やっと雨脚が弱まり、ペトロフとグロックがコースインし、短いランを行うが、すぐにガレージに戻って、初日の走行を早々に切り上げた。
この後、残り全車両がコースイン、特にN.フルケンバーガーとF.アロンソは、新品のタイヤをおろし、それぞれウェット路面での自己ベストを更新しする。セッションは、残り10分を残したところでバトンがコース上にストップしたために、そのまま、赤旗で終了となった。